[CSD]2011年9月18日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年9月18日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎被災地 忘れないために——東北HELP 姉妹教会プロジェクト始動
★野球少年たちに「神様は私の力です」——スタンリッジ選手、マートン選手らが野球教室

 = 2 面 ニュース=
◎台風12号号被害:紀伊半島 教会も浸水——地域のため 保育園の再開祈って
★マジョリティ社会の想像力求める——関東大震災
★<落ち穂>愛は訪ねる

 = 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[60]坂本直寛の章:19——自由主義思想の根底と聖書 記・守部喜雅
★「正義の戦争」引用や記述は正確に
★<オピニオン>新首相のために何を祈るべきか 記・根田祥一

 = 4・5 面 地域特集/愛知・岐阜・三重=
◎何でもボランティア伺います——<期間限定>で昭和橋キリスト教会
★胎児は見えない隣り人——小さないのちを守る会の水谷 潔さん
★東海hi-b.a. 40年ぶりに再開——hi-b.a.協力スタッフ 川北栄子さん
★天国は国籍関係ないからインターナショナルな教会に——大垣インターナショナル・フルゴスペルチャーチ

 = 6 面 関西だより =
★一家ずぶ濡れニコニコ洗礼式——生駒聖書学院教会で3代そろって受洗
★「関西が変わると日本が変わる!」——なにゴス今夏も熱く開催
★「聖書を読んだサムライたち」講演会、秋のクラシックコンサート

 = 7 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★お知らせ:ジョイスタ大作戦 協力募集——被災地にクリスマスプレゼント
★BOOK:『感動ものがたり』大塚野百合著(教文館、1,680円税込)
★REVIEW:『医療の心、福祉の心』工藤信夫著(いのちのことば社、1,470円税込)評・江藤直純

 = 8 面 ひと =
★飯森國正さん(日本緊急援助隊隊員)——小さな支援をこまめに素早く



◎被災地 忘れないために−−東北HELP 姉妹教会プロジェクト始動=1109180101

 東日本大震災から半年。被災者への支援は緊急支援から自立支援へと移りつつある。そんな中、仙台市内にある教会の超教派復興支援ネットワーク「仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク(通称・東北HELP)」(吉田隆代表)は、被災教会と支援教会が姉妹関係を結ぶ「姉妹教会プロジェクト」を進めている。

 同プロジェクトは、支援する側、される側という関係を超え、長期にわたり共に祈り支え合うパートナーシップを築いていこうというもの。東北HELPは活動を通して、「被災教会を訪問した数多くの教会・牧師が姉妹教会関係を築きたいと願っている」ことを実感し、このプロジェクトがスタートした。
 東京・新宿区百人町の淀橋教会で8月11日開催された東日本大震災3・11復興支援超教派一致祈祷会で、同プロジェクト担当の三枝千洋氏はこうアピールしている。「被災地では、メディアが『仙台の避難所は解散した。すべての人が仮設に入った。もう大丈夫』というニュースを流している。それによって人々の脳裏から震災の記憶が薄れてきている。だが、それは仙台市内のことだけであって、その他の地域ではまだこれから。復興への道はまだ始まったばかり。メディアは震災を忘れさせようとしているが、被災者の一人として私は『忘れないでほしい』とお願いしたい。姉妹教会プロジェクトは、まさに『被災地を忘れない』ためのものなのです」
 そう語った上で、「これからは短期的、一時的な関係ではなく、顔と顔を合わせた関係、今後もずっと続いていく長期的な関係が必要」と強調。「具体的には、教会が被災地にある教会のために祈りをし、人を送り、交流をもつということ。そのことにより被災地の教会は『忘れられていない。覚えられている。祈られている』と感じ、勇気が与えられる」と述べた。
    ◇
 すでに姉妹関係を結んだ教会もある。単立・バイブル・チャーチ(保田みゆき牧師、東京・目黒区)は同盟基督・勿来キリスト福音教会(住吉英治牧師、福島県いわき市)と姉妹関係を結んだ。
 保田氏は東日本大震災3・11復興支援超教派一致祈祷会での、三枝氏の「被災地を忘れないで」という訴えに心動かされたという。「以前から被災地のため何かしたいと願っていたが、これだと思い説明を聞きました」
 9月1日、宮城県仙台市青葉区東北地方支援センター・エマオで開かれた東北HELPの会合で、初めて保田氏と住吉氏が出会った。保田氏が「これを震災支援のため、いわきキリスト教連合震災復興ネットワーク(いわきネット)で使ってほしい」と、住吉氏に義援金を渡したのをきっかけに姉妹教会関係を結ぶことに。「私の教会メンバーの実家がいわき市だったことと、震災後、勿来キリスト福音教会の礼拝に13人の地域住民が出席したという記事(クリスチャン新聞4月24日号)を読んで感動していたので、交流をもちたかった」と保田氏。「お祈りや実際に訪問するなど、顔と顔が見える関わりをもっていきたい」。住吉氏は「これは私たちの教会にとって思いがけないプレゼント。互いに心と心が触れ合うような交流をもちつつ、私たちもバイブル・チャーチのために祈っていきたい」と語った。
     ◇
 東北HELPでは、被災教会と姉妹教会関係を結びたいと願う教会との橋渡しをする。姉妹教会関係を結んでから神学的な行き違いで互いの教会が傷付くことを未然に防ぐために、各教会の独自性も知らせるなどの手助けもする。姉妹教会プロジェクトに関する問い合わせはEmail:great.toroli@gmail.com 090・1803・23
33、三枝千洋まで。

