[CSD]2010年8月8日号《ヘッドライン》

[CSD]2010年8月8日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎信仰者として出会えて夢のよう——横田早紀江さん 金賢姫さんと会見
★国際:ルーテル世界連盟大会でアナバプテストへの迫害に赦し求める

 = 2 面 ニュース=
◎バプ連盟:「韓国強制併合100年の悔い改め」声明を決議
★バプ同盟:ハラスメントのガイドラインを承認——防止相談委が始動
◎日本だからできる世界宣教とは——アンテオケ宣教会セミナーで焦点に
★現代プロダクション「大地の詩」9月クランクインへ——留岡幸助役には村上宏明さん
★<落ち穂>寿町のラザロの記録DVD

 = 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[17]西郷隆盛の章:6 ——キリシタンとの関係 記・守部喜雅
★宣教師の遺志継いで16年——超教派で成田クリスチャン祈祷会
★<オピニオン>平和に貢献する言葉 記・木 実

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★澤田 猛さん[中]([株]竹中工務店東京本社設計部副部長)——建物は「作品」、子どもたちにも見せてやりたい 記・清水茂則
★<モノトーンからの脱出>[最終回]今こそ異質性愛し合う教会を 記・小川 巧記

 = 5 面 世界宣教=
★世界の宣教潮流と日本の可能性——フランシス・ツイ氏(アジア・アウトリーチ総裁)講演から

 = 6・7 面 葬儀特集 =
★個人の意志の影響が大きい——しらゆりセレモニー
★教会がしっかりリードを 談・櫻井圀郎
★葬儀の「パーツ売り化」を懸念——「布施の価格目安」論議に思う
★「現代社会と葬送の実態」学ぶ——都内で「日本の文化」ツアー

 = 8 面 医療特集 =
★東洋医学の知恵を生かす——病気を治すのか、病人を治すのか
★ヒポクラテスの原点

 = 9 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『新版 ブルーリボンの祈り』横田早紀江ほか著(フォレストブックス、1,260円税込)
★BOOK:『坂本龍馬を斬った男』今井幸彦著(新人物往来社、700円税込)
★BOOK:『敬天愛人』福田充男著(地引網出版、1,260円税込)
★REVIEW:『カルトと新宗教』D・E・コーワンほか著(キリスト新聞社、2,940円税込)評・渡辺 聡

 = 10 面 教会学校 =
★子どものための2日間——長老教会・横浜山手キリスト教会
★<CSもうひと味>ハンバーガーパーティ——パンに挟めば食欲増進

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★ユーオーディア:喜界島での音楽宣教ツアー好評——8月に東京で第7回ユーオーディア音楽祭
★「2010 ムスリム世界のための30日の祈り」ガイド配布中
★国際:世界学生キリスト教連盟が経済・社会・環境問題に取り組む若者を助成
★バチカン:マーラー生誕150年、ワルターのエッセイを機関紙が採録


 = 12 面 教会 =
★会堂取得で広がるビジョン——単立・愛知福音キリスト教会



◎信仰者として出会えて夢のよう−−横田早紀江さん 金賢姫さんと会見=1008080101



うち解けた雰囲気で金賢姫さん(写真左)と語り合う早紀江さん。会見では信
仰の話をし、神様の存在を確認し合った(写真提供=政府拉致問題対策本部)
 お母さんも、同じ神様を信じているんですね──。7月21日、長野県軽井沢町の鳩山由紀夫前首相の別荘でのこと。拉致被害者横田めぐみさんの両親、横田滋・早紀江夫妻との会見で元北朝鮮工作員の金賢姫さん(48)が早紀江さん(74)に最初に語った言葉が、このひと言だった。本紙取材に早紀江さんは「人の思いをはるかに超えた神様の働きを感じた」と語った。

