[CSD]2012年10月21日号ヘッドライン

[CSD]2012年10月21日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎直面する分断まざまざ——「福島の震災を語る会」
★「原発」問題を神学——福音主義神学会東部が11月12日に研究会

 = 2 面 ニュース=
★公開講座「大地震を信仰的、聖書的にどう受け止めたらいいのか」——中澤啓介氏「被造物の管理権回復」の視点を提言
★ヨイド純福音教会 日本宣教推進——オンヌリ教会、地球村教会とも協力体制
★<落ち穂>日清戦争と尖閣諸島

 = 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[31]可視的と不可視的自己 記・柏木哲夫
★日本青年伝道会議レポート[3]:聖書の視点で政治を
★<オピニオン>「沖縄宣言を読み直すべき時 記・根田祥一
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 特集/対話する放送伝道=
★「とにかく希望を語ろう」——ラジオ関西の「聖書と福音」 福島でも放送
★ドラマに投影し 福音が伝わる」——インターネット放送「この指ドラマネット」
◎ダンスで青年伝道のモデル——CGNTV新番組「Dancing Generation」
★変わらない福音をシェア——PBA「世の光」「ライフライン」

 = 6 面 関西だより =
◎露のききょう新作落語「聖書女人抄」を披露——乳がんでも笑いと信仰で元気
★「天国の一日」届けて40年——ABCラジオ「希望の声」記念感謝礼拝
★ビジネスマン伝道に貢献16年——北浜のプレイズ・ワーシップが200回
★お茶と聖書のコラボ——11月23日に「クリスマス茶会」

 = 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>[27]日本伝道隊・ハレルヤチャーチ高松?——賛美の拠点となるもう一つの教会を
★<神の宣教>神のことばを神の世界へ[4]—— クリストファー・ライト講演抄録

 = 8 面 ひと・証し =
★藤本輝雄さん(ゴスペルグループWithout You)——音楽は神のために使おうと



◎直面する“分断”まざまざ−−「福島の震災を語る会」=1210210101

 大地震と津波によって原子力発電所がメルトダウン…という?福島?の経験に、世界中が注目する。だが一方で、東日本大震災から1年半が過ぎ、大災害の記憶は徐々に薄れていく。そうした中で、福島の人々が体験したことを記録にとどめ共有しようと、福島県キリスト教連絡会(FCC)が主催、東北ヘルプなど諸団体の協力により10月8日、同県須賀川市の東北宣教センター須賀川シオンの丘で「福島の震災を語る会」が開かれた。

