戦時中、植民地、占領地などから日本陸海軍がつくった慰安所(売買春施設)に集められ、軍人・軍属の相手をさせられた従軍慰安婦。安倍晋三首相は1月7日の衆院予算委員会で「(旧日本軍が)人さらいのように人の家に入っていって、慰安婦にしたことを示すものはなかった」と述べ、93年の河野洋平官房長官談話で示した慰安婦に対する強制性について、軍による直接関与を示す証拠の存在を改めて否定した。そんな中、かつて中国・山西省で衛生兵として「従軍慰安婦」の身体検査を行った経験をもつ引退牧師の松本栄好氏(91)が2月8日、「信教の自由を守る日記念講演会」(日キ教会・東京告白教会主催)で証言した。

 松本氏は福岡県柳川市出身。1942年、日基教会・柳川教会で受洗し、その翌年、久留米48連隊に衛生兵として入営。教育・訓練の後中国・山西省孟県へ出征した。所属する大隊は7大隊からなる、固(かため)兵団と称する7,000人程の独立旅団。「報国女子挺身隊」の名目で、朝鮮総督府が各市町村から集めた40縲・0人の慰安婦が連行されていたという。(中田 朗)

写真右=従軍慰安婦の実態を証言する松本氏