2000年4月23日号《ヘッドライン》

2000年4月23日号
《ヘッドライン》
 = 1面 =
★<いやしの時代>[1]末期の子らへの告知絵本 佐原良子さん
◎宣教船ドゥロス号6月に来航——創設者バウアーさん青年に宣教のチャレンジ
★WEF信教の自由委員会:国連人権委に宗教弾圧の監視保護制度設定を要求
◎<落穂抄>受難節と「殉教者たちの祈り」
 = 2 面 =
◎有珠山救援活動:信徒がインターネットで支援の輪
★有珠山救援活動:避難所も福音提供の場
★有珠山救援活動:救世軍のキャンティーンカーが好評
★有珠山救援活動:日基教団——避難中の信徒を訪問し救援作検討
★石原都知事の「三国人」発言は民族差別——外キ協・NCCなどが抗議声明
★婦人矯風会:核不拡散条約再検討会議を前に廃絶訴え
★草刈牧師裁判から1年
★NCC平和・核問題委:沖縄への新たな基地建設反対の声明を
★<教界の動き>AVACO、金城学院幼稚園、創造科学研究会、千代崎秀雄氏
★<逆転の信仰経営>(46最終回)生まれ変わったビジネスマン<29> 三谷康人回顧録
 = 3 面 =
★相模原シンポ:毎日曜午後に牧師が交代説教——高齢者住宅シオン相模原
★相模原シンポ:信徒の宣教のための学び——相模原聖書学校
★ナザレン教団:精神ケア行う伝道所開設
★日本福音教団:2002年に50周年記念誌を発行
★日本伝道隊:母体の英JEBが組織改変
★中国:北朝鮮難民かくまうキリスト者に罰金刑
★<論説>移転の季節に必要な配慮 記・蔦田 公義
 = 4 面 =
★キリスト降誕2000年:首都東京で祝い、祈り、伝える
★キリスト降誕2000年:トラクト「西暦2000年は画期的な年!」で主の年の意味伝える
★キリスト降誕2000年:聖地で新千年期を——「メシアの祝典」参加者募集
★キリスト降誕2000年:全国各地の2000年企画
 = 5 面 =
★発題要旨:「障害者」から見た出生前診断、脳死・臓器移植
★着床前診断は造り主の尊厳冒す——全国キリスト教障害者団体協議会の要望書
 = 6面 イースター スペシャル=
★イースターにおもう 記・山本 優子
★イースターの贈り物から始まったエッグアート 記・西村 マリ子
★イースターミニ事典
 = 7面 イースター スペシャル=
★イースターの卵料理
 = 8・9 面 イースター スペシャル=
★イタリア・キリスト教美術の旅 記・町田 俊之
☆紙上 受難・復活節美術展2000
 = 10 面 =
★伊勢神宮で神道を探る
★皇學館で質疑応答
 = 11 面 全面広告=
☆プレイズ出版
☆スーパーミッション2000東京
 = 12 面 =
★第22回あかし文学賞選考結果発表
準入賞作品:「小さな命」市川 昇、「ろばの子の歌」今村真子・和彦
 = 13 面 キリスト教書店特集=
★オアシスブックセンター新装開店(東京・新宿)
★工夫をこらした各書店のキャンペーン
★ここにキリスト教書店があってよかったと言われた時
★昨年度、書店で売れたベスト5
★ハレルヤ! 赤字でも主に守られ感謝!
◎キリスト教書店ガイド(PR)  = 14・15 面 読書特集=
★赦すことがテーマ——絵本「ちいさなリース」
★日本聖書協会:文語訳聖書の新版発行
★<新刊書紹介>「世界の諸宗教? 秩序と伝統」ニニアン・スマート著
★<新刊書紹介>「聖なる大路の道しるべ」スティーブン・アルフォード著
★<新刊書紹介>「聖書生活のいのち」石丸 新著
★<新刊書紹介>「聖ニコライ大主教」高橋 保行著
★いのちのことば社「リパブック」——小部数出版スタート
★<新刊書紹介>「使徒的教会の到来」C・ピーター・ワグナー著
★<新刊書紹介>「イエス 22人の証言」日本基督教団出版局
★<新刊書紹介>「慰めの共同体・教会」クリスティアン・メラー著
★<新刊書紹介>「武士道」新渡戸 稲造著
★<新刊書紹介>「福音のタネ 笑いのネタ」山北 宣久著
 = 16 面 =
◎妻の闘病期の説教集を記念出版した古川修二牧師
★3人の子と夫を天に送った女性が見いだした光
★闘病を通して家族・周囲の救いを信じ励ましつづけたワイドリック・幸さん
 = 17面 =
★十字架の痛み共有し私は平安——ガン死の能登一郎牧師
★天国に近い自由さ感じた——マコト・フジムラさん
★<北から南から>秋田:シオンの丘秋田キリスト教会
★米国:「人間をとるハンター」の活動
 = 18 面 =
★イースターメッセージ:死で終わらない人生 記・古川 修二
★<情報クリップ>催し情報ほか      
 

