[CSD]2011年5月1日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年5月1日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎「現地の声聞き続けて」——「自己満足」支援に警鐘
★十字架塔が地域復興への希望の光に——残った柱に十字架付けて シーサイド・バイブル・チャペル被災後初の礼拝

 = 2 面 ニュース =
★キングス・ガーデン源流30年——高齢者から障害者、夢は幼児施設も
★震度7の栗原市 被災教会が救援拠点に——不登校生らも「与える側」
◎原発全廃、情報開示などを要望——NCC、日基教団奥羽教区が政府・関連団体へ——
★<落ち穂>共生の中にキリストを見る

 = 3 面 教界ニュース =
◎青森の諸教会も救援ネット——岩手被災地救援へ地元ネットと連携
★被災地の子どもの心ケア——ルーテル学院大などが手引き公開
★韓国教会が日本災害対策——教派を超えて共同窓口開設
★日本宗教連盟:被災宗教施設復旧への寄付金控除を要望
★ブリックスが被災外国人向けに無料通訳ダイヤル——
★<オピニオン>若者にとって魅力的な教会とは? 記・森田美芽

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★高橋 恵介さん[上]([株]ブリックス マーケティング本部事業企画部長)——在日外国人との橋渡しに
★<『もしドラ』教会編>[5]マーケティングは販売を不要にする?——世の問題を解く鍵はキリストに 記・千葉雄志

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★牧師性加害はなぜ起きたか(3)——日本ホーリネス教団 検証報告を公表?
★<精神障害と教会>[95]災害対策(2)自分なりの暮らしやすさを  記・向谷地 生良

 = 6 面 特集/朝祷会全国連合=
★御言葉に聴き、心を合わせて祈る——朝祷会全国連合 50回全国大会


★朝祷会の神髄は「御言葉をください」 記・飯田 潔
★神様が祈ることを求めておられる 記・米田昭三郎

 = 8 面 憲法記念日/法律特集=
★憲法とキリスト教——善悪を判断する法意識は聖書信仰に基づく 記・櫻井圀郎

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「Belive in Love」サムエル(ライフ・ミュージック、1,680円税込)
★CD:「FRIEDEN フリーデン 平安」村上信晴・増田理恵(ミクタムレコード、2,500円税込)
★REVIEW:『歴史のイエスと信仰のキリスト』アリスター・E・マグラス著(キリスト新聞社、4,725円税込)評・具志堅 聖

 = 10 面 関西だより =
★OCCで女性アーティスト4人の緊急支援コンサート開催——森 祐理さんが現地の様子を報告
★「これ持ってって」と被災地へ学用文具送る——キッズ・ファミリーサポートミッション

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★沖縄から東北へ 海越え毎日運んだ物資800個ー——白い家フェローシップチャーチ
★自転車100台 熊本から被災地へ——TCC熊本ハーベストチャーチ
★<また行きたい! 教会の魅力>[11]キーワード「ミニストリー」?——大震災への支援 教会間超えた協力

 = 12 面 震災/教会=
★痛みの中で神を見上げる——奥多摩に避難した保守バプ・福島第一バプテスト教会




◎「現地の声聞き続けて」−−「自己満足」支援に警鐘=1105010101

 震災から1か月が過ぎたが、いまだ復興作業は続く。今回の震災救援には、多くの教会、キリスト教団体が動いた。しかし支援を申し出ても、地元の教会の負担になってしまうというケースもある。4月12~14日、岩手県の教会を訪ね、被災地の周辺から救援活動を行う教会の実情を聞いた。

 岩手県沿岸部の宮古市までは盛岡市から、山間部の蛇行した道を東へ向かい約2時間。国道沿いの山地側は被害が少なく、交通量も多い。しかし沿岸部に行くと、内部が流され柱だけ残った建物や、ガレキばかりだ。一応の整理はされたと見え、ガレキの山が道沿いに点々と積まれていた。
 救援拠点ともなっている単立・宮古コミュニティー・チャーチ(宮古市舘合町、岩塚和男牧師)を訪ねた。教会から派遣されたチームは市内の避難所などで、子どもたちと遊ぶ活動をしている。物資があまり届かない地域を一軒一軒訪問して食料や消耗品などを届けたり、被災者の話を聞く支援も行っている。
 「国内外の団体から救援の申し入れがひっきりなしに電話や訪問で持ちかけられ、予定していた活動ができなくなったり、ゆっくり休むこともできません」と岩塚牧師はためいきをつく。相手は復旧を助けたいという善意なのだが、受け入れる側の態勢が整っていない。岩塚牧師と協力し、宮古市で救援活動を行う近藤愛哉牧師(保守バプ・盛岡聖書バプテスト教会、3・11いわて教会ネットワーク・コーディネーター)も、「自分たちがこういうことをやりたいという思いが先行して、被災地の必要に耳を傾けない自己満足な奉仕にはならないように気をつけて欲しい」と訴える。中には、人との対応に非常な負担を感じている牧師もいると。「被災地で必要なのは、まず現地の言葉にもならないような声を聞くことです」
 岩塚牧師は、コーディネートによって、様々な活動をするチームが派遣されることに助けられているという。「コーディネーターがなく、救援団体に対応しなければならない教会は、もっと大変だろう」と気遣う。今後の救援活動について質問をすると、岩塚牧師は困惑した面持ちで、「答えにくいです。毎日、被災地の要望を聞くだけで精いっぱいです。とても長期的な展望は持てません。いつまで続くのかも分からないのです」と実情を述べた。
 継続的な支援は必要だ。「忘れられてしまうと、きつい。地域教会は自分たちだけでは復興できません」と岩塚牧師は話した。
 救援活動をする地域教会のケアも大切だ。95年の阪神・淡路大震災で被災しながら、教会を救援拠点として活動した小平牧生氏(兄弟団・西宮教会牧師)に話を聞いた。
「時間が経つと被災地では回復の度合いに格差を感じるようになる。闘病仲間の一人が先に退院していく時のような状況だ。わが身のことのようにうれしい一方、自分の状況を考えると絶望的になる。報道される教会に支援が偏り、落胆したり、『がんばっている』人の話を聞き、『がんばれない』自分が責められているように感じる方々もいるのでは」
 さらに信徒と牧師の関係について「教会に物資や人々の出入りが続くと、早く日常の状態に戻りたい信徒の心と牧師の意識とにギャップが生じることもある」と心配する。被災地が忘れられる不安もある。「阪神・淡路大震災では、2か月後に地下鉄サリン事件が起きて世間の関心が移った」と。
 被災の悲しみや救援の疲労は今後も続く。キリストのからだとして、聞き合いながら支援を続ける必要を、被災地域の教会の声は教えてくれる。

