5月23日、東京文化会館小ホールで「─デビュー35周年記念─紫園香フルートリサイタル」が開催された=写真左=。世界の第一線で演奏活動を続けるとともに、キリスト品川教会音楽伝道師、日本国際飢餓対策機構親善大使、アフリカ・ケニアのスラムに住む子どもたちへの教育支援など、幅広い働きを続けてきた紫園だが、当日のプログラムはクラシックの殿堂にふさわしく、なおかつ信仰者としての思いが込められたものとなった。
 デビュー以来共演するピアノの藤井一興との3曲、独奏、クラリネットの柳瀬洋も加わっての1曲と、全5曲のプログラムの中で、やはり世界初演となった「ソロフルートとオーケストラのための『鷲のように新しく』イザヤ40:31」が、当夜のトピックだろう。台湾出身の金ゴードン希文氏への委嘱作品で、それまでの雰囲気とは打って変わった曲調の緊張感にあふれた演奏は、聴く者に集中を強いるとともに、表現者としての意欲を感じさせた。さらにアンコールでは、柳瀬佐和子作曲の「Benedicere(祝福)」が演奏され、自身の証しが掲載されたトラクトブック「賛美の風 吹き渡る世界へ」(EHC)が配布されるなど、キリストの香りが漂うリサイタルだった。