2000年4月30日号《ヘッドライン》

2000年4月30日号
《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎熊本県知事にクリスチャン女性——潮谷義子さん、信仰の人柄に支持
★米国:漂流中救助されたキューバ少年の父が教会で感謝
★ウガンダ:カルト事件余波で教界への監視強化
★<いやしの時代>[2]アフリカで和解をつくる宣教師 石川博之さん(上)
★<落穂抄>教会のカルチャー教室はゴスペルがトップ
 = 2 面 =
★上野公園で野外診療——医師ら信徒の宣教会
★奥多摩で第1回日本語プレア・サミット(5月16日開催)
★平和を実現するキリスト者ネット発足——紛争予防・和解の拠点づくりを
★有珠山救援活動:避難所で聖書配布——奈良県信徒の協力で
★99%に届く伝道とは?——ミレニアム・クラブが模索
★日本聖書刊行会:創立35周年、新改訳聖書1200万冊を頒布
★基督聖協団:イスラエル大使に教会の反ユダヤ主義の歴史を公式謝罪
◎<論説>「生命倫理特設委員会」に期待する 記・小助川 次雄
★<あかし文学>「ろばの子の歌」1—わたしはろばの子 作・今村真子・和彦
 = 3 面 =
★日本メノナイト・ブレザレン(MB)教団50年
 = 4 面 全面広告=
☆聖句書道センター キリスト降誕2000年記念 聖句書道展
 = 5 面 新会堂建築シリーズ=
★単立・大和キリスト教会カルバリーチャペル
 = 6面 関西だより=
★小坊主からキリストへ——生駒聖書学院を卒業し伝道師へ歩む加藤勝博さん
★神戸でフィリップ・ヤンシー講演(6月1日)
◎VIPクラブ三重伊勢発足——名古屋から飛び火
★教会の全面支援でVIP三重伊勢の発起人に——薮内憲雄さん
★大阪でゴスペル・フェティバル2000(5月19日)
 = 7面 =
★日本でのプレーは主の導き——西武ライオンズ:トニー・フェルナンデス選手
★ミッション・バラバ:深夜放送での紹介に反響
★<召天>松尾須磨子さん逝去——元住職夫婦の回心を各地で証し
★米国の学生ゴスペルクワイア来日公演——5月に首都圏ツアー
★EHC:三浦綾子さんのトラクト「わたしを愛した愛」新装で発売
★米国:「サンタ・クロース」への改名はダメ
 = 8 面 関西だより=
★<聖書66巻>雅歌 神の創造になる男女の愛 記・片岡 伸光
★<書評>「あなたの子どもは大人になれるか」水野 誠著
★<新刊書紹介>「マグダラのマリヤは見ていた」麻生 瑛子著
★<新刊書紹介>「10人の聖なる人々」島村菜津、三浦暁子、引間 徹、高林 香子著
★<情報クリップ>催し情報ほか      
 

