[CSD]2013年8月11日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年8月11日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎グラハム家3代目ウィル氏(伝道者)9月来日——フクシマに希望伝える 東京でもレーナ・マリアと共演伝道
★小林恵氏「フクシマ」写真展——原発事故後の規制区域撮り続ける(8月19日~31日、東京・tギャラリーで)

 = 2 面 ニュース=
◎映画「少年H」(8月10日公開)戦時下の教会が舞台——苦難の時代に信念貫いた家族描く
★アジアの平和と安全にシャロームを——WCC釜山総会へ「いのちの神」に導き求め
★北朝鮮教会代表も世襲
★名古屋YMCA:福島子ども保養ツアー支援募集
★<人事>姜尚中氏:聖学院大学次期学長に選任
★<落ち穂>新島襄、内村鑑三に影響を与えた恩師シーリー

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[13]母たちからの声?——孫たちの将来はどうなるのか 記・中尾祐子
★<逝去>佐藤丈史氏(五宝商事[株]代表取締役、JECA・浜田山キリスト教会員、77歳)
★<オピニオン>スマホと教育の課題 記・湯口隆司
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5面 8・15特集=
★日本国憲法は押し付けか?——その成立過程を検証する 記・水草修治
★8・15関連集会情報
◎映画で考えてみよう戦争と平和——今夏公開のドラマ、ドキュメンタリー作品
★Movie:「ヒロシマナガサキ WHITE LIGHT/BLACK RAIN」(8月16日まで岩波ホール公開中)http://www.zaziefilms.com/hiroshimanagasaki/
★Movie:「標的の村」(8月10日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開)http://www.hyoteki.com/
★Movie:「陸軍登戸研究所」(8月17日(土)より渋谷ユーロスペース、名古屋シネマスコーレほか全国順次公開)http://www.rikugun-noborito.com/

 = 6 面 =
★柳 準模さん([有]ログイン取締役 宮廷料理継承者)[下]——キムチ作りでホームレス自立支援
★<首都圏大震災に備える>[11]実践編?——防災環境で難しい都心部のネットワーク作り 記・栗原一芳

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[70]単立・藤野福音キリスト教会?——表面的な違いで差別せず尊重する
★<憲法が変わるってホント?>[16]天皇制と非軍事化——沖縄には実現していない憲法の中身 記・饒平名長秀[2]

