[CSD]2011年1月2/9日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年1月2/9日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
★新年メッセージ:全地よ、主に向かって喜びの叫びをあげよ 記・鈴木文治

 = 2 面 ニュース=
◎韓国初の民営刑務所を開設——キリスト教団体が更生へ希望
★日本バプテスト連盟:中長期活動方針大綱を承認——新理事長に奥村敏夫氏
★日本ホーリネス教団:11年前の元牧師 性加害事件で謝罪
★ハイチ:コレラ大流行に対処——国境なき医師団の根本律子さん再び出発
★<落ち穂>寡黙な医療伝道者

 = 3 面 ニュース=
★<竜馬をめぐる人々>[36]今井信郎の章:1——龍馬暗殺の実行犯は誰か 守部善雅——
★ケープタウン2001報告[5]——パートナーシップの構築へ 記・中台孝雄
★<オピニオン>教会の賛美——新しい歌を主に歌え 記・高橋和義

 = 4・5 面 韓国併合100年を越えて=
★ウチの教会、ウリキョウヘと呼び合う関係になろう 記・平島 望
★日韓、韓日の民間交流と青年交流に期待する 記・権 宅明
★日韓の親密な国際協力関係はアジア・世界平和を左右する鍵 記・趙 南洙
★日本宣教に韓国教会の協力必要 どうして難しいか共同で研究を 記・野寺 博文

 = 6・7 面 自立を支える=
★社会の「外」におかない自立支援の取り組み——応急から総合的な支援へ NPO市川ガンバの会
★ゆるやかにつながるカフェにキリストの香り——バプ連盟・ふじみキリスト教会
★その人自身の「自立」を医・衣・職・食・住でサポート——横浜寿町・NPOさなぎ達

 = 8・9 面 環境特集=
★教会で考えよう! 地球環境——アーモンドの会
★国連気候会議の成果に「落胆」と「楽観」 水没で再定住も——太平洋教会協議会
★耕し、守れ——聖書が教える「環境」 記・水草修治
◎光と風と水をテーマにエコチャーチづくり——日本基督教団新生釜石教会

 = 10 面 全面広告=
☆教会・教団・各種団体・企業

 = 11 面 教育=
★「内圧」の時代に一致を——キリスト教学校教育同盟100周年
★建学の精神を再考する場に「聖書フェア」開催——沖縄キリスト教学院大学

 = 12 面 全面広告=
☆教会・教団・各種団体・企業

 = 13 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「ほんの少しのやさしさ」上原玲子(アバ・ミュージック、1,000円税込)
★BOOK:『だからあなたも大丈夫』大野寿子ほか共著(マナブックス、525円税込)
★REVIEW:『病める社会の病める教会』勝本正實著(いのちのことば社、1,260円税込)

 = 14 面 関西だより=
★新春対談:日本宣教支える信徒の力——平山武秀氏 vs 高田義三氏

 = 15 面 クリスチャンライフ=
◎新連載ルポ<また行きたい! 教会の魅力>[1]どこが違うの? 人があふれる教会——成長の鍵は「ジャーナル」
★キューバ:福音派が教誨師300人の教習始める
★バチカン:「歴史的図書」に触れられる展示

 = 16 面 全面広告=
☆「バイブルハウス南青山」2011年2月18日オープンへ
ホームページ http://www.bible.or.jp/

==新年特別増大号 第2部==
 = 17面 ネパール宣教の夜明け=
★北海道・清水町の「お隣さん」——韓国人宣教師 教会のない町で開拓伝道

 = 18・19 面 特集/輝け定年後の青春=
★PBAで40年の技術で裏方サポート——M2アシスト 酒井盛雄さん
★技術開発研究者から定年後自宅で教会開拓——アガペー・コミュニティチャーチ牧師 門谷一さん
★死と向き合う人に寄り添う——NPOサニア・サービスセンター 江波戸 啓悟さん
★年老いてなお豊かな人生送るために——カレブの会

 = 20・21 面 Anniversary/国家晩餐祈祷会10年=
★日本と世界のために祈り結集——時代の危機 執り成す
★日本のための祈祷課題
★韓国、米国にならって——国会議員も参加、年ごとに拡大
★国家晩餐祈祷会10年の歩み

