(C)2009「わたし出すわ」製作委員会
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1g単価3,000円台で値動きしている金相場。その金塊(ゴールドバー)1Kgが数軒の郵便受けに投げ込まれていたというテレビのニュースからこの物語は始まる。その話題で持ちきりの函館に、山吹摩耶(小雪)が東京から突然帰郷した。高校時代のクラスメイトら5人と再会し、彼らが抱いている夢を叶えられるようにと、その資金を「わたし出すわ」と無償でお金を置いていく摩耶。どうして摩耶は、そんな大金を持っているのか。ミステリアスな摩耶の存在と行動が展開していく。

日本では、宝くじで1,000万円以上の高額当選者には「その日から読む本」という、高額当選者の心得的な冊子が手渡されるという。思いがけない幸運にパニック状態となり、無心、たかり、浪費のスパイラルに陥らないよう、使いみちや預け方、知らせる人がいる場合などについてのガイドを示してくれる。「環境にやさしい世界の路面電車の実情を見て回りたい」「足の故障を手術で治し、マラソンランナーとして再起を果たしたい」「夫が箱庭作りの会長職を買いたいと願っている」「魚が反応して発する信号を人為的に発信する研究を完成したい」「この町でトップの価値のある女でい続けたい」。。。摩耶からの資金提供で一歩踏み出そうとしたクラスメイトたちのその後のドラマが展開されていく。摩耶と平場さくら(小池栄子)の役どころが、お金に対する行動が対比的でおもしろい。

では、摩耶の夢は? 映画のラストにその願いが叶うのだが、大金が有っての実現か。
いや。「与えなさい。そうすれば与えられます」(ルカ6章38節)との聖書のメッセージが聞こえてくる。  【遠山清一】
森田芳光監督作品。10月31日より恵比寿ガーデンシネマほか全国ロードショー

公式サイトはこちら→http://watashi-dasuwa.com