今回の日藝映画祭リーダーを務めた企画提案者の木村孔紀さん(右)と新聞・雑誌・書店の広報を担当の太田薫子さん。 (c)クリスチャン新聞
今回の日藝映画祭リーダーを務めた企画提案者の木村孔紀さん(右)と新聞・雑誌・書店の広報を担当の太田薫子さん。 (c)クリスチャン新聞

12月10日(土)~16日(金)まで東京の渋谷ユーロスペースを会場に、第6回日藝映画祭「信じる人をみる宗教映画祭」が開催される。無声映画「裁かるゝジャンヌ・ダルク」(1928年)から2014年製作の「神は死んだのか」など洋画・邦画15作品が上映される。宗教にフォーカスをあてた同映画祭を企画・主催したのは、日本大学芸術学部(日藝)映画学科映像表現・理論コース3年の映画ビジネスゼミ(古賀太教授)の学生たち。オウム真理教事件に揺れた95年生まれが中心の大学生たちが、映画をとおして“信じる人”を見つめ、あらためて“信仰とは”を問いかけている。今回の日藝映画祭を企画・主催した大学生たちに話しを聞いた。
公式Webサイト  http://syukyou-eigasai.com

無声映画「裁かるゝジャンヌ」から
「神は死んだのか」など15作品上映

日藝映画ビジネスゼミ3年生による企画・運営の映画祭は、今年で6回目。ゼミの学生14人全員が持ち寄った企画を討議検討し、テーマと上映作品が決定するとそれぞれが担当して映画会社に上映交渉、チラシの内容紹介から上映館の交渉、マスコミや書店関係への宣伝活動までのすべてを実践する。

今年の映画祭テーマに“宗教”を提案した木村孔紀さんは、「オウム真理教事件の年に生まれ、宗教に対してアレルギーを持っている人たちがいる中で、それでも(映画をとおして)“信じている人たち”を見て、改めて“宗教とは”、“信じるとは”について考え直してみる映画祭にしました」と話し合い、今回の映画祭タイトルにまとまったという。

新聞・雑誌・書店への広報担当の太田薫子さんは、小学2年のときに9・11テロが起こり宗教を怖いものと感じたが、一方で幼少時からミッション系に通学していた友人や知人など宗教にシンパシーを持っている人たちとの交流をとおして「恐ろしいものとは遠いところにあるのが宗教とも感じた」という。木村さんも太田さんも1995年生まれで、オウム真理教事件以後の宗教に対するマスコミ報道の影響や社会の偏見的空気のなかで育ってきた世代。宗教の偉人伝的な視点ではなく市井の人々が信じて生きている姿をとおして宗教・信仰を見つめようとする姿勢が真摯ですがすがしい。

亡くなった夫の故郷で息子と共に新たな生活をはじめたばかりのシネだが、最愛の息子が誘拐犯に殺害された。悲嘆のなかキリスト教の福音に触れ神の赦しと慰めを求めるが…。神の赦しとは、人は赦すことができるのだろうかを問う作品。今回の映画祭らしい作品の一つだ。 (C)2007 CINEMA SERVICE CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
亡くなった夫の故郷で息子と共に新たな生活をはじめたばかりのシネだが、最愛の息子が誘拐犯に殺害された。悲嘆のなかキリスト教の福音に触れ神の赦しと慰めを求めるが…。神の赦しとは、人は赦すことができるのだろうかを問う、今回の映画祭らしい作品だ。 (C)2007 CINEMA SERVICE CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

この映画祭の主旨は、「ごく普通の人々の信じてる姿、悩みながらも信じている姿を映画を通してみることにあるので、宗教の肯定でも否定でもない立場での作品ラインアップになっていると木村さんと太田さんは言う。無声映画の『裁かるゝジャンヌ』や大島渚監督の『天草四郎時貞』などに白黒作品から無神論を強要する大学教授と福音派クリスチャン学生が神の存在論について授業で論争する『神は死んだのか』など近年の作品まで年代だけでなく伝統的なキリスト教、カルト宗教、民族宗教など信仰の対象や問題意識なども多種多彩に取り上げられている。

ちなみに、太田さんが担当した作品は、神への不信を抱いた牧師の苦悩と神の沈黙を描いたベルイマン監督の神の存在を問う作品の一つ『冬の光』。木村さんは、新興宗教の教祖に祭り上げられた在日韓国人の少女が大人たちに翻弄されていくうちホンモノを求めていくという『水の声を聞く』。いずれの作品も“信じるとは”を考える今回の“宗教映画祭”らしい作品だ。

オウム真理教事件の時代に大学生だった世代は、いま40代前半を生きている。安保運動、学園闘争を経験し見つめてきた団塊世代はセカンドステージへの足元を見定めようとしている。現代の大学生たちが宗教と信じることを多面的にとらえ問いかけているいる「信じる人をみる宗教映画祭」に、いまマスコミの関心度も高い評価と期待を寄せている。 【遠山清一】

「信じる人をみる宗教映画祭」上映作品(製作年順)◆
『裁かるゝジャンヌ』カール・テオドア・ドライヤー監督(1928年/フランス/76分/モノクロ無声上映)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/裁かるゝジャンヌ
『天草四郎時貞』大島渚監督(1962年/日本/101分/モノクロ)。
http://movie.walkerplus.com/mv20494/
『冬の光』イングマール・ベルイマン監督(1963年/スウェーデン/82分/モノクロ)。
http://eiga.com/movie/48749/
『ノスタルジア』アンドレイ・タルコフスキー監督(1983年/イタリア=ソ連/126分/カラー)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ノスタルジア_(映画)
『奇跡の海』ラース・フォン・トリアー監督(1996年/デンマーク/158分/カラー/R-15+)。
http://eiga.com/movie/43649/
『ある朝スウプは』高橋泉監督(2004年/日本/90分/カラー)。
http://pff.jp/soup/home.html
『カナリア』塩田明彦監督(2004年/日本/132分/カラー)。
http://www.shirous.com/canary/intro.html
『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』フィリップ・グレーニング監督(2005年/フランス=スイス=ドイツ/169分/カラー)。
http://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/?p=1778
『ジーザス・キャンプ~アメリカを動かすキリスト教原理主義~』監督:ハイディ・ユーイング、レイチェル・グラディ(2006年/アメリカ/87分/カラー)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジーザス・キャンプ~アメリカを動かすキリスト教原理主義~
『シークレット・サンシャイン』イ・チャンドン監督(2007年/韓国/142分/カラー)。
http://www.cinemart.co.jp/sunshine/
『神々と男たち』グザヴィエ・ボーヴォワ監督(2010年/フランス/120分/カラー)。
http://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/?p=1508
『セデック・バレ』ウェイ・ダーション監督(2011年/台湾/第一部・太陽旗144分、第二部・虹の橋132分/カラー)。
http://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/?p=1670
『禁じられた歌声』アブデラマン・シサコ監督(2014年/フランス=モーリタニア/97分/カラー)。
http://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/?p=2381
『水の声を聞く』山本政志監督(2014年/日本/129分/カラー)。
http://www.mizunokoe.asia/
『神は死んだのか』ハロルド・クロンク監督(14年/アメリカ/114分/カラー)。
http://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/?p=1813