 = 22・23 面 特集/小さないのちを守る会=
★一生分の涙流しつつ送り出すいのち——のちの祝福信じ 養子に
★涙の別れ、涙の出会い 記・辻岡健象(会長)
★いのちを守ることイコール宣教の業 記・水谷 潔(代表)

 = 24 面 ビジネススペシャル/今、なぜドラッカー=
◎教会がドラッカーの「マネージメント」を使ってみたら——使命とは何か?
★組織とな何か?——イエスの福音伝えるため教会は存在
★自らの強みに集中する——与えられた賜物を最大限生かすこと
★成果とは何か?——御言葉に生きる習慣が実を結ぶ

 = 25-27 面 神学校特集=
★価値観の転換を経て伝道が人生の目的に 金清大介さん
★「日本一祝福された男」 ド派手に国を変えたい 山下 翼さん
★自己実現でなく神の御心を確信するまで 加藤秀典さん
★「福音を伝えたい」が契機 通信制で「発見の連続」 佐藤 誠さん
★大事故で感じた神の御手 主が選び整えてくださる 東 賢作さん

 = 28 面 人間ドキュメント=
◎KAT[キャット]さん(シンガーソングライター)——神の愛が傷をいやしたとき



◎韓国初の民営刑務所を開設−−キリスト教団体が更生へ“希望”=1012190201

 【CJC=東京】キリスト教団体「アガペ基金」が12月1日、韓国で最初の民営刑務所「希望」をソウル郊外ヨジュに開設した。最初の収容者は30人。同基金のキム・サムファン議長は、同刑務所の狙いの一つは再犯率を3%にまで低下させることにある、と言う。韓国政府法務省は、「民間部門の参画は、刑務所運営の効率化に貢献する」と新聞発表で指摘した。
 韓国のプロテスタント教会は1995年以来、私営刑務所制度の創設を議会筋に働き掛けてきた。国会は創設案を99年に通過させている。
 キム氏は、私営刑務所を成功させる鍵は収容者を更生させるためのプログラムを充実させることと言う。「希望刑務所」では収容者にボランテア600人による個人的なコンサルテーション、聖書研究に基づくヒーリング(癒し)、被害者との間の和解、音楽や芸術によるセラピーなどを実施する。
 改宗を強要するのではとの懸念に関し、キム氏は、刑務所を「プロテスタントの数を増やすためだけに設立したのではない」と言う。刑務所は様々なプログラムによって更生したいという受刑者だけを受け入れるので、「宗教的自由の問題はない」と強調している。
 「希望刑務所」は360人まで収容可能。前科2犯未満で、禁固7年以下の20歳から60歳までの男子受刑者を収容する。麻薬、公安関係、組織暴力関係の犯罪者は収容しない。
 敷地21ヘクタール、十字架型6階の刑務所の建設費用は288億ウォン(約21億円)。韓国政府は公営刑務所運営費の9割相当分を支出することになっており、運営を1民間団体に委ねることへの懸念も強い。法務省は、批判を避けるため係官4人を派遣するという。
 また施設が充実していることは、収容者の待遇に平等さを欠くことになる、との議論もある。
 宗教団体が運営する刑務所は米国やブラジルにある。いずれも公営施設では犯罪者を収容しきれていない。

◎光と風と水をテーマにエコチャーチづくり−−日本基督教団新生釜石教会=1012190902

 2000年に新会堂を献堂した岩手県の日基教団・新生釜石教会は「光と風と水」をテーマにしたエコチャーチだ。しかし、この会堂を建てるまでには遡ること20年余り、現在、東京・新宿区にある千代田教会牧師の太田春夫氏が環境問題と出合ったことから始まる。
 「30年前に赴任した遠野の教会は老朽化が進んでいました。幼稚園と併設していたのですが、同じく老朽化していた会堂・園舎を建て直しました」
 電球や蛍光灯の数が増え、薄暗かった廊下や園舎全体が明るくなった。「その結果、すごく光熱費がかさみ、省エネをしないと経営できないほどでした」
 時は1987年。バブルに日本社会が浮かれていた頃だったが「遠野はバブルの影響は少なかった」と振り返る。しかし、まだエコロジーへの関心も薄かった。自身も「節電・省エネは現実的な課題だったから考えざるを得なかった」という。同じ頃、チェルノブイリ事故もあり、都会と田舎、文明の光と陰を強く意識させられたという。

