[CSD]2011年6月12日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年6月12日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
★メッセージ:苦難の中で希望を生きよ 記・原田 憲夫

 = 2 面 ニュース=
◎「君が代」条例:「規律の問題」ではない——橋本大阪府知事に 少数者の良心尊重を要請
★最高裁が初の合憲判断下す——公立校職員への「君が代」起立斉唱命令に
◎「神の領域に手を付けたのでは…」——土肥隆一議員、原発問題に危機感
★国際:米国「国際信教の自由委」がエジプトを監視国リストに——
★<落ち穂>大震災免れた『ケセン語訳聖書』、秋に印刷再開へ

 = 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[48]坂本直寛の章:6——洗礼を受けるに至るの弁 記・守部喜雅
★「God Bless You」故郷にエール——東北出身アーティストら思いを込めてチャリティ
★Facebook公開グループ「クリスチャン地震被災状況」の登録者1000人突破
★<オピニオン>「君が代」起立条例の危険 記・袴田康裕

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★町田 要一さん[下](弘和印刷[株]取締役)——「神の言葉で人間、強くなれる」
★新連載<定年後の挑戦>[1]リタイアは人生のビッグイベント 記・星野 隆三

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『こころの扉がひらくとき』村上宣道ほか共著(いのちのことば社、300円税込)
★BOOK:『愛とは何ですか』平野耕一著(いのちのことば社、1,200円税込)
★CD:「Zawameki11 Over All Nations」全14曲(プレイズ出版、2,100円税込)
★REVIEW:『新約聖書のモラル・ヴィジョン』リチャード・ヘイズ著(キリスト新聞社、1,890円税込)評・岡山秀雄

 = 6 面 教会学校 =
★「イマドキ」が語る将来の夢——CGNTV番組「Your Special」青年座談会から

 = 7 面 ペンテコステ記念特集 =
★メッセージ:危機の中の世界宣教——人類の課題に取り組む教会となる 記・福田 崇
★英国:ツイッターで「主の祈り」——イースターからペンテコステまで5万人目標で実施中

 = 8・9 面 キリスト教主義学校特集 =
★この学校で学んでよかった!——人生の希望を発見 後藤モニカさん
★キリスト教主義学校の魅力に触れよう——第2回大阪キリスト教学校フェア(7月30日@日基教団・東梅田教会)
★この学校で学んでよかった!——視野を広げ信仰深め 小池祐介さん
★この学校で学んでよかった!——学校で神様に出会う 水野綾子さん

 = 10 面 全面広告 =
☆日本ホーリネス教団 60周年記念夏季聖会
日程:7月18日(月)~20日(水) 会場:箱根小涌園
TEL.03-5369-3929 FAX.03-3255-1005

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎「東北の痛みは僕らの痛み」——日基教団・頌栄教会で毎週金曜夜8時に「キンパチ」祈祷会
★赤レンガのレトロな雰囲気——早稲田スコットホールギャラリーがオープン
★<また行きたい! 教会の魅力>[15]ミニストリー「礼拝篇」?——一人ひとりが各器官に

 = 12 面 教会 =
★子連れの母親のためにお料理——戸田福音自由教会


◎「君が代」条例:「規律の問題」ではない−−橋本大阪府知事に 少数者の良心尊重を要請=1106120

 橋下徹大阪府知事が代表を務める「大阪維新の会」が5月25日、府の施設への「日の丸」掲揚と、府立学校及び市町村立学校の行事において教職員に「君が代」の起立斉唱を義務づける条例案を府議会に提出したことに対し、キリスト教界では思想・良心の自由、信教の自由の侵害を懸念し危機感が強まっている。橋下知事や府議会への要請が相次いだ。

