戦争法案の強行採決に抗議し、廃案を求める声明

自民党・公明党連立政権は、7月15日衆議院安保法制特別委員会で、翌16日衆議院本会議で「戦争法案」(平和安全保障法制整備法案)を強行採決しました。私たちは強く抗議するものです。

 

衆院憲法審査会では与党推薦の参考人を含め全員が憲法違反と断言、圧倒的多数の憲法学者が違憲と表明、世論調査でも8割以上が「説明不十分」、6割が「憲法違反」と答え、安倍内閣不支持が支持率を上回る中で、採決が行われたのです。先の総選挙で「戦争法案」を争点とはせず、小選挙区制によって政府与党が多数の議席をかすめとり、十分な審議をせずにその数を頼り採決を強行したことは、国民不在の暴挙と言わざるをえません。

 

私たちの国は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」し、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」し、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓い」ました(「日本国憲法」前文)。

そして憲法9条を制定したのです。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」。

私たちは自民党・公明党の両党に憲法前文と第9条を今一度しっかりと読み直すことを、そして「この憲法を尊重し擁護する義務を負う」(憲法99条)為政者として誠実に履行することを求めます。

 

聖書に「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。」(イザヤ書2章4~5節)。「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる」(マタイによる福音書26章52節)とあります。

 

私たちは聖書の教えに忠実でありたいと願っています。この教えは憲法前文と第9条に合致するものです。私たちキリスト者の願いは武器をもって敵意を助長するのではなく、話し合いによって和解することです。戦争ではなく、平和の道を歩むことです。世界に誇る憲法をもった国としての国際貢献を追求することです。私たちは「戦争法案」を廃案にするため、平和を願うすべての人々と共同して、今後とも祈り働くことを表明するものです。

 

2015年7月19日

日本キリスト者平和の会

代表委員  板谷良彦 榎本栄次 宇佐美節子 大江真道

小西文江 橋本左内 引地秀世  吉田吉夫

事務局長   平沢 功

〒338-0005さいたま市中央区桜丘1-7-8

電話・FAX 048-854-6937