(c)2010, GOLDEN EAGLE.
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独ソ不可侵条約を破棄し宣戦布告のないままソビエト領に攻め込む惨状を描きながら、戦争の理不尽な極限状況に在ってもその恐怖を乗り越えさせる人間性の奥底にあるものを提示しているような作品。ロシア大陸に展開される壮大な戦闘を織り込みながら、人間の心の葛藤をしっかり捉えていく物語の展開が印象的な’映画’だ。

ロシア映画だが英題は’Burnt by the Sun 2(The Exodus)’で、16年前に公開された邦題「太陽に灼かれて」の続編。前作で死んだと暗示されていたロシア革命の英雄アレクセイ・セルゲーヴィチ・コトフ(ニキータ・ミハルコフ)とコトフの友人でソ連国家保安委員会(KGB)幹部ドミートリ・アーセンティエフ大佐(オレグ・メンシコフ)の主要な2人が、実は生きていたという設定で、当時6歳だったコトフの娘ナージャ(ナージャ・ミハルコワ)の成長していく物語が始まる。ところどころに回想シーンはあるものの、前作を知らずとも脚本、出演者の演技には物語の中に引き込んでいく輝きがある。

1943年5月。KGB幹部ドミートリがスターリンの私邸に呼び出される。7年前、ロシア革命の英雄で陸軍大佐のコトフを反革命分子としてクレムリンに連行したドミートリに、41年6月25日に銃殺で処刑されたはずのコトフが生きていると疑い、捜索しろと命じられる。

ドミートリは、コトフを連行した後、結婚前は恋仲であったコトフの妻マルーシャと娘ナージャの名前を変えさせて密かにかくまってきた。反逆者の家族が生き延びられる唯一の方法でもあった。

(c)2010, GOLDEN EAGLE.
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時が2年ほど遡り41年6月。コトフ元陸軍大佐は、スターリンに背いた罪で政治犯らと共に強制収容所で重労働を強いられていた。やがて、国境を越えたドイツ軍が収容所を爆撃機で攻撃し、近隣の村落から逃げてきた農民たちに襲い掛かる。空爆をかいくぐりからくも収容所を脱したコフトは、橋を渡ろうとして空襲される避難民の惨状を目撃する。

同じころ、ナージャは共産党のピオネール(少年少女団)の団員からコムソモール(青年団)へドミートリの取り計らいもあって昇級した。そのことを告げに来たへドミートリの何気ない立ち居振る舞いから、別離後も思慕の念を押し隠してきた父コトフが生きていることを悟る。その年の夏、従軍看護婦となったナージャは、負傷兵やピオネールの子どもたちと赤十字船に乗船していた。甲板にまで乗船者があふれている赤十字船が、出来心からの事故がもとでドイツ軍機に爆撃され沈没する。海上に掘り出されたナージャは、ロシア正教の司祭に助けられ鎖が切れて漂っている機雷に2人でたどり着く。司祭は、コムソモールのナージャに伝道し、洗礼を授けると自分の十字架の首飾りをナージャの首に掛けて力尽きた。

浜辺にたどり着いたナージャ。ドイツ軍に焼打ちされる村を生き延び、戦場で負傷者を看護しながら戦場の悲惨な状況の中で、父コトフを捜しまわる。父親に会いたい。ナージャは心から叫ぶ。「そのために神は生かしてくださった」と。 【遠山清一】

監督・共同脚本・製作:ニキータ・ミハルコフ。2010年/ロシア/2時間30分/原題:Burnt by the Sun 2(The Exodus)。配給:コムストック・グループ/ツイン。4月16日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。

公式サイト http://www.senka-nadja.com