命は神様からのおくりもの   ワークショップで“痛み”と“恵み”共有 東京・教文館で絵本発行記念の個展開催

 羊毛フェルト作家泉谷千賀子さんが絵本『おくりもの』(いのちのことば社・フォレストブックス)を昨年末に刊行し、1月31日から2月12日まで銀座教文館(東京・中央区)で個展を開いた。『おくりもの』はこひつじの冒険物語。絵本の中で登場する羊毛フェルトの動物たちと、パネルが展示され、泉谷さんを講師に迎えたイースターエッグをつくるワークショップも開催された。

『おくりもの』(いのちのことば社・フォレストブックス)

 「この本は二人の孫娘が書かせてくれました」と参加者に語り始めた泉谷さん。

 2年前の春、泉谷さんにとって初孫となる双子の赤ちゃんが生まれた。「812グラムと502グラムという小さな体で生まれてきた二人。生後40日で、大きく生まれたはずの姉のほうが天に帰っていきました。保育器の中の命に私は何もできなかった。愛してるよともっと伝えたかった」

 息を引き取り、身体についた針やチューブがすべて取られた時にはじめて見た「すっぴん」の顔。

 「笑ってたんです。まるでお昼寝しているかのような安らかな笑顔で。きっとあの子は神様の腕の中で休らいでいたのだと思います」

 孫を亡くし、涙に暮れる日々の中で「あの子に託された神様の御用はなんだったのか」と考えた。「ああ、あの子が残してくれたのは愛だ。ばあちゃんの仕事は愛の種を育て、笑顔のお花をいっぱい咲かせることだ」

 もうひとりの502グラムで生まれた孫は大きな外科手術を何度も経た1年後自宅に帰った。「今も医療ケアを受け、生活には不便なこともある。でも彼女もいつも笑っていて、彼女のまわりは、いつも陽だまりのようなんです。きっと私ならふてくされちゃうだろうに。彼女は人と比べることなく、神様の守りをいつも感じているからなのではないかと思います」

 絵本の中では人と比べて落ち込み、家を飛び出すひつじが描かれている。森に迷いこみ、暗闇の中で顔を上げた時に小さな星の光を見いだし、「とうさーん」と叫ぶ。

 「その叫びは究極の祈りだと思うのです。でも本当の暗闇の中でこそ見える光がある。絵本の中でも、父ひつじが、何かができるから偉いのではなく、その命自体が神様からのおくりものであると語ります。私が二人の孫を通して神様に教えられたことです」

 針でちくちくとイースターエッグをつくりながら、泉谷さんの証しに耳を傾けていた参加者の中には涙ぐむ人も。自らの家族に起こった命の危機と神の守りを証しし、参加者一同が、神様に与えられた命のすばらしさを賛美し合う姿が印象的だった。【宮田真実子