昨年7月、西日本豪雨で大きな被害に遭った岡山県倉敷市真備町。この真備町でのプロジェクトは、被災地支援のためボランティアとして当初から関わっておられたグッド・サマリタン・チャーチの金子道仁牧師の提案からスタートしました。
主なプログラムは、①真備のすべての小学校でラグビー体験や国際交流の場を提供すること、②被災地内の学校でラグビーフェスティバルを提供すること。9月27日、スコットランドのラグビーコーチ5人とウェールズのラグビーコーチ2人が到着。手分けして町内六つの小学校、倉敷市にある高校を回りました。低地に建てられていた2校はリフォーム工事中で、そこの生徒たちは被災を免れた小学校の校庭に建てられた仮設校舎で授業を受けています。支援も偏りがないよう丁寧な調整が必要です。
当日は学校ごとに趣向を凝らした歓迎をしてくださり、ある学校ではスコットランドの方が絵本と旗を寄贈されていたとのことで、スコットランドからラグビーコーチが来られることを大変喜んでおりました。すべてのプロセスの中に神様の守りと不思議な導きがあったことを覚えます。
One for all,All for one(一人はみんなのために、みんなは一人のために)。今回、この言葉がラグビーから生まれたことを知りました。実際は「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」という意味だとのこと。今回のプロジェクトはラグビーワールドカップを盛り上げ、それぞれの町に喜びや感動を届けることが目的ですが、最大の目的はイエス・キリストを伝えること。特に被災地で伝えるのはとてもデリケートなことです。海外からのチームはそのことも理解しつつ、ラグビーを教える中で最後に互いを讃(たた)えるノーサイドの精神も教え、互いの存在を感謝し、祈ることをしてくださいました。子どもたちも感動をもって、同じ時を過ごしたのです。
28日には小学校でフェスティバルが開かれました。午後から雨との予報だったため体育館にゲームブースを、屋根のある渡り廊下に飲食ブースを設営し、雨が降るまでグラウンドを使ってラグビー体験をすることになりました。しかし、翌日曜も雨は降りませんでした。メインの遊び場が室内にあったことで、フェスティバルでは晴天の下で思いっきりボランティアとして参加していた市内高校のラグビー部の方々と、当日フィジーから来た7人の選手が一緒に練習してくれました。出たり入ったりして無理なく楽しく子どもたちにタグラグビー体験をしてもらえました。体育館という屋内での遊びが増えたため、途中で帰る方は少なく、一生に一度の体験を共有できたと感じます。私たちのプランにはない主の最善でした。
スクラムを組むことからも多くのことを感じました。実際イベントを支えるボランティア団体も今まで共に被災地で協働してきた大切な方たちで、素晴らしい企画を国内外で調整してくださった方々、実際に来てくださった各国ラグビー関係者のボランティアチーム、それを支えるご家族や支援者、教会の方々、私たちの働きのため祈りサポートしてくださる方々、そのすべてが一つとなり人々の心に感動を与えるだけでなく、背後にある愛を多くの方が見られたと思います。
最近復興支援の中で「そのモチベーションはどこから来るんですか?」と聞かれる機会が増えてきました。その時には聖書に書かれている愛についての御言葉を語り、「教えるだけでなく実践できる人になりたい」と語るようにしています。
日本中で行われているラグビー振興活動を通してラグビーの素晴らしさが、それを伝えに来てくれている多くのクリスチャンボランティアを通し、主の栄光が現されていくことを期待します。(レポート・石原靖大=いのりんジャパン代表)