 92年に釜石市の教会に赴任し、2つの教会を94年に合併して現在の新生釜石教会が誕生した。
 「遠野の教会ではまだ環境問題の知識が少なく、地域も環境より経済の繁栄という考えが主流だったので、エコロジーを推進しきれない悔いがありました。次に新会堂を建てる機会があったらエコチャーチを建てようと考えるようになっていました」
 また、宮城県の気仙沼市唐桑で、牡蠣の養殖をしている畠山重篤氏とも個人的に親しくなった。「畠山さんは、魚介類が育つのは豊かな森林があるからだ、ということに気づき、『森は海の恋人』という理念に立って植林運動を展開していました。
 畠山さんの活動や発想から学ぶことは大きく、岩手地区の集会に招いて講演をして頂きましたし、
高校生・大学生を連れて行き、体験的な学びの機会を与えられてきました」
 新生釜石教会が創設され、新会堂建築が現実の話題となり、21世紀の宣教の課題の一つとして位置づけ、エコチャーチへ具体的な計画を進めることになった。
 太陽光発電、風力発電、ソーラー温水、雨水利用、井戸水利用システム、水冷式クーラー等を取り付け、教会の建物も岩手県産の木材をふんだんに使用した。さらに光があふれる明るい教会堂を目指した。「石油や石炭など化石燃料は一度使ったら終わりですが、森は植林をすれば100年で再生します。地球誕生46億年の歴史からみれば、100年はほんの一瞬にしかすぎません。神様はノアの洪水の後、2度と世界を滅ぼさないと、全ての生きものと約束されました。そのしるしに虹をくださいました。そして豊かないのちの循環を育んでくださいます。エコチャーチを通して、神様の創造の御業を改めて覚える機会とし、また人間の営みを考え直すきっかけにしたいと願いました」

 現在は都会の真ん中で牧師を務める。「自然が懐かしいですが、ここでも小さな庭に家庭菜園をつくり、プランターでゴーヤを育て、教会学校の子どもたちと一緒に大地の力強さやいのちの不思議を少しだけ体験しています」

◎新連載ルポ<また行きたい! 教会の魅力>[1]どこが違うの? 人があふれる教会−−成長の鍵は「ジャ

 教会の統廃合や信徒数の減少がいわれて久しい。「クリスチャン情報ブック2011」のアンケート結果によると、4年ぶりに8,000教会を割り込み、推定信徒数も前年に比べ、減少した。しかし、日本にある教会すべてが元気を失っているわけではない。人が集まり、その輪が広がり続けている教会がある。それらの教会の魅力とは何か。
 これらの教会にはいくつか共通点がある。1つは都市部にあること。2つ目は多くの場合、会堂をもたず、ホールなどを借りて礼拝していること。3つ目は若者(20~30代)が教会の中心層であること。4つ目はバイリンガル礼拝をしていることだ。また、ここ10年の間に開拓された教会がそのほとんどだ。
 だが、これらの要素がそろっているから教勢が伸びるわけではない。では何によるのだろうか。若者を中心に多くの人が集う教会の現場を追う。【