熊本県知事にクリスチャン女性−−潮谷義子さん、信仰の人柄に支持

4月16日、熊本市の日本福音ルーテル・神水(くわみず)教会員で前副知事の潮谷義子さん(61)が、熊本県知事に当選した。
女性知事としては大阪府知事の大田房江さんに次いで二人目で、民間人での女性知事は初めて。
夫の愛一(よしかず)さん(60)は社会福祉法人慈愛園乳児ホーム(熊本市神水町)の園長で、神水教会の役員。
義子さんも乳児ホームで30年近く勤務し、84年から99年3月まで園長を勤めた。
今年2月25日に急逝した福島譲治前知事に請われて、昨年副知事に。
潮谷さんは3月30日、150人が集まる中、神水教会で出陣式を行っていた。
「推薦した自公の支持票が、ある程度力になったことも事実だろう。
でも潮谷さんの後ろ楯は長く、深い福祉の現場体験。
それが、女性を中心とした有権者の厚い信頼を得たんです」。
18日付の朝日新聞「天声人語」の潮谷義子評である。
3月いっぱいで神水教会を引退し、出陣式での説教が最後の奉仕だった神水教会前牧師の高倉美和さんは、「潮谷さんの働きの原点は、すべてキリスト教信仰から来ている」と語る。
福島前知事を含め、潮谷さんを支持する理由は、その信仰から出てくる人柄であるという。
潮谷義子さんの人生の大半は、キリスト教精神が根底に流れる福祉事業の現場にあった。
転機は99年2月26日、慈愛園乳児ホームに福島前知事が姿を現した時に訪れた。
「福祉の現場で培った経験と知識で、力を貸してほしい」「えっ、私に!」。
突然の副知事の要請だった。
潮谷さんは一瞬頭が真っ白になったという。
考えた末の結論は「進退をお任せします」。
それから1年後、今年2月26日は苦しみの中で迎えた。
前日、福島知事が急死。
「職務代理者として職務をまっとうする」ことだけを考えていた潮谷さんに、3月5日、自民党県連から知事戦出馬要請が舞い込んだ。
女性団体からも待望の声が上がった。
選挙戦を戦うのも初めての潮谷さんは悩んだ末、「知事の最期に立ち会った者として、福島県政を継承する責任がある」と、3月10日の「くまもと女性の日」に出馬を表明。
今回もまた、ためらう潮谷さんを周囲が強く押した。 教会の礼拝で「出陣」 3月30日朝7時、潮谷さんは出陣式を神水教会で行った。
150人が教会に詰めかけ、礼拝と賛美と祈りがささげられた。
礼拝の説教で高倉さんは「神様は思いもよらないことをなさいます。
この人知を超えたご計画に、共に従っていきましょう」と結び、潮谷さんのために祈った。
その後潮谷さんは、市内の熊本運動公園で行われた市主催のセレモニーに向かった。
自民党の推薦・無所属で立候補したが、公明党も推薦に回った。
4月16日、熊本県政史37年ぶりの知事選挙戦は、終わってみると2位に8万票差をつけ、潮谷さんの圧勝で終わった。
この背後には、クリスチャンを含め潮谷さんが長年かかわってきた福祉現場に携わる人々の、目に見えない支持があったという。
「県民のために県政をする」「(政党の)対立構図の中ではいい県政は生まれない。
妥協でなく歩み寄る形で、知事部局と議会という両輪のバランスを取る。
県民が中心であり、この一点ではビシっと筋を通したい」。
当選後の17日、地元紙のインタビューに答える潮谷さんの言葉だ。
クリスチャン女性知事として、地元の教会、女性団体、福祉関係者の期待は大きい。
潮谷さんを熊本県知事として送り出した神水教会も、祈りをもって支えていこうと決意している。 乳児ホーム30年 請われて県政へ 潮谷義子さんは1939年、佐賀県に生まれた。
中学2年の時、佐賀市にある日本バプテスト連盟佐賀キリスト教会で加来剛希牧師から洗礼を受けた。
62年には日本社会事業大学社会福祉学部児童学科を卒業し、佐賀県庁勤務。
64年には大分県庁に。
同じ年、潮谷愛一さんと結婚。
71年には静岡のねむの木学園(宮城まり子園長)に勤務した。
72年からは、夫愛一さんの父総一郎さんが園長を務める社会福祉法人慈愛園乳児ホームで夫と共に27年間勤務。
その間共働きで3人の子どもを育てた。
ホームの乳児たちは義子さんを「あーちゃん(かあちゃんの意)」の愛称で呼んだ。
慈愛園は1919年、日本福音ルーテル教会が孤児、貧児、不遇婦人および老人等を救済するための福祉事業として開始した総合福祉施設。
現在では熊本県を代表する総合社会福祉法人の施設となった。
神水教会も慈愛園での福祉事業の中で生まれた。

