内閣総理大臣 安倍晋三殿
2014 年6 月25 日
カンバーランド長老キリスト教会日本中会
議長 荒瀬牧彦
神学・社会委員会委員長 瀬底正博

集団的自衛権の行使容認に断固反対します

 私たちカンバーランド長老キリスト教会日本中会は、集団的自衛権の行使を容認することに断固として反対します。
 日本国憲法の平和主義は、内外にはかりしれない悲惨をもたらした戦争に対する深刻な反省をもとに堅持されてきました。「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」を「国際紛争を解決する手段として」放棄し、そのために戦力の不保持と交戦権の不行使をうたう憲法9 条があったからこそ、戦後70 年近くの間、日本は直接武力によって人を殺すことも殺されることもない歴史を築くことができました。
 しかし、集団的自衛権の行使を容認することは、それとは全く逆の方向に進むことです。
 他国が武力攻撃を受けたことをもって攻撃した国に日本が反撃することは、武力攻撃した国に対しては日本の先制攻撃となり、日本は敵国となって反撃を受けることは必至であり、戦争状態に入ります。安倍首相は「国民の命を守る」ことを強調されますが、根強い対話による解決を放棄して集団的自衛権を行使することは、日本国民の命だけではなく、世界の人々の命さえ危険にさらすことになります。
 日本が進むべきは、人間の命が戦争によって失われることがないよう、憲法の平和主義、中でも9 条に基づいて武力によらない平和を追求する道であり、それでこそ世界の先端をゆく名誉ある地位を占めることができると考えます。
 集団的自衛権の行使容認は、世界に誇るべき日本の平和主義を突き崩します。しかも、集団的自衛権を認めていない憲法のもとでその行使容認に踏み切ることは「憲法改正」にほかならないにもかかわらず、第96 条の憲法改正の手続きを回避し、国民の意思を問うことがないばかりか、国会の審議も経ないで、閣議決定によって行使を容認することは許されることではありません。これは、立憲主義を崩壊させる行為であり、憲法を尊重・擁護する義務を負う政治家として憲法違反、憲法への反逆であり、民主主義への挑戦と言わざるをえません。
 後世に民主的な平和国家を引き継ぐ責任を果たすためにも、集団的自衛権の行使容認、閣議決定による解釈改憲を行なわないよう強く求めます。