[CSD]2011年1月23日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年1月23日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎脱北で知った神の愛——苦しむ同胞に伝えたいと福音携え祖国へ戻った父
★一年の締めくくりを賛美で!——ゴスペルリンキングフェスタ2010

 = 2 面 ニュース=
◎「心と体がバラバラに」キリスト者も苦渋の決断陳述——「予防訴訟」控訴審 28日に判決
★首相の伊勢参拝に抗議——政権交代後も慣例化に危機感
★教界の資料保存 実情に危機感——学芸員、司書、歴史家らが教会アーカイブズ研究会
★「福音車21」南西諸島へ——キリスト教書店が無い地域への福音文書を
★<落ち穂>見返りを求めない愛の行為

 = 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[37]今井信郎の章:2——激変の時代 旧幕臣の不満 守部喜雅
★ケープタウン2001報告[6]「社会的責任」の源流、ラテンアメリカの巨匠からのバトン 記・松崎ひかり
★<オピニオン>2011年「愚痴撲滅大作戦」 記・藤林 イザヤ

 = 4 面 全面広告 =
☆第22回ジョイジョイキャンプ2011 3月31日(木)~4月2日(土)
ホームページ http://www.wlpm.or.jp/joyjoy/

 = 5 面 ビジネスパーソン =
★早津 信雄さん[上]([株]デザインネットワークス取締役副代表)——教会の門は開かれていた
★<『もしドラ』教会編>[1]使命の共有?イエスを伝える手段と認識し使命に貢献 記・千葉 雄志
 = 6 面 特集/イスラエルの現状と課題 =
★イスラエルは今——私たちは何を祈るべきか 記・垣内 ルツ

 = 7 面 国際 =
★帰国者を励ます修養会 Eqipper Conference10——「迎えるために」日本からも60人参加
★韓国併合時、朝鮮人を愛した日本人——初代朝鮮総督府学務局長 関屋貞三郎の息子が証言

 = 8 面 全面広告 =
☆東京聖書学院 2011年度学生募集
ホームページ http://www.jhc.or.jp/tbs/

 = 9 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「Misa's Song Book」神山みさ(MISA RECORDS、2,940円税込)
★BOOK:『Pen——キリスト教とは何か 2』(阪急コミュニケーションズ、650円税込)
★REVIEW:『小畑進著作集 第1巻』小畑 進著(いのちのことば社、5,040円税込)評・下川 友也

 = 10 面 教会学校 =
◎北欧生まれの賛美ミニストリー——「Jippii JAPAN」イッピー・ジャパン
★<CSもうひと味>CD「YATTAA やったー!」Jippii JAPAN(ミクタムレコード発売、\1,890円税込)

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★新連載ルポ<また行きたい! 教会の魅力>[2]キーワード「仲間」——きずなも信仰も強め合う
★Movies:「ハーモニー 心をつなぐ歌」カン・テギュ監督(1月22日よりシネスイッチ銀座ほか公開)
★はがき3枚が1冊分の本に——チャイルド・ファンドが実施

 = 12 面 教会 =
★元パチンコ店が新会堂——単立・インターナショナル・クリスチャン・フェローシップ教会



◎脱北で知った神の愛−−苦しむ同胞に伝えたいと福音携え祖国へ戻った父=1101230101

 新年早々エジプトの教会で自爆テロがあり犠牲者が出るなど、迫害が絶えない。昨年10月、南アフリカのケープタウンで開かれた第3回ローザンヌ世界宣教会議「ケープタウン2010」では苦難や迫害に焦点を当て、世界各地から証しがあった。その中で北朝鮮出身の18歳の高校生、ソン・キョンジュさんが明かした壮絶な体験は、大きな衝撃と感動の波紋を広げている。

