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韓国現代史のなかで民主化運動の転換点の一つとされる光州事件(1980年5月18日~27日)。5月17日に全斗煥陸軍少将のクーデターが起こり韓国全土に戒厳状態に置かれ、全羅南道庁のある光州市に20万人を超す群衆が結集。同市を陸軍2万人の将兵が包囲し、市民の銃殺も厭わない強硬な鎮圧(作戦名「華麗なる休暇」)を断行。4000人を超える市民が死傷した。

事件当時、戒厳状態のなかで新聞などマスコミ報道は統制され、国内には報道されなかった。だが、東京に駐在していたドイツ人記者がいた。チャン・ン監督は、ドイツ人記者をソウルから光州まで帯同した平凡なタクシー運転手の視点から、記者が何を伝えるために光州市にまで来たのか、光州市の人々が何に抗して蜂起しているのかを描いていく。記者と運転手との間に強まっていく心の絆。光州市民の郷土気質と触れ合う中で他人事ではなくなるタクシー運転手の機微の変化が人情味豊かに演出されており、歴史的事件の重たい空気との対比に救われる。

【あらすじ】
妻に先立たれ、一人娘と暮らすマンソプは、家賃も滞納しているうだつの上がらないタクシー運転手。戒厳令が敷かれた光州市へ通行禁止になる前に入れれば10万ウォン支払うドイツ人記者ピーターがいるという話に飛びついた。地元民の情報を頼りにどうにか検問を切り抜けて光州市に入った。だが、町の様子は人通りもなくが異様だ。そこにトラックの荷台に乗ってデモの結集場所へ向かう大学生たちと出会った2人。マンソプはソウルへ戻ろうと言うが、ピーターは大学生ジェシクらを撮影しインタビュー取材を始め、マンソプだけ戻れという。だが、マンソプのタクシーの調子が悪くなってしまう。地元のファン運転手は、ピーターの取材援助とマンソプのタクシーの故障を直すため2人をひとまず自宅に招き入れる。しかし、その夜、銃声が鳴り響き情況が急変する…。

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【見どころ・エピソード】
5月17日に起きた全斗煥陸軍少将のクーデターと韓国全土の戒厳状態。民主化を求める全羅南道民衆が結集する光州市での放棄鎮圧は報道管制の下でマスコミ報道はされない。そのような光州市を脱出できたマンソプとピーターのシークエンスで、一人の軍人が思わぬ判断をする。徴兵されている軍人も愛と自由と平和を希求する一人の人間であることへの表現なのだろうか。【遠山清一

監督:チャン・フン 2017年/韓国/137分/映倫:G/原題:A Taxi Driver 配給:クロックワークス 2018年4月21日(土)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー。
公式サイト http://klockworx-asia.com/taxi-driver/
Facebook https://www.facebook.com/taxidriver0421/

*AWARD*
2018年:第90回アカデミー賞外国映画賞韓国代表作品。 2017年:第54回大鐘賞映画祭最優秀作品賞受賞。第38回青龍映画祭作品賞・主演男優賞(ソン・ガンホ)・音楽賞・最多観客賞受賞。第26回釜日映画祭作品賞・主演男優賞・釜日読者審査団賞受賞。第37回韓国映画評論家協会賞助演男優賞(ユ・ヘジン)・韓国映画評論家協会10選入賞。第21回ファンタジア国際映画祭主演男優主受賞。