「買います」の一言から始まり開所へ 瀬谷キリスト教会「デイサービス ハレルヤ!」 体と頭を使い、いつも生き生きと

写真=抹茶かりんとうをみんなで作る

 日本チャーチオブゴッド教団瀬谷キリスト教会(富安敦牧師)=神奈川県横浜市瀬谷区=の高齢者福祉活動として、月4回の高齢者支援活動「木曜サロン」(現在は「チャーチサロン」として教会が引き継ぐ)や福島県双葉郡川内村を訪問し住民を支援して来た「NPO法人せやふれあいの庭」(岡庭もも子理事長)は、昨年11月に地域密着型通所介護「デイサービス ハレルヤ!」を開所した。シルバー世代がいつも生き生きと輝くために、キリストの愛に基づいて「体を使い、頭を使い、歌を歌い、共に食し、共に笑う」憩いの場を作り、高齢者に仕えることを目指している。

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写真=1階が「デイサービス ハレルヤ!」

 場所は、教会から徒歩1分の所にある民家の1階。営業日は月曜日から金曜日までで、定休日は土日。お盆、年末年始の休み以外は祝日も営業する。定員は10人。サービスの提供時間は午前9時半から午後4時半までで、サービス提供地域は瀬谷区と旭区の一部。通所介護、介護予防通所介護、入浴サービス、食事、送迎サービスなどを行い、無料で生活相談も受けている。スタッフは介護資格を持つ岡庭さん、武藤恵理さん、松田孝子さんと、キッチンスタッフの柏木洋子さんら。みな、瀬谷キリスト教会のメンバーだ。その他に看護師やパートタイムスタッフも加わる。

 記者が訪れたのは、まだ寒さが厳しい1月だった。その日の利用者は、80歳を過ぎたA子さん一人だけだった。「始まったばかりなので、利用者は1日平均3人。いろんな方が来られるので、スタッフも常時3人ついています」と松田さんは話す。

写真=手作りの食事

 朝の挨拶から始まった。利用者とスタッフの一人ひとりが自己紹介。柏木さんからは、魚の一口揚げと野菜あんかけ、大根の煮物、さつま芋蜜煮、みそ汁、ごはん、パイナップルゼリーと、本日のランチメニューが発表された。それを聞いたA子さんは「あらっ、おいしそうね」と相好を崩した。

 レクレーションでは、うどんやパン、団子など、みんなで一緒に食事を作る「食レク」を行っている。その日は岡庭さんの誕生日ということもあり、特別に抹茶かりんとうをみんなで作ることに。粉をこねるA子さんを手伝う松田さん、武藤さんは、A子さんの世間話に「うん、うん」と耳を傾け、相づちを打ちながら、会話に花を咲かせていた。

 レクレーションでは、食レクのほかに手芸や折り紙などの趣味活動、入浴、運動機能を高めるために機械を使っての機能訓練もする。天気のいい日は歩行訓練も兼ねて、近くの公園に出かける。

 ランチは、調味料から手作りという、ヘルシーな家庭料理。利用者にも大好評で、おいしく、楽しく、にこやかな雰囲気の中、食卓を囲む光景が印象的だった。

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 デイサービスは、スタッフの念願でもあった。「2017年の秋頃から、定例ミーティングで、18年秋開所に向けてデイサービス設立を、との発言があり、イメージもわかないまま皆で祈っていた」という。

 そんな中、教会のすぐ隣にあるコンビニが撤退し空きスペースになっていた。不動産に問い合わせ、見学に行く段取りを付けたが、同日正午頃に不動産屋から「借り主が決まってしまった」との連絡入った。しかし、そこから場所探しの本格的な動きが始まった。

 18年4月、教会近くに住む住民が引っ越すことになり、その物件が売りに出されていた。その情報を聞いた29日の午後、岡庭さんがその家を見に行った。岡庭さんは、帰り際にひと言「買います」と言ったという。

 「その『買います』という先取り告白を聞いた時から、ものすごいスピードで動き始めた」と柏木さんは驚く。ふれあいの庭の5月初旬の臨時総会後、「物件を購入して、私たちに貸してくださる方が現れた」。横浜市建築局と健康福祉局に認可を求めたところ、「奇跡的に10月1日の認可にこぎつけた」。改築の際に「無利子で多額の資金を融資してくれる人が現れた」。こうして11月の開所へとこぎつけた。岡庭さんは「主が始められたことなので、自分のできる最善をしていきます。あとは神様が働いてくださると信じています」と抱負を語った。

 「デイサービス ハレルヤ!」スタッフ全員は毎日、「魂が救われるように」と、利用者のために祈りがささげられている。「利用者様の洗礼式を教会で見ることを心待ちにしている」とも願っている。【中田 朗

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