福島原発事故により、今も放射能の不安に脅える福島県の人々。県南のいわき市に毎月1回、クリスチャンの看護専門職者、看護学生によるグループ「日本ナース・クリスチャン・フェローシップ(JNCF)」のメンバーが仮設住宅を訪問し、被災者の悲しみや痛み、葛藤に耳を傾けている。メンバーは福嶌知恵子さん(単立・久留米キリスト教会員)、鈴木栄さん(同盟基督・杉戸キリスト教会員)、西澤美智子さん(同盟基督・須坂聖書教会員)の3人だ。

 こんなエピソードも。ある50代の主婦が、仮設を訪れた。彼女は仮設の住人ではなかったが、福嶌さんが声をかけた。彼女の娘は夫と離婚。彼らの3人の子どものうち2人を津波で亡くすという悲しみの中にあったが、泣いたことがなかった。「大変でしたね」と声をかけると「自分がめげてしまうと、すべてが崩れていってしまうから、泣いてはいけない。だから、泣かないで頑張ってきた」。
 福嶌さんは「泣いていいんですよ」と言って、彼女を抱きしめた。すると彼女は、絞り出すような声で初めて泣いた。 (中田 朗)

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写真左=血圧測定をする福嶌さん(右)、西澤さん(中央)
写真下=外国人ボランティアと。写真中央が鈴木さん