昨年のアメリカ大統領選でトランプ大統領が勝利したことは、世界中を驚かせた。だが、アメリカは伝統的に反知性主義のうねりがあり、政治と社会を大きく変容させる原動力ともなっているという。2月20日、東京・文京区向丘の東京大学YMCAで開かれた「第700回東京YMCA午餐会」では、『反知性主義』(新潮社)の著者でもある森本あんり氏(国際基督教大学教授、学務副学長)が「アメリカ大統領選挙を振り返ってー反知性主義と民主主義の行方ー」と題して講演。森本氏は「あるところに知性と権力と富が集中し、固定化し再生産されて、世代ごとに伝えられていく。こういうことに対する反発が反知性主義の心情だ。従って、反知性主義はある意味、社会の刷新をもたらす。既存の体制を壊す力を持っている。トランプ大統領は恐らく、そういう意味では反知性主義を再現している」と語る。

2017年3月12日号1面
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