◎原発全廃、情報開示などを要望−−NCC、日基教団奥羽教区が政府・関連団体へ−−=110501020

 福島第一原子力発電所の事故に関して、日本キリスト教協議会(NCC、輿石勇議長)は4月11日「自らの信仰的立場を明らかにする」声明を菅直人首相に出した。
 声明は、日本政府が「安全神話」を根拠に原子力行政を続けてきたこと、適切な情報を開示しないこと、労働者や食料品の被曝線量の安全基準値を任意に引き上げることに抗議。NCCがこれまで、原発が人間の手に負えるものではなく環境破壊行為であることなどを指摘してきたにもかかわらず「止めることをできずにいる自らの怠慢」を神に懺悔した。
 その上で、▽国内の原発・関連施設の全廃と速やかな停止、▽事故の処理、原因究明を誠実に、労働者の人権を擁護しつつ行うこと、▽情報管理によって思想統制せず、正確な情報を開示すること、▽高濃度の放射能に汚染された地域住民を政府の責任で強制避難させ、誠実な謝罪と損害賠償を行うことを要望した。
 一方、日本基督教団奥羽教区(邑原宗男議長)は同12日、原子力発電、核燃料サイクル中止を求める声明を菅首相と東京電力、日本原燃の両社長に出した。同教区はこれまで、「いのちと平和を脅かす」として原発と核燃サイクルに反対してきた。チェルノブイリや柏崎刈羽原発で起きた大きな損傷を教訓とせず、国策として原発政策を続けてきたことを批判。「神が創造された世界を、人間の手によって破壊し汚すことはあってはならないと警鐘を鳴らした。

◎青森の諸教会も救援ネット−−岩手被災地救援へ地元ネットと連携=1105010301

 東北各県の諸教会が被災地支援のためのネットワークを作る動きが、仙台、岩手に続き、青森でも開始された。
 JECA・青森福音キリスト教会の菅野淳一牧師、同盟基督・青森シオン・キリスト教会の浜田献牧師、JECA・五所川原福音キリスト教会の五十嵐賢志牧師、JECA・黒石福音キリスト教会の織田信明牧師は3月28日から30日まで、被災地の必要を知り青森の教会協力の中で何ができるか調査するため、救援物資を携え、クラッシュジャパンがベースを置いている岩手県遠野市を経由して、大船渡、釜石、大槌の同県各市町を訪問。その情報を基に、超教派で救援活動を進めるため「3・11あおもり教会ネットワーク」を立ち上げた。青森県内では八戸周辺でも被災したが、八戸市がすでにボランティア登録を締め切り、行政が被災地域に対応していることを受け、被災が激しい岩手方面に活動の手を伸ばすことを決めた。「3・11いわて教会ネットワーク」と連携し、現地の諸教会の声を聞きながら活動を進める。
 第2回救援ボランティアを4月18日から20日に実施し、大槌町と宮古市に入った。第3回は5月16日から18日に計画している。
 視察の結果、必要とされている主な活動は、家財や畳の撤去、ドロの片付けなど被災した建物の清掃。作業の合間に話をすると、家族を亡くした人、独り暮らしや老夫婦の世帯などがあり、清掃ボランティアの必要は大きいと菅野氏は報告している。「救援活動をまとめているのは行政だが、そこにクリスチャンが入って行き、一緒に働くことを通して、よき証しの場になることを実感した」という。特に大槌町は教会がないため、将来は教会が設置されることも願っている。
 「3・11あおもり教会ネットワーク」では、救援の働きはこれからだとして、諸教会の登録・協力を呼びかけている。問い合わせ窓口はTel.017・743・3710、青森福音キリスト教会内。Email: fukuinch@alto.ocn.ne.jp