子どもたちの映画づくりにかかわっていく老優のジャン (C)2017-FILM-IN-EVOLUTION-LES PRODUCTIONS BAL THAZAR-BITTERS END

諏訪敦彦監督が東京造形大学学長を務めていたとき、名作「大人は判ってくれない」の主演俳優ジャン=ピエール・レオと交わした「一緒に映画を撮りましょう」との約束が結実した作品。死を演じる老男優と映画のワークショップに取り組む少年たちの出会いを通して“死とは… 人生とは…”を問い、語り合われるファンタスティックな物語。

【あらすじ】
南仏コート・ダジュールの小さな町での撮影現場。死と向き合っている俳優の役柄の男優ジャン(ジャン=ピエール・レオ)は、リハーサルに余念がない。「死とは…“出会い”なのだ。死は体験ではなくその訪れを見ることだ」と語るセリフについて映画監督(ルイ=ド・ドゥ・ランクザン)と確認し合うジャン。だが、ヒロインを演じる相手役が個人的な事情で部屋に閉じ籠って出てこないため数日間撮影が中止になった。

この町には、若くして亡くなったかつての恋人ジュリエット(ポーリーヌ・エチエンヌ)が暮らしていた。ジャンは、旧友の家を訪ねたあと、花束を抱えながら彼女が暮らしていた館に行く。荒れた古い館の入り口には“死の危険 この町には、若くして亡くなったかつての恋人が暮らしていた。ジャンは、旧友の家を訪ねたあと、花束を抱えながら彼女が暮らしていた館に行く。荒れた古い館の入り口には“死の危険”と書かれた札が掛けられている。ジュリエットが使っていた部屋のベッドに横たわっていると、ホラー映画を撮影する下見に入り込んだ子どもたちが部屋に現れた。少し驚かすと子どもたちはジャンに悪態をついて館から出て行った。

子どもたちが去ったあと、部屋の大鏡に若いときの美しいジュリエットが姿を現し、ジャンに語り掛けてきた。しばらく語り合う二人。だが、ジャンがふと気づくとジュリエットの姿は消えていた。ジャンは街を抜けてジュリエットの墓所まで歩いていく。ジャンの姿を隠し撮りしながら後を追う子どもたち。その映像を見た映写技師のフィリップ(アルチュール・アラリ)は、「撮りたい場所があれば撮影許可を得る。人を撮るときも同じだ」と子どもたちに基本を教える。

ジャンの前に現れ、語り合うジュリエット (C)2017-FILM-IN-EVOLUTION-LES PRODUCTIONS BAL THAZAR-BITTERS END

ジュリエットの古い館に寝泊まりするジャンは、「僕たちの映画に出てくれませんか」と尋ねる子どもたちに屋敷での撮影と自らの出演を快諾する。そして、「まず脚本を用意しなさい」と告げて子どもたちの映画づくりにかかわっていく。時折りジャンの前に姿を現すジュリエット。夢なのか、幻なのか、現実か…。ジャンは、ジュリエットと語り、子どもたちとの映画づくりのなかで老いと若さ、死とは人生とはに想いを巡らす。 【遠山清一】

監督:諏訪敦彦 2017年/フランス=日本/103分/原題:Le lion est mort ce soir 配給:ビターズ・エンド 2018年1月20日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー。
公式サイト http://www.bitters.co.jp/lion/
Facebook https://www.facebook.com/lion.tonight/

*AWARD*
2017年:第65回サン・セバスチャン国際映画祭オフィシャル・セレクション部門正式出品作品。