 日本キリスト改革派西部中会世と教会に関する委員会は5月26日、袴田康裕委員長ら3人の委員が府庁を訪れ、教職員に「日の丸・君が代」を強制する条例に反対し、少数者の良心を踏みにじらないでほしいと要請した。
 要請は、・「日の丸・君が代」は基本的人権の問題、・「日の丸・君が代」の強制は教育の荒廃を招く、・「日の丸・君が代」は良心の問題、と理由を挙げ、「私たちにとってこの問題は、決して『組織マネジメントの問題』(橋下知事)ではなく、良心の問題」と訴えた(3面オピニオン参照)。
 要請文提出先は、大阪維新の会、公明党、自民党、民主党・無所属ネット、共産党、みんなの党の各大阪府議会議員団、無所属クラブと知事室。
 委員らは知事室の見える大阪城公園で祈りをささげてから、府議会各会派の控え室を訪ね、事務官や政党職員に内容を説明し思いを伝えた。公明党では直接、府議会議員に伝えることができた。
 その後、知事室秘書課を訪ね、知事宛ての文書を事務官に説明し提出。その際かなりの議論をしたが、「少数者の良心を踏みにじってはいけないという、こちらの思いを伝えることができた」と袴田氏は見ている。
 「教会が抗議文や要請文を、政党や役所に提出する場合、郵送ですます場合が多い。しかし、本当にこちらの声を伝えたいならば、足を運んで、伝えたい人にできるだけ近づくことが大切。現場の空気を知ることも有益です」と、袴田氏は要請行動の意義を述べた。

◎「神の領域に手を付けたのでは…」−−土居隆一議員、原発問題に危機感=1106120203

 都内で国政報告会が行われ、東北の被災地を4回訪問した土肥隆一衆議院議員が報告。原発事故については放射能汚染に危機感を覚え、「今、日本は国家的な危機の中にある。この問題の解決には、10~20年という長期的な戦になる」と語った。
 土肥氏は「地震、津波による自然災害は一歩ずつではあるものの解決に向かっているが、原発問題は手こずっている」と表情を曇らした。「原子炉を廃炉にしても炉自体に放射性物質が残り、各物質の半減期を超えて隔離しなければならず、その間施設に近づくこともできない。核燃料は水でしか制御できないという喜劇にも似た話だ。世界でも最高の溶接技術で造った圧力容器に穴が空き、水が漏れているというのだ」
 また、「放射能汚染は、福島だけでなく、関東一円にも広がりつつある。最悪日本が全国的な汚染列島にならないことを願う」と危機感を表した。
 このような原発を、国策として54基も造ってきたことに対し、政治家、政府の責任は免れないと指摘。「原発に関しては世界第3位の原子力発電大国。政府は電源三法(電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法)によって電気事業者を奨励し、電気料金に税金を組み込み、立地自治体に雇用をはじめとして、原発建設地域に道路、学校、福祉施設を建設するなどを講じ、原発による電源開発を推進してきた。しかし現在は、発電所事故の収束に向け全力を尽くしているものの、確たる展望もないまま、現場は危機感で満ちている。これは政治家である私自身にも責任がある。政治家はこの福島の現実から目をそらすことはゆるされない」
 この事故は、私たちの生き方を根源から突き崩すものとなったと語る。「経済の発展には電力が必ず必要だが、政治はベストミックスといって、その3分の1を原発でまかなっている(後は石炭等化石燃料、水力それぞれ3分の1)。だが、太陽光や風力発電にも乗り越えなければならない課題があり、本格的技術までは到達していない」
 どうしたらいいか、まだ私たちにはその確たる解答がないところに最大の問題があるとし、「今、『想定外』のことに直面している私たちキリスト者はどう生きたらいいか。信仰を賭けた生き方が問われてくる」。
 そう語った上で、「神のなさることはみな想定外」と強調。「触ったりいじってはいけない神の領域に手をつけてしまったのではないか。だが、私たちは神の想定外の働きを信じ、期待しつつ生きていくべきだ」と結んだ。