◎台風12号号被害:紀伊半島 教会も浸水−−地域のため 保育園の再開祈って=1109180201

 9月3日から4日にかけ日本列島を縦断し、紀伊半島、四国、中国地方を中心に豪雨をもたらした台風12号。その影響で各地に河川の氾濫、床上・床下浸水などの洪水被害が広がり、紀伊半島では大規模な土砂崩れを引き起こすなど、死者、行方不明者は7日現在、12道県で100人を超えた。この台風12号による豪雨で紀伊半島南部、中国地方の教会に床上浸水などの被害が出ている。

那智勝浦町教会関係者にも犠牲

 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町は、最も被害が大きかった地域。町を流れる那智川が氾濫し、9月7日現在、電話、電気、水道が一部復旧した地域もあるが大方はストップしたままだ。日本バプテスト教会連合(米内宏明理事長)は被災状況視察のため真田雅臣氏(バプ教会連合・練馬バプテスト教会牧師)を現地に派遣。電波の届くエリアから携帯電話で、現地牧師と共に同連合に属する教会の被災状況を報告した。
 市野々キリスト・バプテスト教会(稲葉禮野牧師)は、教会堂の土間まで泥水が浸入。稲葉牧師は「道路に車や材木が流れ、恐かった」と言う。信徒宅は無事だったが、「地域には家屋倒壊や、行方不明者も出ており、まるで東日本大震災の津波被害のような状態」と状況を説明。「同教会の子ども会に参加していた子どもが1人、家族と共に家ごと流され、現在も行方不明。信徒の友人も複数亡くなった」と語った。勝浦キリスト・バプテスト教会(稲葉禮野牧師)は、農業を営む信徒宅の脱穀機が流され、土木業を営む信徒宅の機械が浸水。三重県紀宝町に住む信徒宅の1階部分が浸水した。
 那智勝浦町に3つの会堂(天満、下里、古座)をもつ日基教団・紀南教会(本宮広、真理牧師)の被害状況については、真理牧師から携帯で聞くことができた。それによると「天満会堂が床上90センチ浸水した。2階の礼拝堂は大丈夫だったが、1階の保育園の部屋に土砂が流れ込んだ。そのため、当分は保育園を開けない」。4日の礼拝は下里会堂だったため、牧師、信徒合わせて4人で礼拝を守れた。だが依然大雨警報が続いており、安全を考え信徒はすぐ帰らせたという。「地域のためにも、1日も早く天満で保育が再会でき、使命が果たせるように」と祈りを要請した。
 新宮市も7日現在、電話がつながらない状態だが、バプ教会連合・新宮キリストバプテスト教会(木田博文牧師)は「会堂が床下浸水したが信徒は無事」と、真田氏から報告があった。新宮聖公会を兼牧する北山和民牧師(田辺聖公会)は、「新宮聖公会会堂に被害はなかったが、2人の信徒宅が屋根まで泥水に浸かり大変深刻な状態だと聞いている」と語った。
 西牟婁郡白浜町のバプ教会連合・白浜バプテスト基督教会(藤藪庸一牧師)は、雨水の重さで雨漏りしていた事務所の天井が落ちた。すさみ町のイエス・キリスト・すさみ教会(藤井英彦牧師)は、豪雨で教会から藤井牧師一家が一時避難。だが、「4日の礼拝は守ることができた」。
 奈良県五條市も電話がつながらない状態だが、奈良市内のJEC・奈良福音教会(宮谷泉牧師)が確認したところによると、枝教会の五條福音チャペルは「信徒宅の近くで土砂崩れがあったが会堂も信徒もみな無事」だという。
 道路崩落で集落が孤立するなど甚大な被害が報じられた奈良県吉野郡十津川村(人口4千人)は日本最大の村(北方領土を除く)だが、教会はない。
 兵庫県高砂市の尾上聖愛教会(山崎徹也牧師)では、教会周辺が膝上まで冠水し、信徒宅が床下浸水した。
 中国地方では、岡山県倉敷市のNTM・クライスト・チャーチ倉敷(久松政一牧師)で1軒の信徒宅が床上浸水し、牧師館が床下浸水。教会周辺の道路冠水のため4日の礼拝は中止した。

