インドネシア派遣宣教師夫妻が実践報告 文化と平和をつくる 沖縄キリスト教平和総合研究所特別講演会

沖縄キリスト教平和総合研究所(内間清晴所長)は、11月3日、2020年度特別講演会「文化と平和をつくり出す担い手として―インドネシアの人たちとともに生きる中で―」をオンラインで開催した。講師は、ウィクリフ聖書翻訳協会のメンバーとしてインドネシアで奉仕する、塚田真理子氏と夫のトゥグー・トゥリヤント氏。多民族、多言語の国での少数民族支援の実践と、そこから見えてくる平和のあり方について語った。

民族のアイデンティテ ィーの向上のために

インドネシア共和国(インドネシア)は、世界最多1万3千以上の島からなる島国であり、そこに300以上の民族と700以上の言語を有する多民族多言語国家である。そして人々は、自分の民族に対する帰属意識が強いのだという。インドネシアのジャワ島で生まれたトゥリヤント氏自身も「私はインドネシア人ではなく、ジャワ人だ」と述べるなど、自らのアイデンティティーを、国ではなく、民族により深く持っている。そして民族によって、その気質の違いははっきりしており、例えばジャワ人は「婉曲表現を好み、目立つことを好まないが、芯は強く、協調性を重んじる」。
ジャワ人はインドネシアで最大の人口を占めるが、当然人口の少ない、少数民族も多数存在する。塚田氏とトゥリヤント氏は、首都ジャカルタから国内線で1時間半の西カリマンタンを拠点に、聖書を民族の言葉に翻訳し、母語で聖書を持っていない人たちの中で奉仕するが、カリマンタンだけで80以上の言語が存在する。人生の多くの時間を日本以外の地で過ごしてきた塚田氏は、「どれだけ現地の人と同じように暮らしても、自分の民族のルーツ、言語、文化が無くなることはないし、それがどれだけ自分の芯の部分にあるかに気づかされる」とし、「世界には少数であるがゆえに、その独自のルーツ、言語、文化が顧みられない民族があり、カリマンタンの人々も、それゆえに劣等感を持ち、自らを劣った民族と思うことを余儀なくされてきた」と言う。
そのような人々の中で実践してきたのが、識字教育、聖書翻訳、民族音楽の発掘・継承である、、、、、、

2020年11月29日号掲載記事