写真界の次世代を発掘する公募展のファイナリスト6人による、第18回写真「1_WALL」展が13日まで東京・中央区のガーディアン・ガーデンで開催中だ。

ファイナリストの1人でクリスチャンの稲田フランコタデオさんは、聖書を題材にした作品を出品した。

写真は6点。テーブルの上に様々な物体が並べられた静物画のような印象。木の十字架、骨、釘などキリストを連想できるものもあれば、おもちゃやオルゴール、ゴム手袋などが不思議に配列される。

同公募展は、前身の「ひとつぼ展」を含め、現在一線で活躍する作家を輩出してきた若手作家の登竜門的な存在。広告宣伝物などデザイン物も制作するリクルート社のメセナ事業だ。ポートフォリオなど書類での審査、審査員と一対一での面談での審査を経て、3月23日に展示会場での公開最終審査が実施された。

株式会社リクルートホールディングスリクルートクリエイティブセンターの山越梓さんは、稲田さんの作品について、「同展では今までにない聖書というものを題材に、聖書を視覚化するというユニークな取り組み。聖書に詳しくない人にとっても視覚的に面白く、クオリティの高い作品」と評した。

審査会で興味を持たれたことは聖書解釈の多義性。「今回は現在の稲田さん自身の解釈で作られた作品だが、5年、10年後同じ聖書個所でも違うイメージの作品が生まれるという可能性があると思われました」

最終審査の映像は展示会場でみることができる。今回のグランプリは「Hyper ≠ Linking with…」を出品した中野泰輔さんに決まった。

各ファイナリストの作品は、旅、家族、難民、都市など様々なものを題材にし、色彩や表現方法も多様だ。個展を目指す公募展だけに、展示方法も工夫している。現代世界を映す様々なイメージを感じ取れるだろう。

稲田さんの作品では、写真の題材になった聖書箇所の朗読をヘッドフォンで聴くことができる。

稲田さんは今回の展示についてこのように述べている。

−−今回の制作で行った事は「聖書」の視覚化という大きな試みです。現代でも世界中の人々に読まれ、多くの人と寄り添って生きている聖書というものを過去のものとしてではなく、今を生きる者としての新しい切り口で表現しました。その世界観を伝えるためのモチーフを選び、必要であればそのモチーフも制作しました。クリスチャンの人口が1%という日本においてこのような作品を投げかける事は大きな挑戦であると考えています−−

会場はガーディアン・ガーデン(東京・中央区銀座7-3-5  ヒューリック銀座7丁目ビル B1F)。
入場は無料。日曜、祝日は休館。開館は午前11時〜午後7時。
会場ホームページ http://rcc.recruit.co.jp/gg/

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