2018年03月25日号 01面

宮城県本吉郡南三陸町の南三陸ホテル観洋で3月10日「愛と希望のコンサート 大震災を覚える追悼記念会」(宮城三陸3・11 東日本大震災追悼記念会準備委員会主催)が開催された。当日はMigiwaさん、上原令子さん、小坂忠さん、森祐理さんと、被災地に何度も足を運び歌で被災者を支援してきたゴスペルシンガーたちが集結。愛と希望のメッセージを伝えた。コンサート終盤にはロビーに移動し、被災者を追悼するために献花と黙祷、祈りの時を持った。DSC_0531
Migiwaさんは被災地を訪問する中で生まれた曲「祈りうた」「忘れないで」を熱唱。「眠れない夜、つらい、苦しい、そんな時でも神様は枕の中にさえいてくれる。神様はこの場所にいて皆さんを愛しておられます」と語りかけ、詩画作家の星野富弘さんの詩に曲をつけた「愛されている」を歌った。
上原さんは、「この追悼の日になりサイレンの音を聞くと、きっと皆様はあの時のことを思い出され、いたたまれない気持ちになることでしょう。そんな中、7年間も耐えて来られたことは素晴らしい。同じ日本人として誇りを感じる。そんな私たちを神様は見つめておられます」と語りかけ、オリジナル曲「みつめられて」と「ほんの少しのやさしさ」を賛美。続いて小坂さんとのコラボでイザヤ43章4節を歌にした「あなたは私の目には」を歌った。DSC_0518
小坂さんは昨年、肺に転移したがんがステージ4と宣告されたが、奇跡的な回復があったことを明かした。「あまりの痛さで医者に診てもらったら、急性胆のう炎の摘出手術を宣告された。更に大腸がんが見つかり胃がんも見つかり、3つをいっぺんに摘出、切除する大手術となった。これで終わりだなと思ったこともあったが、大勢の人が僕のために祈ってくれた。励ましのメールがどんなに力になったかわからない。その体験から、東北の皆さんを励ます力になれたら、という思いがますます強くなった」
「イエス様が皆さんのそばにいて支えてくださるから勝利者になれる。皆さん、勝利者になりましょう」。そう言ってオリジナル曲「勝利者」を歌った。大手術を受けたとはとても思えないほどの声量で「アメイジンググレイス」も歌い上げた。
森さんは「よくここまで歩んでくださった。言葉にならない痛み悲しみ、喪失、数え切れないほどの苦しみがあったと思う。そんな思いの中での7年。私も弟を、父を失った。でも今、私たちの本当の国籍は天にあると思えるようになった」と語りかけ、「本当の故郷は天にある」との思いを込め会衆と一緒に「ふるさと」を唱和。続いて、「幸せ運べるように」「きみは愛されるため生まれた」、最後に「皆様の心に希望の花が咲くように」との願いを込めて、「花は咲く」を歌った。時折、会衆席の中を歩いて歌い、涙する被災者を見かけると優しく抱きしめていた。IMG_2379
当日は、地元の被災者を含め170人が参加。実行委員長の中澤竜生さん(地域支援ネットワーク架け橋代表、聖協団・西仙台教会牧師)は「本当に豪華なメンバー。でも出演者の皆さんは全員、ボランティアで駆けつけてくださった」と感謝した。参加者からは「すばらしいアーティストの皆様から元気をいただいた」、「7年前の今日、みんな生きていたと思うと10日のほうがつらい。その意味で記念会が前日の10日に行われてよかった」などの声が聞かれた。
森さんは「これからが本当の意味での戦い。死ぬまで支援の手を上げ続けたい」と決意を述べた。