 「福島の震災を語る会」には県内外から70人が参加。県内の諸教会の牧師・信徒らから震災時の体験や現状の問題を聞き、これからどのように祈り教会活動をしていったらいいのか、福島が進むべき道やするべきことを話し合った。
 FCCの木田恵嗣委員長(ミッション東北郡山キリスト福音教会牧師)は「福島の人たちは毎日選択や決断を迫られ、途方に暮れてきた。そんな戸惑いや途方に暮れた体験こそ、これからの日本に伝える必要がある」と会の趣旨を説明。小グループごとに、県内の参加者らが原発事故をめぐる体験や感じたことを話し、青森から岡山までの各地から訪れた参加者らは耳を傾けた。
     ◇
 2011年3月11日、東日本大震災の当日に経験したことは、他の東北各地と変わらない。だが原子力発電所で水素爆発が起こって、福島は?分断?に直面した。避難する人、残る人に分かれた。おもに子どものいる家族は逃げ、年寄りは残る。当初は逃げていく人たちが牛乳、米、野菜を、残る人たちのため教会付属幼稚園に持ち寄った。そこから近所のお年寄りに分け合う絆があった。ところがそれから1年半。「今では物は有り余っているのに、まだ物資を欲しがる人がいる。1キロの米をもらって『これっぽっちでどうするんだ』と文句を言う人もいる。あの時の絆はどこに行ったのか」と、教団本部の避難指示を拒んで残った年配の牧師は嘆く。
 幼稚園は園児が70人から半減した。「残っているのは覚悟を決めた人たちです。園を閉めようかとも思うが、子どもを預かってほしいと頼まれて続けている。幼稚園はシェルターなんですよ。でも、ここで子育てするのは加害に加担することだと非難される。被害者なのにいつの間にか加害者になってしまうことが怖い、つらいです」
 教会でも幼稚園でも、放射能の話はしないでくれと言われる。説教でも茶飲み話でも「命を守る」などという話題はタブーだという。「もっと本質的なことを話さなければと思うが、当たり障りのない話しかできない。みんな決して本音ではないのに、安全だと思いたがっている」
 昨日までいた仲間が、ぽつりぽつりといなくなる。「ごめんなさい」と消えていく。「本当に仲のいい教会だったのに、今は居心地悪いです」
 原発で働く東電の社員が出席する教会もある。牧師に赴任したとき「原発は大丈夫なの?」と聞くと、「断層がないところに造ってあるから大丈夫です」と言われ、安心していた。「原発について意識して勉強したことはなかった。今勉強し始めて、いかに不勉強だったか反省してます」
 逃げる人、逃げない人、逃げたくても逃げられない人。よそへ行って新しい生活を始めようと割り切った人、後ろ髪を引かれている人…原発事故は地域社会にも教会にも、分断や不信、不安をもたらした。放射能の影響について危険なのか、安全なのか、情報が錯綜し戸惑いが広がる。多くの人が複雑な自責の念を抱えている、という指摘もあった。
 小学生の孫が、避難生活や転校のストレスからか、「何のために生きてるんだろう?」「生きるのがつらい」と言いだした、と案ずる老夫婦。そんな声を聞きながら、祖母は「本当に疲れますね。委ねて祈りますが気がつくと『イエス様、私は疲れました。早く迎えに来て下さい』と祈っています。一日一日、祈りつつでないと前に進めません」
 別の牧師は「クリスチャンもそうでない人も、『なぜ、こんなことがあるのか?』という思いは強いです。悲鳴に似た叫びを上げている」と言う。
その中で、「今すべきことは原因を尋ねることではなく、自分に与えられたことをしていくことしかないと感じています」。

◎ダンスで青年伝道のモデル−−CGNTV新番組「Dancing Generation」=121021

 ビルの狭間でダンスを楽しむ若者たちの姿を見かける。公立中学校ではダンスが必須科目となった。「今、教会の若者たちも、心のうちでダンスをやりたいと思っている。だが個人の力ではなかなかできない。韓国ではダンス専門の伝道団体があって、中高生たちはダンスにチャレンジする。日本の教会でもダンスをするモデルがいる」と話すのはCGNTV制作本部局長の金昌鎬さんだ。
 CGNTVの新番組「Dancing Generation」は、単立みどり野キリスト教会のダンスチームに密着し、彼らがダンスを創作したり、実践する様子をいきいきと描く。練習風景を映しながら、10代、20代の青少年自身がダンスへの思いを語る。彼らは口々に「神様の栄光を現すため」と話す。
 8月から始まった水曜日午後9時30分より15分の番組だ。来年2月までのシーズン1では、ダンスをする青少年のドキュメンタリー。シーズン2では、ダンスの1つひとつを視聴者が簡単にまねして踊れるように繰り返して伝える。シーズン3では、ダンスチームが地方の教会、町で伝道する姿を紹介する予定だ。
 番組作りではテーマは決めるが、現場に合わせて流動的に動く。「できるだけ枠に当てはめず、近くでリアルな姿に付き添っていきたい」と番組アシスタントディレクターの松尾ナオミさんは心懸ける。金さんは「若い人たちは動画サイトや交流サイトを使ってダンス映像をシェアしている。若者は上の世代との接点で壁をもっており、彼らの思いを大人が面と向かって話しかけて聴くことは難しいが、メディアではできる。彼らはカメラの前で、なぜ踊るのか、どういう風に練習するのか話してくれる。彼らと対話しながら、コミュニケーションの窓になればと思います」と言う。
 近年、CGNTVは青少年に注目する。従来は主な視聴者である信徒、牧師のニーズに合わせ、国内外の牧師の説教を放送することが中心だった。だが今年、全国の牧師にアンケートをしたところ、教会の課題として次世代の養成、伝道、牧会者のアップグレードが挙がり、次世代に気を配ることともに青少年伝道を担う30~40代の若い牧会者、神学生などの一致を目指すことを新たな番組作りの方針とした。  10年に開かれた関西フランクリン・グラハム大会の青少年プログラムを継承する大阪キッズフェスティバルでは、若い牧師が協力してやっている。「福岡でも同様のイベントが準備されている。関東でも教会を超えてダンスチームやワーシップチームが形成され、北海道から沖縄まで少しずつ地域ごとに青少年の働きができるように祈っています」
 だが、それはCGNTVが主催になるのではない。「かつて韓国のパフォーマーを呼んで、イベントをしたが、文化の違いなどで根付かなかった。時間がかかっても日本の教会がやっていることを発見して、助け、モデルとして、同じような働きの教会が生まれるように伝える。日本宣教のためのしもべとして日本にあるものを支えていきます」と姿勢を語った。
 CGNTVは10月28日(日)、日本開局6周年を迎え、新宿区大久保のウェスレアン・淀橋教会で午後3時から記念宣教大会を行う。誰でも参加自由で放送伝道のビジョンを共有する時となることを期待する。

