東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示が3月に帰宅困難区域を除いて解除された福島県浪江町。今年1月、町役場敷地内に完成したばかりの国保浪江診療所の所長に、クリスチャン医師の木村雄二さん(72)が就任。帰還住民の医療に当たっている。
木村さんは病理医で、専門は呼吸器病理、肺がん、腺がんなど。1993年から2000年まで、日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)からネパール合同ミッション(UMN)への派遣医師として従事するとともに、ネパールでがんの診断ができる病理医の育成に当たった。帰国後は長崎県佐世保市の黒島、宮崎県串間市市木、長崎県福江市(現・五島市)の椛島、黄島、赤島、大分県佐伯市直川など離島、僻地を転々とした。直川で医療に従事していた時、たまたまインターネットで馬場有浪江町長の「浪江には今医師が必要だ」と呼びかける動画を見た。「マケドニアに渡って来て、私たちを助けてください」(使徒16・9)の聖句が脳裏に浮かび、馬場町長の呼びかけはマケドニア人の叫びだと受け取った木村さんは即、「71歳の年寄りですが、よろしいですか?」と健康保険課の居村勲課長にメールを送った。返事はOKだった。木村さんは「人生最後の仕事はここにしようと、妻と話し合ってここに来た」と語る。(8月5日号「医療特集」で詳細)