[CSD]2011年7月31日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年7月31日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎福島覆う「見捨てられ不安」——MTCが東京で「放射能問題を考える」シンポ
★イラン:背教罪でユーチェフ・ナダルカニ牧師に死刑判決
★「日本は愛されてます!」——ジーザス・マーチ2011

 = 2 面 ニュース =
★南スーダン共和国:独立したが未解決の課題——奴隷として北部に連れられた3万人以上の人々
◎会堂・自宅流出体験と再献身——4か月目の3・11一致祈祷会で嶺岸浩牧師が証し
★苦しみの中に神様の時が——『流浪の教会』出版記念講演会
★<落ち穂>夏の復興活動へ本格化

 = 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[53]坂本直寛の章:12——獄中書簡に牧会の賜物 記・守部喜雅
◎ホームスクーラーたちが各地で賛美ツアーを企画——クリスチャンとの出会いと「福音伝えたい」

★<オピニオン>15の壁について考える——「全福音」「全世界」「全教会」の視点から 記・杉本玲子

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★竹下 力さん[中]([株]HMCにこまるツアー企画部マネージャー)——最後は父と親しくなれた
★<定年後の挑戦>[3]リタイア・ライフのビフォー・アフター 記・星野 隆三

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★変わりゆくアジアにおける不変の福音<後編>——アジア・ローザンヌ会議 モンゴルで初開催 記・立石充子——
★<精神障害と教会>[101]ピア・スペシャリスト(2)自らの経験を語り専門家の役割を 記・向谷地 生良

 = 6 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★Movie:「ミラル」希望を育む教育と愛(8月6日よりユーロスペスほか全国順次公開)http://www.miral.jp/
★BOOK:『放射性物質から身を守る食事法』富永國比古著(河出書房新社、1,260円税込)
★REVIEW:『卒業したあなたへ 入学したあなたへ』湊 晶子著(いのちのことば社、700円税込)評・

 = 7 面 クリスチャンライフ=
★DCATカンファレンス:チームでする教会づくり——燃え尽きないリーダーシップのあり方とは?
★被災学生を無料で海外留学に——ジーザスライトハウスが200人招待
★Movie:「おじいさんと草原の小学校」——人を裁くことの重さ(7月30日より岩波ホールほか全国順次公開)http://84-guinness.com/

 = 8 面 ひと=
★松岡拓也(元海外青年協力隊員)——心に息づいていたマザー・テレサの言葉


◎福島覆う「見捨てられ不安」−−MTCが東京で「放射能問題を考える」シンポ=1107310101

 宣教師訓練センター(MTC、奥山実所長)の25周年を記念し、被災者支援シンポジウム「東日本 FUKUSHIMA 放射能時代を生きる&ソーシャル・ネットワークセミナー」(国際デジタルカンファレンス実行委員会主催)が7月15日、東京・渋谷区代々木神園町の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された。放射能問題を考えるシンポジウムでは、福島県の被災者8人がパネリストとして立ち、現地報告をすると共に、一向に復興、復旧が進まない福島県民の複雑な心情を語った。

