日本による朝鮮半島植民地下の時代、最後まで神社参拝拒否を貫き拷問の末殉教した朱基徹牧師。その四男で昨年11月、79歳で亡くなった朱光朝氏が日本で講演した内容をまとめた証言集『岐路に立って 父・朱基徹が遺したもの』(野寺恵美訳、1,470円税込)がこのほど、いのちのことば社から出版された。10月21日、その出版記念会を兼ね、「2012年・朱基徹牧師記念の集い 恵みの高き峰」(同準備委員会主催)が神奈川県横浜市神奈川区桐畑の横浜長老教会で開催された。

『岐路に立って 父・朱基徹が遺したもの』は、日本の警察による非道な拷問を受け続け殉教した父・朱基徹の姿を描く。その光景は目撃した幼い光朝氏が3、4年間、失語症に陥るほどの凄惨なものだった。命がけで信仰を貫いた朱基徹牧師は戦後、「偉大な殉教者」として韓国の人々から称賛される。だが光朝氏は「父を助けてほしい」と祈り続けたのに神は答えてくれなかったことに反発し、約10年間教会を離れ、祈らない生活を送る。
父・朱基徹の殉教、光朝氏自身のその後の歩みと心の葛藤だけでなく、母・呉貞模の信仰、兄・朱寧震の生涯と殉教についても触れており、息子でなければ語れない貴重な目撃証言集だ。(中田 朗)

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写真右=証言集『岐路に立つ 父・朱基徹が遺したもの』
写真下=ありし日の朱光朝氏