 特徴のひとつに「成長を促すこと」がある。その成長とは、単純に信徒数の増加や教会の開拓数増といった数の成長だけを指すのではない。そこに集う人たちを取り巻くあらゆる分野での成長を励まして促す。
 東京・港区の六本木で日曜礼拝を行うジーザスライフハウスインターナショナルチャーチ東京=ジーザスライフハウス=(ロッド・プラマー牧師)では、平均6人ほどのライフグループというセルグループが150ほどある。クリスチャンもそうでない人も教会に通い続け、グループのコンセプトに同意した人はがそこに加わる。また、愛知県名古屋市にあるヒズコールチャーチ(細江政人牧師)でもライフグループを展開する。ライフグループのコンセプトとは「成長し合う仲間」。「ライフグループでは、礼拝メッセージを通して気づかされたことや一週間の自分の生活を振り返っての感想や考えをシェアします。同世代が集まり、そこで友情も育まれます。でも、ここがただの仲良しグループになってしまっては失敗です。また、強制的に入れることもしません。本人の同意がなく入れてしまうと『入らされた』という不満やグループの分裂を生みかねません」と細江氏は語る。
 ジーザスライフハウスでも基本的に同じ考えだ。「フェローシップベースだけでない、弟子訓練の場です。自分は別に成長しなくていいし、弟子訓練もしなくていいというクリスチャンには、ライフグループに入ることはお勧めしません」と同教会アソシエイト牧師の木村竜太氏。
 日曜礼拝を東京・千代田区のお茶の水で行うニューホープ東京では、ライフステージと呼ばれる、世代や性別に分かれたグループや数十を数えるミニストリーがある。「メンバーはそのどちらかに属していて、そのグループで交わりや信仰面での励ましやチャレンジを受けています」と同教会のアドミニストレーター・小野田晶之氏は話す。

◎教会がドラッカーの「マネージメント」を使ってみたら−−使命とは何か?=1012192401

 ドラッカーの有名な言葉に、「企業の目的は顧客の創造である」という言葉がある。
 「企業とは何かを理解するには企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、目的は社会にある。したがって、企業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造である。」(『現代の経営(上)』46頁)
 企業を教会に置き換えてみても、そのまま意味が通じるのではないだろうか? 教会の使命とは大宣教命令だ。「それゆえ、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。そして、父、子、聖霊の御名によってバプテスマを授け、また、わたしがあなたがたに命じておいたすべてのことを守るように、彼らを教えなさい」(マタイ28・19、20)
 イエス・キリストは、まず私たちが社会に出ていくことを求めている。私たちは教会の外にいる失われた魂にフォーカスを当て、マーケティングを通してそのニーズを知る必要があるだろう。
 もちろん救われた人々を聖書の教えによってトレーニングし、キリストの弟子とすることも必要だ。しかし、それはより多くの人々を救いに導くためにそうするのである。
 キリストの弟子とは人間をとる漁師であり、失われた魂を救いに導くことができるリーダーである。