 キョンジュさんはピョンヤン生まれ。現在は韓国・ソウルのサラン教会に身を寄せている。父親は金正日総書記の元側近で、家族は裕福な暮らしをしていた。だが彼女が6歳の頃父親は失脚し、政府から迫害を受けるようになった。そのため一家は98年、中国に脱北。そこで親戚に教会へ導かれ、両親は神の愛と恵みを知った。ところが数か月後、母親は白血病で死亡。「その悲しみの中で父は韓米の宣教師たちと聖書を学び、自分も北朝鮮への宣教師になりたいと願うようになりました」
 2001年、父親は警察に捕まり、北朝鮮に送還された。だが3年間の投獄は信仰をさらに強めたという。「父は獄中で不平を言わず、神に叫び求めました。釈放されると再び中国へ渡り、しばらく聖書の学びを続けました。そしてもう一度、望みを奪われた同胞にいのちと希望のメッセージを伝えるために北朝鮮へ戻って行きました。父は韓国に行って信教の自由を得るより、神の愛を伝えるため危険な母国へ戻ることを選んだのです」
 06年、伝道が発覚し再び投獄。以来、音信は途絶えた。「おそらく父は、北朝鮮で福音を伝え逮捕されたクリスチャンの多くの場合と同じく、獄中で銃殺されたのです」
 「幼い私を残して再び危険な北朝鮮に戻った父を、クリスチャンでなかったその時の私は理解できませんでした。しかし若い中国人牧師夫婦の養子となって世話を受け、神は私を守り導いて下さいました。その後、韓国に逃れる機会を得ましたが、北京で出国を待つ間、ある夜、夢の中でイエス様がこう語られました。『キョンジュ、私はずっとあなたを待っていた。私と共に歩みなさい。あなたは地上で父親を失った。けれども何があろうとも私はあなたの天の父だよ。あなたを愛しているから』。夢から覚めたとき、私は初めて神様に祈りました。その夜、父なる神様は私を愛して心にかけ、私のために死ぬために、ひとり子イエス様を送って下さったことを悟りました」
 「私は祈りました。『神様、私はここにおります。今、あなたにすべてを捧げます。心も魂も理性も知力も。どうか、あなたの御心のままに私を用いて下さい』と。神様は私の心に、父が抱いたのと同じ北朝鮮に対する愛を与えて下さいました。私は神様に従って北朝鮮の人々に神様の愛を伝えに行きたい。私の短い人生で経験し学んだすべてのことは、神様が私を御国で用いるためであったと分かりました。父が神の栄光を表したように、私も心から神様に仕えたいと願っています」
 キョンジュさんは今、大学で政治学と外交を学びたいと希望している。最後に涙声で次のように結ぶと、5千人の会衆が総立ちになり、拍手が数分間やまなかった。
 「私は、北朝鮮国民の権利のために働きたい。父なる神様、キリストの御心は、人権を奪われた北朝鮮の人々の上にあると信じます。どうか私の兄弟姉妹の皆さん。主と同じ心で、恵みと憐れみが私の同胞にあるように祈って下さい」

◎「心と体がバラバラに」キリスト者も苦渋の決断陳述−−「予防訴訟」控訴審 28日に判決=110123

 2003年に東京都教育委員会から都下の公立学校に出された「10・23通達」(卒業式・入学式などでの国旗掲揚及び国歌斉唱に関する実施規定を記した通達)に対して04年1月、228人の教職員が都と都教委を相手取り提訴した「国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟」(予防訴訟)の控訴審判決が1月28日、東京高裁(東京都千代田区)で言い渡される。
 同訴訟は、「日の丸・君が代」の強制は思想・良心の自由、信教の自由、教育の自由を侵害するものであり、式典において、教職員が国旗に向かって起立し国歌を斉唱する(ピアノ伴奏する)等の義務がないことの確認、これらの義務違反を理由とする処分の事前差し止め、通達による精神的苦痛への慰謝料3万円を求めるもの。
 04年1月の第1次訴訟後、第4次まで提訴され、原告総数は400人を超えている(10年11月25日現在)。不起立やピアノ伴奏を拒否する教職員だけでなく、やむを得ず通達に従わざるを得ない教職員も加わり、原告団の層は幅広い。その思うところも様々だ。昨秋の結審当日、陳述をした3人の原告のうち、牧野理恵さん(同盟基督・めぐみ教会員)は、「肢体不自由児」の学校に勤める経験と、キリスト者としての立場から苦悩を語った。

