(C)2008 Pan-Europeenne-Studiocanal-Oscar Films-TF1 Films Production-Cinemaginaire-RTBF (Belgian Telecision) All rights reserved.
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なんともステキなファンタジー。

がんや難病などで死と生への真摯な対話は、これまでにも数多くの秀逸な作品を生み出してきた。だが10歳の子どもが、自分に迫っている死を直前にして、どのように生きるか。そして、大人はその事実にどのように接すればいいのか。できれば向き合いたくないこの問題は、日本でもフランスでも受け入れがたいものであろう。この重たい問題を、オスカーの子どもらしいファンタジックな発想と言葉に、本音で向き合うただ一人の大人ローズさんとの対話は、痛みと苦しみ、神の存在、生きる意味と喜びという哲学的な問いの答えをオスカー自身に見いださせていく。いまはピザのデリバリー屋のオーナーで元女子プロレスラーのローズさん。オスカーが抱く困難な問題や不安に、かつての対戦相手との闘いになぞらえて応答していく展開が、演技のテンポもよくファンタジックで楽しい。

白血病のオスカーは10歳いたずら盛り。だが、どんないたずらをしても厳しくは叱られない。両親も何かを隠している様子だ。大人たちの言動に、不信感を抱いているオスカーは心を閉ざしていく。ただ一人、口汚い言葉使いだが、目を見て本音で話してくるローズさんにだけは心を開く。そのローズさんが12日間だけ面会を許されたと聞き、自分の寿命を悟ったオスカー。ローズさんは故郷の言い伝えになぞらえて「一日を10年と考えて生きよう。そして毎日、神さまに宛てて手紙を書こう」と勧める。サンタクロース同様に神さまの存在を信じられないオスカーには、気の進まないことだったが、毎日の出来事と自分の考え、疑問を書き綴るうちに、オスカーにとって神さまは確かな存在者となっていく。

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平凡な女性で自分の悩みで手いっぱいなローズさんも、オスカーとの出会いで自身の人生観が変化していく。いくつかのレスリングの試合やオスカーの恋など楽しいシーンと、オスカーのシンプルな手紙の文章に、自分の人生を愛して生きることの喜びが伝わってくる。

原作・脚本・監督:エリック=エマニュエル・シュミット。フランス映画、105分。配給:クロックワークス/アルバトロス・フィルム。11月6日(土)より日比谷TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開

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