宣教船ドゥロス号6月に来航−−創設者バウアーさん青年に宣教のチャレンジ

世界中のクリスチャン青年を乗せて各国を巡回し、国際交流を図りながら福音を伝えている宣教船ドゥロス号が、6月初旬から2か月、日本に寄港する。
これに先立ち、宣教船の生みの親で、福音的な超教派宣教団体オペレーション・モービライゼーション(OM)の創設者・国際総主事のジョージ・バウアーさん(61)が来日、名古屋で講演し、世界宣教のチャレンジを与えた。
2隻のOM宣教船のうちドゥロス号は、4年ぶり3度目の日本寄港。
6月5日から19日まで新潟港を皮切りに、同21日から7月11日まで横浜、同12日から8月2日まで名古屋に停泊。
船上書店や船内案内ツアーに人々を招き、乗組員が地元の学校などを訪問、会場を借りての集会や伝道活動など、多彩なプログラムを展開する。
3月21日、名古屋市で講演したジョージ・バウアーさんは、世界80か国で3000人を超える宣教師・奉仕者が働く宣教活動の創立に至る証しを交えて、特に青年たちに徹底して神にささげる生き方を促した。
「私は最初から霊的な人間だったわけではありません。
失敗、涙、罪のただ中で、神は恵みを与え、何十万人に証しをする機会を備えて下さった。
若い人に言いたい。
100パーセント根本的に、革命的に、イエス様にささげて下さい」船に乗って訓練を受け働く奉仕者の8割は若者。
「普通の人々ですが、神が恵みによって救って下さり、神に根本的に従う決心をした者たちです」バウアーさん自身、その決心をしたのは17歳の高校生のとき。
「母方の祖父は無神論者でアルコール依存。
母は離婚していました。
もし救われなかったら私もアルコール依存になっていたと思います。
16歳の私はお金とポルノのとりこになり、警察のやっかいにもなりました」。
その生活を革命的に変えたのは、通っていた米・ニュージャージーの高校の近くに住んでいた婦人の祈りだった。
その高校の生徒が救われ宣教師になるようにと15年間祈り続けていた婦人は、ジョージ・バウアーの名前を祈りのリストに載せ、ヨハネの福音書を郵送した。
その後ビリー・グラハム大会で回心したバウアーさんは、生徒会で全校生徒に証し。
不良ばかりの学校で100人以上の生徒が救われ、何人もが献身した。
1957年、バウアーさんは持ち物を売り払ってヨハネ福音書やトラクトを買い込み、数人の学生仲間と共にメキシコを皮切りにヨーロッパ各地に文書配布伝道を開始した。
活動の目標はやがて、中東やアジアなどのイスラム圏、共産圏にも及ぶ。
多くの文書を運べる宣教船のビジョンはそうした中で与えられ、1970年に開始された。 短期乗船体験/奉仕者を募集 ドゥロス号日本寄港中に船内の奉仕を体験しながら宣教の訓練を受ける「ボランティアトレーニングプログラム」(無料)と、5月23日・台湾から日本寄港後の8月15日・台湾まで乗船する「短期体験プログラム」(参加費10万円)の参加者、寄港中の通訳奉仕者を募集している。
締め切りは5月7日。
問い合わせはTEL076・286・6454、OM日本事務局。