◎露のききょう新作落語「聖書女人抄」を披露−−乳がんでも笑いと信仰で元気=1210210601

 落語家の露のききょうさんが10月8日に大阪市中央区の大阪クリスチャンセンターで開かれたOCC寄席で新作の福音落語を披露した。OCC寄席は大阪クリスチャンセンター新館8周年記念イベントで、一昨年初の寄席を開いて好評を博した。クリスチャン落語家の故二代目露の五郎兵衛の長女として、五郎兵衛氏の残した福音落語を継承しているが、今回初めて父から受け継いだネタ以外の新作に取り組んだ。
 女性がテーマのものがあってもいいかなと、ルツ記をメインにした。永遠のテーマ「嫁・姑」は多くの人が共感できる。同じアドベント・忍ヶ丘キリスト教会の信徒で脚本家の西山栄さんに台本を作ってもらった。ルツの他ににヘロデ王とサムソンとデリラのエピソードを配した噺ミックスされたというから、それだけ聞いても興味をそそるような内容だ。題して「聖書女人抄」。
クリスチャンでない参加者も多かったOCC寄席でも極めて好評だった。
 明るく元気でのんきがトレードマークのききょうさんだが、7月に乳がんの手術をして、右の乳房を全摘した。
 「みんなに告知されたときはショックだったでしょう、頭が真っ白になったでしょうとか言われましたが、いや、ならへん、て。私本当にずっと確信があるんです。何があっても守られるって」
 もちろん周りに迷惑をかけることは心苦しかったし、動けないときはつらかったが、いつも揺るぎない平安があった。すべて自然に受け入れられるのがうれしかった。
 「今回特にクリスチャンでつくづくよかったなと思いましたね。死への恐怖がまったくないんです。そりゃ、もちろん長生きしたいけど」
 2人の娘のことを考えたらやはりもうちょっと長生きしたい。祈ろう。
 「神様、せめてあと20年でいいですから」
 いや、まてよ、今の年齢を考えたらあつかましい祈りをしてしまったと思ったが、ま、それくらいは生きるだろうと思いなおした。
 ふたごの妹で伝道賛美家の菅原早樹さんは言ってくれた。
 「今あなたにはめちゃめちゃドラマチックなことが起きてる。神様は人前で話をするときにネタ不足だと思われて、いいネタをくださってるんやわ」
 うれしいネタもある。この冬五郎兵衛氏が大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方)で上方演芸の発展と振興に寄与したとして「上方演芸の殿堂入り」をした。2月に表彰式があり、ききょうさんも母の明田川紗英さんと共に出席した。さらに8月には五郎兵衛氏の落語「皿屋敷」(1975年)と「蘇生の息子」(2008年)を収録したCDが発売された。推薦文は親交のあった文楽の豊竹
英大夫氏が書いている。
 「父の映像やCDが残っているのはうれしいですね。妹も賛美のCDを出してるし、私も来年あたりDVDを作りたいと考えています」
 でもね、落語は生がいいんです。生が一番! と、ビールみたいだが、つらいことの多い時代、落語の楽しさを肌で感じて笑ってほしいと願っている。
 ▽露の五郎兵衛さんのCD「生涯未完成」(1,500円・送料1枚200円)の申し込み・問い合わせは五郎兵衛事務所090・3269・9627へ。