2000年11月19日号《ヘッドライン》

2000年11月19日号
《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎祝降誕2000年・ゴスペルの祭典——賛美は創造主への告白だから
★「フェスティバル2001」1年前大会——あおらず日常の福音訴え
★「東京大聖書展」1日2000人来場
★<いやしの時代>[28]精神障害者が運営する事業 浦河「べてるの家」の人々(上)
★<落穂抄>神さまへのおてがみ  = 2 面 =
★<突然の災害>[3]有珠山噴火:被災地の必要つかみネットで宣教支援
★小さないなか町に飛び火したペンサコーラのリバイバル
◎福音功労賞にロイ山元氏ら3氏受賞
★リバイバル祈る女性たち——埼玉でアグロー全国大会
★イスラエル:エルサレム大司教、クリスチャン村への攻撃中止を要求
★イスラエル:YMCA施設も攻撃で大損害
★<世界の出来事フラッシュ>米国、香港
★<神の国の物語>[3]神の国の恵みを 記・谷口和男
★<論説>新世紀へ継承するもの 記・有賀喜一  = 3 面 ヴォーリズ来日95年記念特集=
★対談:ビジネスマン伝道の将来は 三谷康人・岩原 侑  = 4・5 面 建築特集=
★座談会:ビジョンを明確にした会堂建築を 片桐郁夫・澤本孟士・松ノ井敬一
★地域に溶け込みアピールする十字架 単立・塩屋キリスト教会
★増改築で礼拝に一体感 カンバーランド・いずみ教会
★牧師が手作りログチャペル あどない・いるえクリスチャンセンター  = 6面 全面広告=
☆JTJ宣教神学校  = 7面 =
★聖書の光で照らす映像表現——「他人の人生」で見る「自分の世界」 記・高梨 大  = 8 面 =
★<伝道牧会とリーガルマインド>[7]プライバシーと祈祷課題 記・櫻井圀郎
★<CDの時間>「I'm Walkin」ボブ・ベイリー
★<企業社会の生き方ガイド>[7]聖書的な需要と供給の法則 記・梅津光弘
★<英語ことわざメモ>[7]「忠臣は二君に仕えず」記・ブルック
★<投稿>海外に頼らず自ら主を待ち望め
★<投稿>私のおすすめ映画「詐欺師のすすめ」
★<投稿>日本人の心に届く伝道を考える
★<今月の試写室>「悪いことしましョ」 記・高梨 大  = 9 面 =
★歴史が集うホームカミング——東京キリスト教学園 献身者送り半世紀
◎100歳で小さな個展 高橋ゆきさん
★在日中国人集会に黄国倫さん来日——「伝道のため」と一般でも活躍
★義太夫・英太夫さん12月の賛美文楽チケット完売
★大阪・釜が崎:日雇い労働者の町でゴスペル演歌こころに響く
★ドイツ:ルーテル派「離婚式」を提案  = 10 面 =
★<聖書66巻>マルコの福音書 新しいイスラエルの創出 記・奥村 修武
★<書評>『恵みの契約』H・M・マロウ著、松本雅弘訳(新教出版社)
★<新刊書紹介>『クリスチャンはどのように生きるべきか』ディー・ブレスティン著(CLC出版)
★<新刊書紹介>『御手を動かすとりなしの祈り』李ドンウォン著(小牧者出版)

祝降誕2000年・ゴスペルの祭典−−賛美は創造主への告白だから

祝降誕2000年・ゴスペルの祭典——賛美は創造主への告白だから
 「ゴスペル」が人々をつなぐ。二〇〇〇年を「画期的な証しの年」としようと祝キリスト降誕二〇〇〇年実行委員会主催の「ゴスペルクワイヤーの祭典・グランプリ大会」が十一月三日、東京・中野サンプラザホールで開かれた。東西の予選を通った七グループが、それぞれの個性を生かし、ベストを尽くす。そのうち三グループは教会外のゴスペルファン。来場者にも多くのノンクリスチャンを含む千五百人が集まったが、会場は一体となって盛り上がり、歌に呼応して「神様感謝!」と叫ぶ光景も。ゴスペルブームを生かし、クリスチャンもそうでない人も巻き込んで共に「キリスト降誕」を祝おう、とのもくろみが功を奏したかたちだ。
 何十人ものクワイヤー編成、地方独自の楽器を使うグループ、伝統的な聖歌隊などスタイルは様々だが、「神様を賛美する歌」ということで一致している。
 「賛美は競うものではないが、最高のものを神にささげたいという意味で、このコンテストがあります。キリスト降誕二〇〇〇年を記念してゴスペル(よきおとずれ)のメッセージを受け取って下さい」。祝キリスト降誕二〇〇〇年運動の実行委員長・村上宣道氏はそうあいさつした。
 グランプリを受賞したのは「Spiritual Voices」。スローテンポのコーラス曲「Where The
Spirit Of The Lord Is」を、息の合った美しいハーモニーで歌い上げた。奨励賞は、大阪の諸教会のメンバーで構成する「Five Soul Brothers」と、「西宮福音教会聖歌隊」。グランプリのグループには、記念にCD制作費用として賞金百万円が贈られた。
 「Spiritual Voices」は、男女八人の混声クワイヤー。バンドメンバーと共に関西を中心にライブ活動をしているが、二人を除いてクリスチャンではない。「黒人音楽が好きなメンバーたちが行き着いたのがゴスペルだった。初めてゴスペルに出会った時は衝撃でした」と、メンバーの皇甫純圭さん。「歌詞の中で一番好きなのは『神様の存在を感じたとき歌が生まれる』というところ。自分たちがゴスペルから受けたパワーを、多くの人に感じてほしい」と話す。
 大会ナビゲーターのアレックス・イーズリーさんは、雰囲気だけではなく本当のゴスペルの意味を伝えたいと、来場者に率直に福音を語り、「ブラック・ゴスペルを歌うことは天地創造の唯一の神であると告白すること」と、はっきり書かれたトラクトを配る。
 ゴスペルシンガーで牧師の小坂忠さんは「イエス様が生まれたのはクリスチャンだけのためではなく、すべての人々のため。みんなで喜びを分かちあいたい」と言う。テレビでも活躍するシンガー亀渕友香さんが、クリスチャンではないために「キリスト教会が主催するイベントに私が出てもいいのかしら」とゲスト出演をためらっていたとき、この小坂さんの言葉で快く引き受けたという。
 祭典のフィナーレは出演者、ゲスト、来場者が一つとなって、祝キリスト降誕二〇〇〇年のテーマソング「全世界へ」(小坂忠作詞作曲)の歌声が響きわたった。
 今年だけでなく、キリスト教界のバックアップでこのような催しを継続してほしいとの要望が多かった。