<落穂抄>受難節と「殉教者たちの祈り」

受難節の期間、み言葉の瞑想と共に心をつかんだ本に「殉教者たちの祈り」(D・アーノルド著、いのちのことば社刊)がある。
2年前に出たこの本は、あまり読者を増やしたとはいえなかったようだが、今読みかえしてみて、ただならぬものを感じた。
「おお主よ、善意の男女のみでなく、悪意ある男女も忘れないでください。
しかし彼らが私たちに与えた苦痛は、覚えていないでください。
その代わりに。
その苦しみによって私たちが結んだ実を忘れないでください。
——それは。
この苦悩から生まれた私たちの交わり、お互いに対する忠実、謙遜、勇気、寛容、そして心の偉大さです」。
この祈りは、ラベンブルック収容所で殺された子供の着物にあったという祈りの一節である。
だれが祈ったかはわからない。
だが十字架上の主イエスが、「父よ彼らをお赦しください」と祈られたように、そこに愛のとりなしの奇跡があった。
その祈りの最後は「私たちを迫害する者があなたによって裁かれるとき、私たちが結んだこれらの実が彼らの赦しとなりますように」という言葉で結ばれている。
この祈りにふれて多くのことを教えられた。
殉教が証しするものは死よりはるかに大きないのちの輝きがあるということだ。
今世紀が殉教の時代であるという事実は、また計り知れないキリストのいのちの豊かさを証ししている時代に生きているということでもある。
今年も、イースターを迎える。
教会はこの復活のいのちを、混沌とした世界の中で、命がけで証しする使命がある。

有珠山救援活動:信徒がインターネットで支援の輪

有珠山噴火の救援活動に関し、信徒個人のインターネットによる情報交換が被災者への祈りと支援に活用されている。
独自に救援対策本部のホームページを設け、集めた情報を流す人も。
阪神大震災の教訓を生かしたインターネットによる災害時の迅速な情報交換は非常時の大きな武器となっている。
東京都練馬区でデザイン事務所「ライトハンド」を開いている伊澤潤さん(日本イエス・キリスト教団若枝教会員)は、北海道伊達市に住むキリスト者学生会(KGK)北海道地区OBの友人から、今回の有珠山噴火の情報を知る。
すぐにホームページ「USU―MISSION」を開設。
「このサイトは伊澤潤個人の責任において開設し、掲載情報は事実関係を確認の上掲載しているが、不備があった場合はご容赦を」と前置きしつつ、個人で集めた有珠山噴火被害の状況、特に教会関係の情報を集めて提供している。
また「このサイトが被災された方々の慰めとなり、祈りの輪を広げるために用いられれば感謝」と、祈りの支援を呼びかけている。
伊澤さんは日本福音キリスト教会連合(JECA)北海道地区有珠対策本部の木村宣雄さんを通じて、長万部に避難しているJECAの関連教会虻田福音キリスト教会牧師の馬場静子さんにキリスト教視聴覚センター(AVACO)の紙芝居を無料で提供することを計画、近日中に送る予定。
AVACO側もその要求に応じ、だぶついた紙芝居を無料で提供することを承諾した。
「USU―MISSION」のホームページは、www.righthand.co.jp/usu/
阪神大震災の教訓生かし災害時の大きな武器に クリスチャン新聞のホームページに掲載された有珠山報道を目にした奈良県在住の北村高史さん(日本基督教団馬見労祷教会員)は、4月9日、しらゆり有珠山災害救援対策本部を設置。
現地への支援使節の派遣、義援金及び救援物資を検討している。
北村さんは阪神・淡路大震災の時にも、一信徒として被災地の教会を訪ねて回り、情報を集め、話を聞き、祈るといったボランティア活動の経験を持つ。
今回も「あの時の経験を生かして、有珠山噴火の被災者に何かできないか」と思い至り、個人で対策本部を設置した。
北村さんは11日、長万部の避難所にいる馬場さんと連絡を取り、虻田福音キリスト教会への支援が適切と考えて、近日中に聖書とトラクトを送る予定。

