安倍首相への「靖国参拝」に関する議長書簡
 総理、靖国参拝はおやめなさい

○靖国「神社」は無名戦士の「墓」とは違います。

 靖国神社は、人間(戦死者)を神(英霊)として祭るという特定の信仰によって設立されている神
社(宗教法人)です。諸外国の無名戦士の「墓」とは、まったく性格が違う存在です。
 ですから国政の責任者が参拝すれば、明らかに「政教分離」の基本を崩し、「信教の自由」を脅かすことになるのです。
 この神はキリスト教の「唯一絶対神」とは違うとよく言われますが、絶対者でないものを神として祭るのも「信仰」の一種だと分かっているはずです。だから「参拝」するのでしょう。

○戦争推進の責任者たちを神として拝むのですか

 戦死者だけでなく戦争責任者であるA級戦犯まで神として祭った時から、諸外国の抗議・非難を浴び始めました。戦争推進者の考えと行動を身近に知っていた昭和天皇も参拝をやめました。国民も戦争を是としようとする動きに危機感を強めました。
 粘り強く説明していくと言われますが、神として祭った戦争推進責任者の前で「平和を誓う」という言い訳を誰が信じるでしょうか。総理が(ひいては日本が)信用を失うだけです。

○「祭政一致」「富国強兵」を目指すのですか

 靖国神社参拝は「特定秘密保護法」「集団的自衛権行使容認」「原発輸出」など一連の強引な行動と一体のものでしょう。総理が「取り戻そう」とする「日本」は「大日本帝国」なのですか。
 靖国神社を国が設立・管理し「祭政一致」「富国強兵」を推進した大日本帝国が、どんな罪を犯し、どんな結末を迎えたか。それを体験していない総理に「危うさ」を強く覚えます。

総理、靖国参拝はおやめなさい。

2014年1月27日
日本キリスト教協議会議長
小橋孝一