◎KAT[キャット]さん(シンガーソングライター)−−神の愛が傷をいやしたとき=1101022801




 「ずっと聴いていたい」。
聴く人にそんな心地よさを与えてくれる声。今、日本を拠点に活動するシンガーソングライター・KATと神様との出会い、歌への思いとは。

 日本で生まれたが、5歳の時に父の母国であるニュージーランドに移住した。日本語が通じない。学校で半年間ずっとうつむいて過ごした。その後、英語は話せるようになったが、友達と呼べる人は何年もできなかった。「日本に帰りたいとずっと思っていました」
 ミュージシャンになると決断したのは7歳の時。母が持っていたシンガーソングライター・イルカの「なごり雪」に衝撃を受け、シンガーになりたいと思った。音楽は孤独な心を癒す唯一の友だった。13歳の時に、学校でいじめに遭った。ようやくできたと思っていた友達から、仲間はずれにされたのだ。時を同じくして母方の祖父が危篤となり、しばらくして亡くなったことを聞いた。「おじいちゃんのところに行きたかった。ニュージーランドから、今の現実から逃げたかった」。生きる意味を見失い、何度も死ぬことを考えた。
 そんな中、一人だけKATに声をかけてくれた友人がいた。彼女は、自分の通う教会に誘ってくれた。そして、「私は神様なしでは生きていけないから洗礼を受ける。あなたも受けない?」と言った。それまでも教会のキャンプに参加したことはあったが、教会に通うことや洗礼を受けることは考えたことがなかった。しかしその時、「地獄ではなく、天国に行きたい」と強く思った。死を意識していたからだろうか、彼女は洗礼を受けることを決めた。
 洗礼を受け、数か月たったころ、父の浮気が発覚。家の中にいると息が詰まりそうだった。やがて両親は離婚という道を選ぶ。彼女は泣き叫ぶでもなく、時が過ぎゆくのをまるで人形のように待つほかなかった。
 教会のキャンプに誘われたのはそんな時だった。牧師のメッセージの後、「癒されたいと思う人は前に出てきなさい」という招きがあった。「私は音楽で生きていきたいと思っていましたから、持病の喘息を治してほしいと思いました」
 前に進み出て、目をつぶり天に向かって手を広げた。その瞬間、脳裏に今まで自分が受けた傷が次々と映し出された。生まれた国を離れた時の孤独、心を許しかけた友人たちからのいじめ、父親が浮気をして、家庭が崩壊していくさま…。
 「私は今まで、自分の傷を見ることができなかった。一生懸命その傷にふたをして人を憎んでしまう自分の罪にも気づかないふりをしてきたんです。でも、神様はその時、痛いでしょ? つらいんでしょ? とあえてその傷を見せられた。そしてまず、『あなたの罪を赦します』と言ってくださったのです」。涙がとめどもなく流れた。見ないふりをしていた心の傷。本当に癒されたかったのはその傷だったのだ。すべてを知ったうえで、赦し、愛してくれるという神の愛が、優しく彼女を包んでいた。「それまで人と自分を比べ、友達や彼氏がいないと生きていけない、価値がないと思っていた。でもそれは違うんだってわかった。その時から私は本当に自由になりました」
 その後父親が家を離れていった。母親は悲しみに暮れて泣き崩れていた。「私がお母さんを抱きしめた時に、私の体をお母さんの痛みがすっと通り過ぎていった」。人間の罪や痛みを背負い、十字架で死んでくださったイエス様が、母の痛みさえ負ってくださったことを感じたという。

 14歳でニュージーランドでも有数のミュージック・コンペティション「Rock Quest」に初出場。オークランドエリアの作詞部門でグランプリを獲得。その後、順調に音楽活動を続け、ライブやイベントに参加した。スカウトの目に留まり、日本で活動を始めたのは05年から。大手薬店チェーン「マツモトキヨシ」のかぜ薬のCMでは自身が出演し、「カゼはつらいけど、カゼで歌えないのはもっとつらい」という印象的なせりふと共に、英語と日本語のミックスで不思議な感覚の歌詞、かつレゲエアレンジのカバー曲「ナゴリユキ」が話題になった。
 彼女がアーティスト活動の原点としているのは、イエス様が人々にたとえ話を語られた姿だという。「福音は、聞く耳のある人にしか聞こえないかもしれないし、聞く耳のない人にとっては私の歌はただのストーリーに終わる。でも、何かを求めている人にとっては、私の歌は神様の愛を伝える賛美となる」
 彼女の歌には、「神」や「イエス様」が頻繁に出てくるわけではない。しかし、何のために生きているのかという疑問に答えうるメッセージが詰まっている。
 毎朝、聖書を読む時間は大切なひとときだ。人前で歌う者として「その心がきよめられていなければいけないということと、知恵が必要だから」だ。最近心に留まった言葉は、「あなたのしようとすることを主にゆだねよ」(箴言16・3)。「最近、日本の事務所との契約が切れたんです。神様が『人ではなく、わたしに頼れ』って語ってくださったのかなって。日本で活動する扉を開かれたのも神様だけど、大手の事務所はいろいろ制約があり、頼りすぎているといつの間にか一番大切なものを見失ってしまうかもしれない。今、制作から販売まで自ら手掛けるインディーズに戻って、神様の導きを待っているところなんです」
 彼女の顔に不安は感じられない。神様のなさることが最善であると信じきっているのだろう。「私たちはその時々のつらさや痛みばかりに目が行くけれど、神様の目線は全然違う。その先、人生のエンディングまで見てくださっているから安心。だから痛みは美しいと言えるの」
 昨年夏に出したアルバム名は「Echoes over the ocean」。「主の御声は水の上に響く」(詩篇28・3新共同訳)から名づけた。神の声を打ち寄せる波のように肌で感じながら、彼女は今日も歌い続けている。
公式サイト http://www.katmusic.jp/