 03年、通達が出された当時、牧野さんは都下の養護学校に勤務していた。「私にとっては、キリスト以外の『神とされているもの』を拝むことになります。信仰上の理由から、また、この通達が戦争へ向かう流れにつながっているように感じるので、納得できません」。自分の思いを綴って同僚に配ったり、校長とも1対1で話をしたが、返ってきた言葉は衝撃的だった。「悩む余地はないのです。もし、ひとりでも従わない人がいれば、学校全体の問題となる」
 牧野さんは連日迷い続けた。「私が信仰を守ろうとすることによって、大切な同僚や校長・教頭を苦しめることになる」。退職を覚悟でキリストに従うか、自分の信仰を押し殺して職務命令に従うか—。「出口の見えない暗いトンネルを歩いているような気持ちでした」と、振り返る。
 04年3月の卒業式。「主よ、お赦しください」。両隣の車いすに座っている生徒の手を握りしめながら、牧野さんは立った。「ピアノ伴奏を聞きながら、心と体がバラバラになって崩れていくような気がしました」
 式後の新学期。疲れ切って、退職を考えていたとき。予防訴訟の中にクリスチャンがいることを聞き、興味をもった。8月には、同じ信仰をもつ教職員とともに、経験を分かち合うことができた。「その中で・ヨハネ1・9の言葉を読み、仕事を続ける中で、キリストを信じる者としての葛藤を公の場に表明していこうと決意し、第3次原告団に加わりました」
 原告になったからといって葛藤が解決したわけではない、と牧野さんは言う。 「でも、トンネルの先の方に光が見えて、それを目指して歩いているような気持ちになりました」
 現在は、式中「君が代」が流れている間、起立の姿勢で「主の祈り」を祈っているという。「心の中で祈ることで、自分の気持ちを何とか平静に保っています。けれども、これは一時しのぎに過ぎません。早くこの通達がなくなって、罪の負い目を感じる必要がなくなるように、心から願っています」と語る。
 判決は1月28日午後1時15分から、東京高裁101号法廷で。

◎北欧生まれの賛美ミニストリー−−「Jippii JAPAN」イッピー・ジャパン=110123100

 リズミカルなメロディーに、子どもたちの元気な声が重なる。フィンランド生まれの子どもミニストリー「Jippii JAPAN」
(イッピー・ジャパン)が昨秋、日本伝道隊津田キリスト教会(水村光義牧師、香川県さぬき市)で発足。CDの発売やコンサートを開催するなど、その活動を広げつつある。
 「イッピー」は、「福音を子どもたちへ」がモットーの、フィンランドの子どもゴスペルグループ。ちなみに「イッピー」という言葉は、日本語では「やったー!」を意味している。津田キリスト教会と「イッピー」との出合いとは。

 「もともと当教会では、どうしたら子どもたちを宣教へと導くことができるか、模索し続けていたんです」と、教会学校(CS)スタッフの加茂佳余子さんは言う。MEBIGなど各地の子どもミニストリーをスタッフが学び、教会に合ったものを少しずつ取り入れてきた。
 あるとき、津田キリスト教会のフィンランド在住セルメンバー・平崎日女さんから、「イッピー」の楽曲を紹介された。「彼女には、『この素晴らしい歌を日本語に翻訳し、世界中にいる日本人に広めたい』という思いがありました。私自身は、09年に同国で開催された第26回ヨーロッパ・キリスト者の集いで『イッピー』に出合いました。私がCSで担当している女の子もいっしょに参加したのですが、普段は引っ込み思案な彼女がとても喜んで賛美をしている姿を見て、感動したんです」。同年12月、フィンランドから平崎さんが一時帰国。「『イッピー』のCDを日本で出したい」との話に、津田キリスト教会が応答することとなった。
 「イッピー」の目的は、聖書を読むこと、祈り、教会生活、宣教を通して、イエス・キリストの弟子を育て上げていくこと。「もちろん難しい面もありますが、いつだってイエス様が共にいてくださるから、僕は大丈夫だと歌う歌詞のように、子どもたちが生き生きと神様にあって生きていくことを目指しています」。現在は、幼稚園の年長から高校生まで、メンバーは21人が加わる。「性別や年齢などで、子どもたちの『イッピー』への反応は様々です。思春期の男の子などはやはり照れがあるようで。ですが、中学生の男の子が『初めて賛美が楽しいと思った』と言ってくれたり、クリスチャンでない子どもが13曲全部を覚えて口ずさんでいるというのも聞いています。歌を通して、子どもたちがイエス様のことを伝えていってくれればと期待しています」
 昨年3月、8月のレコーディングへ向けて練習を開始した。ソロやコーラスなどにパートを割り振り、日曜の午後に猛特訓を重ねた。8月以降は、他教会でのコンサートやクリスマスでのキャロリングなどを実施。今年3月末にはキャンプ、4月には関西方面でのコンサート「宣教旅行」を予定している。
 「今後、このミニストリーをどのように広げていくかが課題です。まだ他教会と合同で練習、ということはしていませんが、『やりたい』と言ってくださっているところもあります。『イッピー』は子どもが3人集まれば、コーラス隊ができるミニストリーです。ぜひ多くの教会に知っていただき、将来的には合同キャンプや宣教旅行、フィンランドでのコンサートに『イッピー・ジャパン』として参加できればと願っています」と、加茂さんは語った。
 Tel&Fax0879・42・5170、info@jippii-japan.com http://www.jippii-japan.com/