福音功労賞にロイ山元氏ら3氏受賞

長年にわたり日本の福音宣教に貢献した人々を顕彰する日本福音功労賞(主催・日本福音振興会=本田弘慈会長)が第十回を迎え、十一月一日、千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで顕彰式が行われた。
 今年は安斎政威(88)=日本同盟基督教団教職=、澤村俊治(74)=基督兄弟団信徒=、山元ロイ耕一(77)=在米巡回伝道者=の三氏が受賞した。
 安斎氏は戦前、自由メソヂスト神学校を卒業後、日本自由メソヂスト大阪日本橋教会、熱海同盟教会で牧会伝道。戦後、日本同盟基督教団の再建に参与し、館山教会を創立した。一九五〇年、館山教会付属保育園を開設し、牧師、園長として四十一年にわたり奉仕。九四年に八十二歳で開拓伝道を志し、市原平安教会を設立し現在に至る。
 澤村氏は、バックストンの薫陶を受けた両親のもとに育ち、神戸生田教会で竹田俊造牧師から受洗。戦後、父と共に栄光社を興し、拠点を大阪に移したのを機に基督兄弟団長瀬教会に所属。同教団信徒理事、日本国際ギデオン協会チャプレンなどを歴任し、大阪クルセード、80年ビリー・グラハム大阪国際大会など多くの超教派の働きを特に財務担当として支援した。その後、キングスガーデン三重の創設に協力、また社会福祉法人山路福祉会・特別養護老人ホーム山路園を設立し、理事長に就任。大阪クリスチャンセンター理事長の責も負っている。
 山元氏は、青山学院中等部在学中に回心。入信後韓国に渡り、日本軍部による教会焼き打ち・虐殺事件があった堤岩里教会でその惨状に接し、伝道の召命を受ける。ソウル大学獣医学部に籍を置き、水原監理教会の伝道師となった。戦後、千葉県下志津に聖書農学園の職員を兼ねつつ同学園神学部を卒業、千葉教会の開拓に赴く。ハワイの米国人教会の牧師として十年働いた後、獣医を務めながら自給エバンジェリストとして奉仕。八二年JEMS(日系人福音宣教会)の宣教主事に就任し、十年間に百五十人を超える宣教師を日本やブラジルに派遣した。九二年から「ゴスペル・サーキット・ライダーズ」との名称で、ナナ夫人と共にキャンピングカーで全米に散在する日系米国人を訪ねて巡回伝道にあたっている。

100歳で小さな個展 高橋ゆきさん

十一月一日で百歳を迎えた高橋ゆきさん(福音キリスト教会連合〔JECA〕ぶどうの樹キリスト教会員)が、親族の協力で四日、東京・新宿区の同教会において「小さな画展」を開いた。当日は親族や友人、教会関係者など約九十人が訪れ、百歳になったゆきさんを心から祝った。ゆきさんも満面の笑みで、一人ひとりに応じた。
 「長生きしてよかったわ。こんな日もくるのねぇ」。ゆきさんの第一声だ。
 ゆきさんは、六十歳から日本画の勉強を始めた。今まで描いた絵は百点あまりで、当日は色紙や絵日記も含め二十数点を展示。作品も、花、風景、動物の絵など多彩で「素人の絵とは思えないですね」と同教会牧師の富田雄司さんは言う。
 ゆきさんを祝うため、アメリカから駆けつけた親族もいた。ゆきさんの子どもは三人(長女陽子さん、次女東子さん、長男一史さん)で、孫は五人。うち三人は東子さんの子で、現在アメリカ・ロサンゼルスに住んでいる。東子さんの夫トリーメン・ケンさんが、ロサンゼルスで作った「Happy Birthday! Yuki Obaa-chama」のロゴの入ったトレーナーを、家族全員で着て祝った。
 高橋ゆきさんは、 近所に住み親しくしていた聖公会の宣教師に導かれ、五十一歳の時受洗した。夫の故高橋進さんが、九十二歳の時JECA・浜田山キリスト教会で受洗したのを機に転会し、現在は自宅すぐそばの同教会の礼拝に通う。家族は「関東大震災、第二次世界大戦、戦後の混乱時代と苦難は多かったはずですが、母に苦しさや悲しさを見ることがなかった」と証言した。
 ゆきさんは昨年十一月、足を骨折し(三度目)、歩行は難しくなった。しかし色つやもよく食欲旺盛で、百歳の誕生日にはステーキを食べた。「長生きの秘けつは」と質問すると「くよくよ考えないことかな。のんきだから」。「たくさんの人が来て、疲れたでしょう」と聞くと「まだまだおいぼれません」と答えた。