ある種の確かさ

エドモンド・チャン著「『ある種』という確かさ」(効果的な弟子づくりを再発見する)を読んだ私の第一の感想は、弟子づくりと正面から取り組んだ本が日本語でついに出版された、です。

エドモンド師は、リック・ウォレンの言葉を引用して、「今日の教会が抱えている問題は、(数値的な)成長具合ではなくて、(霊的な)健康具合だ」と指摘します。また、大宣教命令の本質は、「ただ広めるためだけのメッセージではなく、生きるための生き方だ」とも述べます。弟子づくりとしばしば同義語で使われる、いわゆる「信徒教育」は何を目指すべきものなのかを考える時、次の言葉は熟考に値します。「人格が力量よりも重要で、存在が行動に先んじるのであれば、弟子たちの訓練は当然情報伝達以上のことをしなければなりません。情報を伝達しただけで満足していては、人生の変革は失敗に終わってしまいます」

この本の有用性は、著者自身が実際に弟子づくりを使命として教会を2つ建て上げ、なおかつ2人の後継者を育て上げたという実績に裏打ちされていることです。教会で弟子づくりをやろうとする際のさまざまな障害をどう乗り越えたか、また様々な年齢や必要の違う多様な信徒にどのように弟子づくりを浸透させたのかが具体的、かつ実際的に示されています。  著者は、さらに教会が今日直面している閉塞感がけっして日本だけの問題ではなく、アメリカでは「今年だけで3千500もの教会がなくなります。今月だけで千500人もの牧師が牧会を去り、今日1日で7千575人が教会を去ります」と述べ、それはキリスト教国イギリスでも同様だと指摘します。

今こそ、本来の大宣教命令に立ち返り、数ではなく質を、また次の世代だけでなく、その次の世代にまで続く福音の前進のために、英語の副題にあるように、宣教の成功とは何かを再定義するためにも、本書をお薦めします。 (評・楠田高久=国際ナビゲーター・ナショナルディレクター)

『ある種という確かさ 効果的な弟子づくりを再発見する』エドモンド・チャン著/高辻美恵訳

カベナント福音自由教会発行/いのちのことば社発売 1,944円税込 A5判

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