 MTCは、25周年事業として「ソーシャルネットワークを宣教に生かそう」と「ソーシャル・ネットワークセミナー」を行う予定だった。ところが、東日本大震災で原発問題が発生。「放射能の問題も考えるべきだ」と、急きょ、放射能問題を考えるシンポジウムも開くことになった。
 パネリストは富永國比古(ロマリンダクリニック院長、郡山市)、佐藤拓未(飯舘村元社会福祉協議会職員)、木下正人(日基教団・小高伝道所牧師)、近藤恵・華子夫妻(有機農業家、二本松市)、青田由幸(NPO法人サポートセンターピア理事長)、佐々木威(日基教団・三春教会付属幼稚園園長)、森章(平キリスト福音教会牧師、いわき市)の各氏。
 富永氏は「我々は『見捨てられ不安』という状態に陥っている」と指摘。エレミヤ書8章を挙げ、「『平和がないのに平和だ、安全がないのに安全だ』と言っていることが、原発問題の本質。この人間の傲慢が完全な破滅をもたらす」とし、「福島が滅びれば日本が、日本が滅びれば世界が滅びる。福島を見捨てないでほしい」と力を込めた。
 現在、いわき市で避難生活を送る木下氏は「『頑張って』という言葉がつらい。こんなに頑張っているのにこれ以上どう頑張ればいいのか、その気持ちを受け止め共に歩んでほしい」と語った。
 計画的避難区域に指定された飯舘村の佐藤氏は「村民はいつ帰れるか不安に覚えている。世間では飯舘村のことは風化していくが、私たちにとってはいつまでも過去のことではすまされない。どうかこの事態を忘れないでほしい」と訴えた。
 二本松市で有機農業を営む近藤氏は、「安全、安心を売り物にしていたのに、ペンキで×を付けられた。産直という顔の見えるスタイルが今回はあだとなった。お客様も4月以降、半分に減っている。放射性セシウムは全く検出されてはいないが、お客様には何と言えばいいか。皆さんの判断で買ってください、としか言えない」と複雑な心境を告白。「原発をどうするかよりまず現場を助けてほしい」と訴えた。
 青田氏は、原発から25キロ圏内の南相馬市の市民7万人中3万5千人が戻ったが、その多くが避難所で生活できない高齢者、障害者とその家族だと語る。「高齢者や車いすの方、知的障害をもった方は避難所で迷惑をかけるからと2、3日で家に戻ってくる。それに対応する手段がまだ見つかっていない。命に関わるような人が残っているが福祉サービスも破綻し、病院の空きベッドもやっと10床から70床に増えたのみ。こういう現状が今も続いている」と報告した。
 発題を受け奥山氏は「キリスト教界は決して見捨てない。最後まで何とかする」と力を込めた。
 また「FUKUSHIMAいのちの水基金設立準備会」が開かれ、県内の幼児、胎児10万人に年間3千万本のペットボトル入り飲料水を配るための基金設立が承認された。【郵便振替】0229・5・118137、FUKUSHIMAいのちの水プロジェクト。

◎会堂・自宅流出体験と再献身−−4か月目の3・11一致祈祷会で嶺岸浩牧師が証し=1107310202

 東日本大震災後、毎月11日に開催される「東日本大震災復興支援3・11超教派一致祈祷会」(同世話人会主催)の第4回が7月11日、東京・新宿区百人町の淀橋教会で開催。震災による大津波で会堂と自宅が流されてしまった保守バプ・気仙沼第一聖書バプテスト教会の嶺岸浩牧師が、震災の中を通って受けた恵みについて証しした。
 「今、世界中の多くのクリスチャンたちが、私どもの教会のために祈り、支え、応援してくださっている。会堂と自宅が流されたことは悲しみであるけれども、そのことを受け止めて感謝できる。これはクリスチャンでなければ言えないこと」と嶺岸氏は語る。
 嶺岸氏は、地震発生後の30分後には妻と娘を車に乗せ、高台に避難したため、九死に一生を得た。だが2日後、教会のあった場所に行って見ると、「約3年前に建てたばかりの会堂が跡形もなかった」。3、4千冊はあった嶺岸氏の蔵書も全部流されてしまった。だが、この体験を通して「『わたしだけに頼れ』とイエス様が語りかけてくださった」という。「一切のものが流されたことによって神様だけ、イエス様だけに信頼して歩むことを示され、私はこの時、新しい心で神様に献身をした」
 震災前に、『神を愛する』(チャールズ・コルソン著)を読んでいたから、この状況を受け入れられた、とも明かした。「その中に出てくる91歳のマーティー・ハウエルお婆さんは、いつ召されても不思議ではないという状況の中、神様から『刑務所にいる囚人に手紙を書きなさい』との声を聞いて従った。彼女は囚人との手紙のやりとりを通して、使命感と生き甲斐が与えられ、91歳の今が一番充実していると証しした。彼女の神の言葉への服従と使命感の確かさに対して、私も残る生涯、ひたすら神様、イエス様のために生きてゆきたいと決心しました」
 嶺岸氏はこの4か月間、「見知らぬ方から励ましや応援の電話をいただき、いろいろな方が来て助けてくれた」と感謝する。一方、多方面からひっきりなしに連絡が来るので、その対応に追われることも。だが嶺岸氏は「神様が気仙沼第一聖書バプテスト教会に与えようとしている恵みを嶺岸個人のわがままで止めることがないように、疲れていても、忙しくても拒否することなく、あなたが与えてくださる恵みはすべて受け止めます、と宣言した」。
 「イエス様は東日本大震災を通し、日本の教会を揺り動かしてくださっている」という嶺岸氏。「神様は教派の壁を超え、カトリック、聖公会、福音派、聖霊派、いろんな教会が一つになって救援に当たれるようにしてくださっている。どうか今回の出来事を通し日本人の魂が揺り動かされ、真の神様を知ることができるように、日本のリバイバルのためにぜひ祈ってほしい」と要請した。
 次回は8月11日(金)午後7時から、淀橋教会で。メッセージは内藤智裕氏(単立・シーサイド バイブル チャペル牧師)。

