2014年03月30日号 4・5面

ある日曜日の午後、都内の教会での会話。
「文鮮明って統一協会の教祖でしょ? この前、いい本だから読んでって世界平和女性連合の人からもらったんだけど、あら、あなた統一協会なの? って聞いたら、いいえ違いますって言うのよ。私たちは平和運動をしている国連NGOで宗教とは関係ありません、って言ってたんだけど…」と年配の女性教会員。
世界平和女性連合は紛れもない統一協会のダミー団体のひとつ。統一協会系の団体や企業の成員は、「自分もこの団体(会社)も統一協会とは関係ありません」と言うのが常とう句になっている。霊感商法で悪名高い「統一協会」と初めから聞けば、警戒されるのがわかっているので、統一協会との関係を尋ねても頑なに否定する場合が多い。
いったいなぜ、平気で嘘をつくことができるのか。ある元統一協会員は「最初は嘘をつくことに良心がとがめました。でも活動を続けるうちにだんだん麻痺してきて、しまいには平気で人をだませるようになっていました」と証言する。
それは、統一協会で徹底的に教え込まれる「為に生きる」という発想法が、疑問やほかの考えを入れる余地をなくして『原理講論』だけをたたきこむマインドコントロールによって染みついてしまうからだ。「為に生きる」とは「神様の為」「お父様(文鮮明)の為」に生きることこそが、地上天国を完成させる食口(統一協会信者)の使命だという考え方。
それに加えて、この世界はサタンに主管されている(牛耳られている)ので、この世の人も物も、たとえだましてでも神の側(統一協会)に復帰することは、神様の為に生きることで良いことなのだ、というへりくつが補強する。
こうして平気で嘘をつく信者たちが、お年寄りなどを適当な因縁話でだまし、安物の壺や印鑑などを数十万〜百万円単位の値段をふっかけて売りつける霊感商法が成り立つ。間違いなく詐欺行為だが、それに携わっている統一協会員たちは、天宙復帰の使命感に燃えた〝善意〟の人なのだ。