◎「東北の痛みは僕らの痛み」−−日基教団・頌栄教会で毎週金曜夜8時に「キンパチ」祈祷会=110612

 金曜夜8時。かの有名なテレビ番組「金八先生」が放映されていた時代から幾歳月かたった今、東京都世田谷区の下北沢にある日基教団・頌栄教会では東日本大震災を覚えて毎週祈祷会「キンパチ」を開いている。中心メンバーは大学生や神学生だ。

 最初に「キンパチ」を始めたのは4月8日だった。「以前から東北は教会が少ない。10年後、20年後には無牧教会ばかりになったり、教会がなくなるかもしれない、そんな危惧がささやかれているのを耳にしていました」と会をリードする小松佑多さんは言う。
 その日はずっと先の未来のいつかのこと。多くの人は、何かしら危機が迫っていても「まだやってきてないから」と、問題を先送りにすることがよくある。彼らもまた、3月11日まで東北の教会の抱える危機感を少し遠く感じていた。「東日本大震災で倒壊したり津波で流されたり、多くの教会が被害に遭いました。もともと数も多くなかった東北の教会が、この震災によって苦しみ、悲しみにあえいでいる。彼らの痛みは私たち自身の痛みだ、そう思いました」
 居ても立ってもいられない。何から始めたらよいのか。そう考えたときに「祈ることだ」と示されて「キンパチ」を立ち上げた。参加者は青山学院大学の学内宣教の部活、青山キリスト教学生会(ACF)や他大学のキリスト者学生会(KGK)、高校生、社会人と若者を中心に30人以上が常時集まる。「いつも決まってるメンバーではなくて、いろんな人がやって来ます。だいたいいつも誰かが新しい人を誘って来てくれて、新鮮ですね」と田所さん。また、会場となっている頌栄教会の清弘剛生牧師の協力も欠かせない。下北沢駅から徒歩10分圏内で毎週夜に開放してくれる教会があることで、始めてから2か月ほどだが「キンパチ」はすでに定着した感のあるものとなっている。
 記者が訪ねた日も、新しい人が数人来ていた。明るい雰囲気で初めての人も、緊張せずに溶け込めるオープンな雰囲気がある。
 「キンパチ」は賛美から始まる。元気よくかき鳴らすギター、ピアノ伴奏などに合わせてワーシップソングを歌い、心を神様に向けて、祈る態勢に心を整えていく。賛美が終わると、ゴールデンウィーク期間に「キンパチ」メンバーで行った東北Prayツアーのムービーを見ながら説明。
 その後、コアメンバーのひとり、吉川光太郎さんによるメッセージが・コリント1・10~13からあった。この震災を通して「人が一つになれるのは、主イエス・キリストの名によって。同じ天の父を仰ぎ、聖霊に燃やされて、真理でありいのちであり道であるキリストを通ることが一致を可能にする。人の力でできないことも神がなしてくださる」と力強く語った。同世代の言葉は若者の心にも届いているようで、皆が集中してメッセージに聞き入っていた。また、「こうして若者が集まれるのだから、どの世代でも可能なはず。思いだけで一つになるのではなく、祈りや行動を通して一致していこう」と励ました。そして、祈祷時間に。参加者は大きな円を作り、手をつないでテーマごとに各自で熱く祈った後、1人が代表で祈りを献げた。
 「キンパチ」では被災したクリスチャンや牧師の声を聞き、毎週新しい祈祷課題を元に祈ったり、ゲストに東北の教会の牧師、被災地で奉仕する人を呼び、話を聞く機会も設けている。
 「隣人となるとはどういうことか。東北で起きていることは首都圏のクリスチャンの痛みでもあり、15年後の東北、キリスト教会を中心的に担うのは僕らの世代で、東北の痛み、キリスト教の弱まりは他人事じゃない。真剣に祈り合う仲間と会うというリアリティーも大切にしたいです。また、皆違う教団教派から集っていますが、ここでの祈祷課題や体験を各教会にフィードバックして良い流れを作っていきたいです」
 今後も様々なイベントを計画しているという。