妻の闘病期の説教集を記念出版した古川修二牧師

伝道牧会の労苦を共にしてきた牧師の妻が、がんに侵される。
手術、やがて転移し再発、そして召天の翌日も、牧師は講壇に立ち続けた。
妻を天に送ってから約1年後、牧師はふさわしい記念にと、闘病の日々に語った礼拝説教を1冊にまとめた。
折々に与えられた聖書の真理と、そこから得た慰めが、永遠の御手にある希望を身をもって証しし最後の日まで笑みを絶やさなかった妻の姿とともに、浮き彫りにされている。
京都府城陽市の日本ナザレン教団城陽教会牧師、古川修二・由美子さん夫妻。
説教集は由美子さんの愛した申命記33章27節の聖句「とこしえにいます神はあなたのすみかであり、下には永遠の腕がある」から、『永遠の腕』と題を付けた。
由美子さんの乳がんが分かったのは97年8月末。
手術を受けたが、すでにリンパ節に転移があった。 試練と誘惑 肝臓への転移が見つかったのが翌年2月。
説教集には、その直後の1998年3月1日の礼拝説教から収録されている。
マタイの福音書4章1~11節からで、説教題は「試練と誘惑」。
主イエスが荒野で経験した試みの本質を考察し、「最も苦しい時に見えるものに頼り、父なる神に 信頼せずに結局は神から離れてしまうという試みであり、その誘惑であった」と説いている。
そして、自分たち家族が今、必死に神様に頼り、一日一日、一瞬一瞬を歩んでいる実情を話し、「しかし、信仰者にとっての最大の問題は最も苦しい時に、神に頼るのではなくて、それ以外のものに逃れてしまうことです」と語る。
何度も語り続けてきたこのメッセージを、この試練の時期、「自分の心に向かって語っています」と古川牧師は、後に告白している。
「飢えや、病のただ中で、罪を悔い改め、御言葉の約束を心から信じて祈り抜いても、事態が思うように好転しない時に、人は深くつまずいてしまいます。
心の奥底で神に失望してしまうのです。
心の中を揺さぶられてしまいます。
神様は結局祈りに答えてくださらないのではないか、という思いにとらわれます。
しかし、そのところにおいてこそ、主なる神様に信頼し、なおも望みをもって祈り続け、善にして善をなしてくださる神様に対する希望を失わずに、従ってまいりたいと思います」
善く生きる 7月5日の説教はマタイ19章16~22節から「善く生きるために」。
永遠のいのちを得るためには、どんな良いことをしたらよいのでしょうか、と主に尋ねた富める青年の物語である。
古川牧師はここから、「永遠のいのちを得ることは、ただ単に、私たちが死んだ後のいのちを保証していただくことに止まらないで、今与えられているかけがえのない人生を、より善く生きる、悔いのないように生きるということでもあります」と指摘。
イエス様が、この時この青年に、どうしても分かって欲しかったことは、「全財産を貧しい人に施せと言われた時に、そうすることのできない自分の弱さを正直に認めることではないでしょうか」。
「居直るのではなくて、そこから上を見上げて、無限の可能性を持つお方の前にひざまずくこと。
そこで、主の愛と力をいただく。
そして、そのところから、助けを必要とする人たちのところに歩み寄り、主の前に共に生きていこうとする。
これが、私たちの生き方だと思います」と語った。
入院の病床で由美子さんは、イエス様から愛されている者として、できる限りのことをしようと務めていた。
元気があるうちは同じ病院の入院患者の世話をよくし、悩みを聞いてあげていた。
そうした中で同室の女性がイエス・キリストを救い主と信じて洗礼を受けたことを「最大の喜び」とし、この出会いを心から喜んでいた。
「わが妻ながら、これが、『善く生きる』ということだと思います。
どんなに自分が弱くされている時にも、人を慰め励ましつつ、善く生きることができるのだと思います。
そうして生きることが、『永遠のいのちにつながる生き方なのだ、と思うのです」
赦しの恵み そのように生きた古川由美子さんは、98年7月18日の土曜日、49年の生涯を終えた。
地上の命が消えていくことを静かに受け入れながら、最後まで完全に癒してくださる神様の愛と真実を信じ抜き、医師や家族や祈ってくれている人々に感謝しつつ。
夫婦で祈った最後の言葉は、「神様、あなたの愛と真実を」で途切れた。
「それに続く言葉は何でしょうか。
『信じます』でしょうか。
『賛美します』でしょうか。
どちらでもあると思います」と古川さんは思いめぐらす。
亡骸と共にその日のうちに、入院していた東京の病院から京都に戻った古川牧師は、翌日の講壇に臨んだ。
マタイ18章21~35節。
題は「赦しの恵み」。
かけがえのない日々として過ごした最後の一週間のようす、『生きているのではなく、生かされているのだ」と何度も語った由美子さんの言葉などを証しし、臨終に先立って与えられたローマ人への手紙8章11節の御言葉を語った。
「もし、イエスを死者の中からよみがえらせた方の御霊が、あなたがたのうちに住んでいるなら、キリスト・イエスを死者の中からよみがえらせた方は、あなたがたのうちに住んでおられる御霊によって、あなたがたの死ぬべきからだをも生かしてくださるのです」1000冊印刷した説教集は、教団内の諸教会や、友人に贈った。
感動して読んだという多くの礼状の中に、神学校の同窓生の一人は、こう書いてきた。
「この本の中では、みことばが古川先生の血肉となり、心になっています。
しかも、みことばが体験に吸収されることなく、みことばとして語りかけてきます」と。
「死は勝利にのまれた。
・・・死よ。
おまえの勝利はどこにあるのか。
死よ。
おまえのとげはどこにあるのか」(?コリント15:54—55)