 当日、横田滋・早紀江夫妻は韓国政府、日本政府の高官が見守る中、金賢姫さんとの会見に臨んだ。最初は非常に緊張したという早紀江さん。だが、「まず金賢姫さんからそう言ってくれたので一気に楽になった」。
 早紀江さんは「信仰をもつ者同士でなければ分からない不思議な結びつきを感じた」と語る。「金賢姫さんは、黒い目がとてもきれいで穏やかな表情でした。同じ目線、同じ御言葉の上に立っているのが分かりました。私たちは、神様から平安と力をいただき、大勢のいる前で信仰の話をし、神様の存在を確認し合い、この問題解決のために祈り合っていきましょうと話し合いました」
 会見は最初からうちとけた雰囲気で、夕食時間になっても話が途切れなかったという。めぐみさんに関する新しい情報はなかったが、「絶対、元気でいますよ。希望を捨てないで」と金賢姫さんから言われ、「勇気をもらった」と早紀江さん。家族がどうなっているか分からないと言う金賢姫さんに、早紀江さんも「大丈夫。テロや拉致事件に巻き込まれた私たちが時間をかけてお会いできた。必ず家族と再会するその瞬間を信じましょう」と励ました。
 会見を終えた翌日、軽井沢町で行われた記者会見で早紀江さんは「(金賢姫さんと)お会いできたのは夢のよう」と語った。その真意は「神様の不思議なご計画により、互いに北朝鮮の犠牲者である私たちが、同じ信仰者として出会えたことだった」と語る。
 大韓航空機事件元被告の金賢姫さんは、逮捕後、クリスチャンの捜査官がくれた聖書をきっかけに、信仰に導かれた経緯がある。90年11月、信仰雑誌「百万人の福音」のインタビュアーとして金賢姫さんと会った吉田耕三氏(ソウル日本人教会牧師)は、その回心が非常に明確だったと語る。「『あなたが信奉する共産主義を捨てて信仰をもつのは非常に大変と思いますが、どうして信じる決心ができたのですか』と質問した時、金賢姫さんはこう答えてくれました。『それは簡単です。頭では金日成を捨て、イエス・キリストを受け入れたのです。首から下は同じです』と。その回答は明快でした」
 半面、百数十人もの命を奪ってしまった罪責感の深さも感じたと吉田牧師。金賢姫さんは「犠牲になった方々の遺族のことを思うと、申し訳なく、つらい気持ちでいっぱいです。これからは神様のみこころにしたがって、贖罪のために生きていきたいと思っています」(『百万人の福音』91年4月号特別記事「神さまの深いあわれみによって」より)と語っている。「今回の会見でも、拉致被害者のため自分のできるかぎりのことをして励ましたい、と金賢姫さんは思われたのでは」と吉田牧師は言う。
 22日、早紀江さん不在の中、「横田早紀江さんを囲む祈り会」が、東京・中野区中野のいのちのことば社本部で開催された。最初に工藤輝雄氏(前ホーリネス・板橋キリスト教会牧師)が代表して「金賢姫さんとの会見で横田夫妻も希望と不安の中にあるが、信仰の仲間の祈りにより疲れた心も体も癒され、強められるよう、聖霊様が力を与えてください」と祈った。
 また「薄皮をはがすように問題解決の糸口が現れていることを感謝しつつ、祈ってほしい」との早紀江さんの要望に応え、三人一組になり、横田滋・早紀江夫妻ほか拉致被害者家族の健康、「北朝鮮による拉致被害者を救う会」会長の西岡力氏の働きと健康のため祈り合った。
 10月21日には、東京・渋谷区渋谷の日基教団・渋谷教会で拡大祈祷会を開く。
 