<論説>「生命倫理特設委員会」に期待する 記・小助川 次雄

「生命倫理」が、重要かつ不可避的な問題となってかなりの期間がたっている。
特に先端医療の急速な進歩により、医療の世界はもとより、行政、産業、教育、法曹界など、いろいろな分野の視点から、具体的な問題をめぐって生命倫理が論じられて来ている。
しかし、宗教界においては、いまだ、この極めて宗教的な性格の問題に、社会的な認知を得られるほどの発言や提言は十分になされているとは言えないと思う。
そのようなときに、NCC(日本キリスト教協議会)が、先の第34回総会において、「生命倫理特設委員会」の設置を可決した(本紙4月9日号)ことは、まことに当を得たことと喜びたい。
そしてその展開に大いに期待するものである。 関心の現状 言うまでもなく、生命倫理に関するキリスト教界からの発言や発表は皆無ではない。
雑誌等における意見記事、関係する論文や著書もある。
例えば、『キリスト教と生命倫理』(東方敬信編、日本基督教団出版局)は、適切な入門書の一冊として推薦されよう。
しかし、全体として、今なお散発的であり、その論議の深さや、広さにおいて、今日の専門化し、かつ、多様化している論議に、キリスト教の立場から十分に対応しているとは言えない。
どうしても、もっともっと社会からも注目される、傾倒されるような説得力のある発言や研究・提案がなされなければならないと信じる。 本格的な検討を 先の報道によれば、この委員会は、NCC三役、倫理学者、「障害者」、医療従事者、教職、信徒、神学者などによって構成される。
女性代議員からの当然の発言も受け入れられるべきである。
委員会が取り上げようとしている分野は、脳死・臓器移植/臓器売買や着床前診断・出生前診断、妊娠中絶、体外受精・人工受精、尊厳死・安楽死などにわたり「いのち」に関する神学的な検討をするとも言う。
このような本格的な検討チームがスタートすることは、うれしい限りであり、その成果に大いに期待したい。
また、この機会に、この委員会にとどまらず、個人的にも、あるいは、同様の研究会などが、もっともっと起こされて、キリスト教の立場から深く、広く検討がなされ、世間のニーズに対して、納得の行くキリスト教的生命倫理を開陳できるようにしなければならないと思う。
一口に生命倫理と言っても、その観点と論点は決して単純なものではない。
基本的には、いつも「生命倫理とは何か」と問い返されながら論議の積み重ねがされなければならないであろう。 残る根本的な問題 現在は、応用可能な技術の進歩(すべての技術を進歩と言えるかは別として)によって、いやおうなしに対応が迫られている段階である。
それに対して、現時点で許される最大限の努力が払われることを願う者である。
しかし、そこに働いている支配的な価値観は、進化論的生物主義であり、功利主義であることを忘れてはならない。
人権尊重とは言いながら、生命は生物の進化の延長線上で考えられ、対応は結果オーライの功利(功名と利益)の度合いで判断される傾向が強いのではないか。
未知の世界の研究の過程で、始めから完全を期待することは無理であり、段階的に改善されていけば良いではないかと言われることは、理解できることである。
しかし、だからと言って、技術的にできることはどんなことでも許されるということにはならない。
この世界には、人間の技術の進歩ではどうにもならない自然の法則や摂理があるではないか。
人間が至高者ではない。
創造主なる神がおられることを覚えつつ、謙虚に、そして熱心に論議を交わし、社会の論議と実践の中に市民権を得られるような努力を早めたいものである。
(記・小助川 次雄)

VIPクラブ三重伊勢発足−−名古屋から飛び火

三重県に、「インターナショナルVIPクラブ三重伊勢」が発足し4月1日、津市の、近畿福音ルーテル・津教会で発会式をした。
伊勢神宮の「おひざ元」で、その影響力が強い地に、ビジネスマン伝道の拠点が強化されたことになる。
これは、昨年発足したVIP名古屋の後押しもあって実現したもの。
発起人の藪内憲雄さん(津教会員)は自ら、事業上の大きな問題のなかで救いを求め、聖書のみことばと祈りを通して実際問題の解決が与えられるとともに、神の前に罪が赦される救いの経験を得た人。
昨年、地元ブロック紙「中日新聞」で、名古屋VIP発足を知り、発足記念フェスティバルに駆け付けた。
以降、クリスチャンビジネスマンがチームワークを組んで魅力的な集会を開き、未信者のビジネスマンを招いて福音を伝えるVIPクラブの働きに共鳴。
地元での発足を模索していた。
所属する津教会でも、牧師の平井清さんが、「教会での伝道だけでは限界がある。
従来の殻を破る働きは重要だ」と後押し。
教会挙げての理解が得られる体制が整ったという。
4月1日の発会式では、約50人が集まった。
新潟、熊本からの来会もあった。
VIP名古屋から会長の戸田安士さん(金城学院大学学長、日基教団・半田教会員)らも祝福に駆け付けた。
地元から平井さんや、近畿ルーテル・鈴鹿クリスチャン学生センター開拓伝道所牧師のエスペン・トップランドさんらが祝辞やショートメッセージ。
エマオ・クリエイティブ社代表の鈴木由夫さんが、3億円以上の負債を抱えて破産、自殺しようというなかでイエス様を信じて救われた証しを話し、大きな反響を呼んだ。
VIP伊勢では今後、毎月第2土曜日に例会をする。
場所は、藪内さんが社長の「高等学術研究所」事務所(津市丸ノ内マルセンビル204号)で。
午後7時から8時。
また、5月27日、鈴木由夫さんをスピーカーに、伝道目的の集会「ヒューマンスピーチ」を開く。
場所はメッセウィング三重(近畿自動車道・津インターすぐ)。
午後2時から3時30分。
参加費1000円。
「100%ノンクリスチャン向きの集会として企画しています」と藪内さん。
問い合わせは例会ともTEL059・228・2006(藪内)。