【CJC=東京】米国の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏と子息でビリー・グラハム伝道協会(BGEA)総裁のフランクリン・グラハム氏が10月11日、共和党の大統領候補者ミット・ロムニー氏(マサチューセッツ州知事)とノースカロライナ州モントリートの自宅で会見した。
 93歳と高齢のビリー・グラハム氏は会談後、声明を発表。「我が家でロムニー知事と会い、もてなすことができてありがたい。特に彼の父、故ジョージ・ロムニー・ミシガン州知事と知り合い友人と思っていたこともあり思いは格別だ」として、「ロムニー知事と彼の家族と我が国のために祈ることは恵みだった。今アメリカは岐路に立っていると思う。アメリカ人多数が我が国のために祈り、結婚に関する聖書の教えを支持し、生命の尊厳を保護し、信教の自由を守る候補者に投票するよう願う」と、ロムニー氏支持を明らかにした。
 ロムニー氏の選挙広報担当リック・ゴルカ氏によると、グラハム氏は「あなたを助けられることは何でもする」と語った。
 ただBGEAのウエブサイトでは、モルモン教徒を、ユニテリアン、エホバの証人、サイエントロジスト、スピリティスト、統一教会信徒などと共に「カルト」のメンバーとしていた。子息のフランクリン氏も「キリスト者のほとんどはモルモン教をキリスト教だとは認めないだろう」と語っていた。しかし同氏は、「同性婚を支持し、中絶を擁護する候補者には投票できない」と述べている。オバマ大統領は、中絶する権利を支持、個人的には同性婚を認める、と語っている。
 ビリー・グラハム伝道協会のウエブサイトが、モルモン教を「カルト」としていた表現をやめたことも明らかになった。
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 これを受けて米メディアは、BGEAが「ロムニー候補の訪問によってカルトに関する意見を変えた」などと報じた。グラハム氏は歴代大統領の就任式で祈りをささげた牧師として知られ、米国福音派を代表する伝道者がモルモン教容認に転じたのかと憶測を呼んだのだ。このためBGEAは10月18日、「モルモン教をカルトでないと宣言したわけではない。フランクリン・グラハム氏がロムニー候補にへつらうため譲歩したのでもない」などとする声明を発表した。
 同声明によると、ビリー・グラハム博士のもとには過去に何度も大統領候補者や政治的指導者が訪れている。グラハム氏はその人物の宗教や背景がどうであれ裁くことをせず、だれでもイエス・キリストにある信仰を持つ機会が与えられるよう真実の愛をもって迎え、共に祈る時を持ってきた。
 グラハム博士は国の方向性や倫理観が悪化している米国の現状を憂慮しており、妊娠中絶や結婚について聖書に基づいた指針の候補に投票するよう国民を励ましたいのだという。ロムニー候補は妊娠中絶に反対で、結婚は男女の間で高潔を保たれるものとの信念を表明している。しかしロムニー候補がモルモン教徒であり、BGEAのサイトでカルトのリストにモルモン教が掲げられていることで論争に巻き込まれる危険を避けよ