◎バプ連盟:「韓国強制併合100年の悔い改め」声明を決議=1008080201

 「韓国強制併合」から100年の今年。日本バプテスト連盟(田口昭典理事長)理事会では、この1年を「歴史を心に刻む年」とし、様々なプロジェクトを計画している。
 その第1弾として7月14日、「『韓国強制併合』100年の悔い改め」とする声明を日本語・ハングルで発表した。
 声明では、1910年8月の「韓国併合」は、朝鮮半島への侵略と植民地支配以外の何ものでもなく、日本のキリスト者は、「主告白を歪め、福音の証を曲げ、隣人たちの血と涙と死を生み出すことに荷担」した。敗戦後も日本は歴史の清算をしないまま、「『冷戦』の片棒をかつぎ」、在日韓国・朝鮮人の人権を奪い、差別の中に放置した、と歴史を振り返った。
 そんな中、韓国のキリスト者たちの民主化への祈りと闘い、「在日」のキリスト者による「指紋押捺運動」などを通し、「自らの社会にはびこり続ける差別・排外主義の現実を知らされ、共に生き共に生かし合う社会の創造に向けて協働する喜びへと導かれた」が、94年の同連盟加盟教会の牧師による「熊本『同化』発言差別事件」が解決に至っていないなど、「いまだ在日韓国・朝鮮人の方々へ差別の痛みを背負わせ続けてしまっている」と告白した上で、真摯に学び続けること、「神と隣人と自分自身に対し、『古い人を脱ぎ捨て、心の底から新たにされて』生きることができるよう決意し、祈る」ことを表明した。
 他のプロジェクトとしては、韓国バプテスト連盟、在日大韓基督教会に宛てて送る書簡を作成中。11月の連盟総会で審議する予定。同連盟では、77年の第31回総会において「韓国キリスト者に送る書簡」を、84年第38回総会において「『韓国の主にある兄弟姉妹へ』の書簡」を採択しており、「併合」100年の節目の年に改めて歴史を振り返り、悔い改めの書簡を届ける。
9月13~17日には、「歴史を心に刻む旅」と題して韓国訪問ツアーを、11年2月には日韓・在日連帯特別委員会主催による在日コリアンの歴史・筑豊フィールドトリップを実施予定。
 また、アピール用ポスターや、若者にもわかりやすい歴史教育教材として08年に作成されたブックレット『歴史をひらくとき|共に生きる世界・2008―』(外キ協編 千50円税込)の活用を、各教会に呼び掛けている。

◎日本だからできる世界宣教とは−−アンテオケ宣教会セミナーで焦点に=1008080203

 アンテオケ宣教会主催の第15回世界宣教セミナーが、6月22日から25日奈良県生駒市の関西聖書学院を会場に開かれた。今回のテーマは「日本だから取り組める世界宣教」。前半は今の世界宣教の様相を見つめ、後半は日本の教会として、また日本人キリスト者としての取り組みを考えるという構成。主講師のアジア・アウトリーチ総裁フランシス・ツイ氏は「宣教の世界潮流と日本の可能性」、「この時代の世界宣教チャレンジ」と題して講演した(5面に一部講演要旨)。
 2回のシンポジウムで理事、主事、宣教師らが発題し、活発な質疑応答があった。「派遣・支援体制のあり方」についてでは、宣教地で起こりやすいこととして、経済の変動、宣教師のケア、宣教師子弟の教育、文化も習慣も違う任地での同労者との関わり方などについて問題提起。「日本だからできる世界宣教と協力」では、「礼儀正しく目上の人に対する尊敬の心を持ち、順応しやすい日本人だからこそ、宣教地で良いチームワークを組んで働いていける」「教えられやすく、中心になろうとしない日本人の良さを生かした、仲介者的なリーダーシップを発揮していけるように」などと発題。また、政府が2020年までに30万人の留学生を受け入れることを発表していることに触れ、日本にいながら世界宣教をしていける現実に、教会がどう応えていくのかが提起された。
 祈りの時間にはスカイプを用いて宣教地とのライブリンクをし、宣教師が任地から直接祈祷課題を出し共に祈った。
 このほかモンゴルミッションセンターの責任者ボロロ氏がモンゴル宣教の進展を報告。それによると、1990年代初めに4人しかクリスチャンがいなかったが、91年のソ連邦崩壊と同時に若い人たちが福音に反応し、現在では人口2千700万人に対して6万人の信者、500の教会が生み出されている。98年にモンゴル全都市・全部族に、また旧モンゴル帝国領内の全部族に教会設立をというビジョンを掲げてモンゴルミッションセンターを設立、25人のスタッフで働きを続けている。現在160の町にはまだ教会がない。加えて、国外に約700のモンゴル系のグループがあり、今でもモンゴル語を話しており、その中でモンゴルの文化を継承している人は国内より多いと言われている。このような在外モンゴル人への宣教も急務だという。