◎ホームスクーラーたちが各地で賛美ツアーを企画−−クリスチャンとの出会いと「福音伝えたい」=1107

 ホームスクールを実践するクリスチャンたちが関西や関東をめぐる賛美ツアーを計画している。ステージの内容から移動の手配までを準備する中心メンバーは全員が未成年。「前例も経験も資金もない。主への期待だけで始まったんです」という2週間におよぶ6か所でのライブ。主のために何かをしたいと願って仲間たちと時に楽しく時に苦しく、計画が進んでいる。
 ツアーは8月19日の愛知をかわきりに大阪、広島、福岡、埼玉、千葉を回る。バンドスタイルの賛美やダンス、ゲーム、メッセージを織り交ぜる。11人のメンバーのうち1人を除いて全員がホームスクーラーだ。
 中心になって準備を進めているのは、ホームスクーリングを経て進学した大学生や現役ホームスクーラーの中高生ら6人。ホームスクーラー向けの交流集会で親交を深めてきた。縦横に生まれるアイデアを取捨選択する作業は楽しいばかりではないが、祈り合い、話し合い、合宿も重ねて内容を練っている。
 ホームスクーラーだけで計画する賛美集会は昨年秋にも行い、同じ教育環境を共有する者同士で励まし合い、神を賛美する喜びは、そのときにも味わった。「でも、もう一度ツアーとして行おうという話が出たときには戸惑いました」と話すのは、中心メンバーの一人で今年早稲田大学に進学した小林拓馬さん(19)。夏休みは教会のキャンプも忙しく、何より「自分に何ができるのだろうか」という心配もあった。それでも参加を決めたのは、これは与えられたチャンスだと思い直したからだという。「日本の若者に福音を伝えたいという思いが強くて、海外ではなく日本の大学に進学しました。それなのにのんびりやっていていいのかと。夏休みをささげようと決めたんです」
 思った通り準備は大変だが、「主に用いられるように成長したい」と願っている。与えられた力で心から主を賛美して神様の栄光を現したい、主の栄光を目の当たりにして救われる人が起こされてほしい、クリスチャンが励まされて何か新しい働きが起こってほしい、各地のクリスチャンと出会い励まし合う仲間になりたいと、期待はふくらむ。
 移動や会場費などで90万円が必要。メンバーで約60万円を集めた上で、残る30万円は献金を募っている。詳しくは、Email: hst2011@live.jp まで。ツアー全体の詳しい情報はURL http://blog.livedoor.jp/hellosanbi/