 = 8 面 ひと・証し=
★松山 献さん(かんよう出版代表)——韓国文化を伝える「寛容」の出版



◎グラハム家3代目ウィル氏(伝道者)9月来日−−フクシマに希望伝える 東京でもレーナ・マリアと共演伝

 米国の世界的な伝道者ビリー・グラハム博士の孫ウィル・グラハム氏が9月に来日、福島・郡山市と東京・新宿で伝道大会が開催される。併せて、スウェーデンの歌手で両腕と片脚に障害を負いながら世界障害者水泳選手権で活躍するなどクリスチャンとして前向きな生き方が多くの人々に励ましを与えてきたレーナ・マリアが両イベントで共演、内外のアーティストたちも出演する。
 BGEA関係者は東北被災地を復興支援する中で、他の被災地とは異なり原発事故のため災害が長期化する福島の状況を知った。昨年3月、ビリー・グラハム伝道協会(BGEA)総裁でウィル氏の父フランクリン・グラハム氏による「東北・希望の祭典」が仙台地区で行われた際、福島諸教会の牧師たちから「援助物資だけでなく伝道の働きが必要」という声を聞き、福島のために仕えたいとBGEAが申し出た。
 その受け皿として福島市、郡山市、いわき市の牧師らが「福島ミッションセンター」を立ち上げ、福島ミッションプロジェクトとして復興支援や教会活動などでBGEAと協力してきた。
 プロジェクトマネージャーの三箇義生氏(アッセンブリー・グレースガーデンチャペル牧師)は、「福島の住民は震災の記憶が風化してだんだん取り残されていく孤立感が強い。少しでも福音による希望を持ってほしい」と願う。「伝道大会をするのはまだ早いという声もあったが、キリスト教関係者がずっと被災者に寄り添ってきた中で心が開かれている人が多い。希望が失われていく中で福音を受け取れる時が来ていると思う」と話す。
 ウィル・グラハム氏を迎えての集会は「聖書講演会・コンサート ホープフクシマ2013withウィル・グラハム」と銘打って9月28日(土)、29日(日)、郡山市開成の郡山女子大学建学記念講堂(1,800人収容)で開かれる。28日12時からキッズタイムで「マイティシープ」が登場、14時からメインプログラム。29日は14時からゴスペルタイム、15時からメインプログラム。レーナ・マリアのほかアルフィー・サイラス、森祐理、小西優子ら被災地の復興支援をしてきた内外のアーティストが出演、被災者支援コンサートで結成された地元の福島メサイア合唱団も出演する。入場無料だが「プラチナチケット」と呼ぶ入場整理券が必要。
 福島ミッションプロジェクトでは県内教会の協力を働きかけ、現在県内120教会中約50教会が協力を申し出ている。それら協力教会を通して無料送迎バスを出し、友人知人や教会が支援している仮設住民らも招く。
 福島ミッションセンターでは、大会のためのボランティアを全国から募集している。Tel.024・983・4553、fukushima.mission@gmail.com http://fukushima-mission.info/
 一方、ウィル・グラハム氏来日の機会を生かそうと、東京では有志の実行委員会により9月30日(月)18時30分から新宿文化センターで「セレブレーションオブラブ」を開く。レーナ・マリアが「何事にも屈しない秘訣」を歌とトークで披露、内外のアーティストらが歌とナレーション、映像でイエス・キリストの生涯を紹介し、それを受けてウィル氏が聖書のメッセージを語る。協力献金(1口3万円)でレーナ・マリアのDVD、CD、トラクトとプラチナチケット20枚の伝道パックを提供するユニークな開催方式だ。現在参加教会を募集している。個人も可。Tel.03・5341・6927、O03・5341・6928、http://www.wlpm.or.jp/col/

◎映画「少年H」(8月10日公開)戦時下の教会が舞台−−苦難の時代に信念貫いた家族描く=130811

 舞台美術家で作家の妹尾河童さんの自伝小説を映画化した「少年H」(降旗康男監督・古沢良太脚本、モスクワ国際映画祭特別作品賞受賞)が、8月10日から全国上映される。妹尾さん一家は戦前日本ナザレン教団神戸教会(現インマヌエル・神戸キリスト教会)の信徒だった。映画では当時の家の教会の礼拝や、戦争による宣教師との別れのシーンなども描かれている。
 昨年5月にそれら教会シーンの撮影が兵庫県加古川市で行われ、シンカワピアノセンター(大阪市東淀川区)の新川寛さんが、リードオルガンのレンタルや教会の講壇の調達に協力した。エンディングロールには協力業者として記載されている。
 撮影現場に立ち会い、試写会にも参加した新川さんは、時代背景や描写に厳しい降旗監督が、当時の教会の様子をクリスチャンの目から見ても違和感なく忠実に再現しているのに感心したという。
 新川さんは作品の時代背景となっている戦時中、現在の北九州市の国民学校の生徒だった。妹尾さんと同じくクリスチャンホームで育ち、当時の多くの教会がそうだったように、民家を会堂にした家の教会に通った。神戸空襲のシーンでは、八幡市(当時)の高台の自宅から見た八幡空襲の記憶が重なったという。
 「戦時中キリスト教はアメリカの宗教と思われ、宣教師はどんどん国外退去になりました。大きな教会では礼拝中憲兵が見張っていたという時代です。この映画はそんな時代に、普通の家族が懸命に信念を貫き、勇気と希望を持って生きた姿を描いたもの。ぜひたくさんのクリスチャンに見てほしいと思います」
 町が焼け、教会堂が焼け、何もかも失った戦後、教会には聖書も聖歌もろくになくて、ボール紙に歌詞を書いたものを見て賛美したのを新川さんは覚えている。ピアノはもちろんオルガンもなく、小さなオルガンがやっと手に入っただけで教会は大騒ぎになった。
 ピアノ調律師として長年活躍し、鍵盤楽器の販売や音楽教室の運営を通して音楽のすばらしさを伝えてきた新川さんの原点には、子どもの頃教会でなじんだ賛美がある。映画に自身の体験を重ねると同時に、若い世代にもこんな時代があり人生があったことを知ってほしいと願っている。

◎映画で考えてみよう“戦争と平和”−−今夏公開のドラマ、ドキュメンタリー作品=1308110501

 暑い夏。自宅のクーラーを切って映画館で過ごすのも省エネに効果的な協力策かもしれない。8・15戦争と平和にかかわる公開作品を紹介しよう。
 
 原爆・基地
 7月20日から8月16日まで東京・千代田区の岩波ホールで広島と長崎の原爆を追った2本のドキュメンタリー映画が同時上映されている。07年に一度公開されたスティーヴン・オカザキ監督の「ヒロシマナガサキ WHITE LIGHT/BLACK RAIN」(レビュー記事参照)と、もう1本は被爆直後の悲惨な映像は一切使われていないリンダ・ホーグランド監督の「ひろしま 石内都・遺されたものたち」。写真家・石内さんが広島平和記念資料館に保存されている衣類や靴、人形などの遺留品をアートに撮影し、カナダ・バンクーバー市で展示した写真展での反応を追ったドキュメンタリーだ。リンダ監督は、石内さんの写真に映し出される遺留品をとおして「地獄の1分前が見えてくる」と言う。そして、使っていた人たちのスピリットが、現在の私たちに伝わってくる。http://www.iwanami-hall.com/contents/next/about.html
 7月に公開された劇映画「爆心 長崎の空」(日向寺太郎監督、 http://bakusin-movie.com/ )は、やはり被爆当時ではなく被爆者と被爆者2世の心の奥深くに仕舞い込まれた悲しみと不安を描いている。長崎を主題にしているだけに隠れキリシタン、カトリック信徒の祈りが物語の核に織り込まれている。
 オスプレイ配備で沖縄・普天間基地の封鎖を敢行した反対住民のドキュメンタリー「標的の村」(レビュー参照)は、8月10日から東京・ポレポレ東中野で公開される。
 
 歴史・平和
 戦中戦後の歴史認識の焦点の一つに女性に対する性暴力・従軍慰安婦問題がある。8月10日に公開される劇映画「最愛の大地」( http://saiainodaichi.ayapro.ne.jp/ )は、国連UNHCR親善大使を務めてきたアカデミー賞女優アンジェリーナ・ジョリーの初監督作品。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を背景に、敵味方に引き裂かれた恋人同士の愛憎を描いているが、民族浄化という虐殺や集団レイプの惨状を正面から取り上げている。予告画像などの監督メッセージでは「この映画が紛争による性暴力、国際的介入の不足など、様々な問題についての議論を促すことを願っている」と語っている。
 楠山忠之監督のドキュメンタリー映画「陸軍登戸研究所」(レビュー記事参照)は、防諜謀略作戦、秘密兵器の開発の拠点の実像に迫っていく作品で、8月17日から公開される。もう一つの戦時戦後史を追った「メキシカン・スーツケース <ロバート・キャパ>とスペイン内乱の真実」(トリーシャ・ジフ監督、Shttp://www.m-s-capa.com/ )は8月24日公開。行方不明だったキャパ、ゲルダ・タローとデヴィッド・シーモアシムらの撮影フィルムが辿った経路を追いながら、スペイン難民を唯一受け入れたメキシコとの関わりと国際政治の在り方をあぶり出していく秀作。
 4月に公開されたアカデミー賞作品「リンカーン」(スティーヴン・スピルバーグ監督、http://www.foxmovies.jp/lincoln-movie/ )は、南北戦争と黒人奴隷解放の憲法修正に絞ってリンカーン大統領を描いた作品。8月3日(土)に新宿区高田馬場の早稲田松竹、秋田市フォーラス・シネマバレで上映され、いまも全国順次公開中。NHK連続ドラマ「八重の桜」では、冒頭に南北戦争シーンが使われた。南北戦争終結後、主力銃だったスプリングフィールド銃は日本へ輸出され、戊辰戦争での兵力格差がドラマ前半の展開に重要な影響を与えた。武器の輸出入は日本の近代化から深くかかわっている。