◎“何でもボランティア”伺います−−<期間限定>で昭和橋キリスト教会=1109180401

 教会の牧師、伝道師や信徒が約束もなく地域の家々を訪問しているのは、何か異端の訪問伝道と間違われてしまいそう。そんな心配を一つ打ち砕いたのが、昭和橋キリスト教会(木下信行牧師)が今年の夏に期間限定で行った何でもボランティア。いわば無料の便利屋さん伝道で、ご近所の隣り人になっていく働きとなった。

 何でもボランティアを考え、実践したのは、同教会出身の近藤成次神学生(生駒聖書学院)。近藤さんは、5月に東日本大震災の被災地へボランティア活動に行き、「高齢者の方の家で、2階にあるものを1階に下ろしてほしい、というような手助けが多かったのです。これは、私たちの教会の地域でも高齢者の方が多いので、同じお手伝いができるのではないかと思わされた」という。
 神学校の夏休み前に、教会の近隣8千軒に新聞折り込みで「【期間限定】何でもボランティア〈無料〉どなたでもご遠慮なくどうぞ」のチラシを配布した(写真下)。内容は、「高齢者住宅などの家具の移動、お掃除・片付け、お話聞きます(傾聴)、庭の草刈り、犬の散歩、本の朗読など」誰にでも出来そうな作業案内と東北被災地でのボランティア報告や教会のイベント案内。
 依頼の電話がどれほどあったのか気になるところだが、「まったく有りませんでした(笑)。待っているだけでは来ないので、こちらから行くということですね」。そこで、配布した地域の家を作業着姿で一軒一軒訪問した。まさに、御用聞き。「地域への訪問伝道は5回目になるのですが、新聞に折り込みチラシを配布していた効果は大きかったです。以前は、いぶかしく思われている感じでしたが、今回はチラシを見て覚えていてくださった方もいて対応は全然違いました」。作業を頼まれたのはペンキ塗りだけで「ほとんどがお話を聞く、傾聴ボランティアでした」。
 この何でもボランティアの働きをとおして、傾聴のため訪問できるコミュニケーションが数軒とれるようになった。その中から教会の夜の集会に出席した人もいる。近藤さんは何でもボランティアを実際にやってみて「とにかく遜るしかないなと思わされました。お年寄りは、まだ自分で出来るという思いを強く持っておられる。ですから、『ありがとう。でも、今はいい。そのうち必要になるから』と言ってくださる方もおられました。頼まれることも、簾を掛けるとか、ペンキを塗るとか、誰でもできること。誰にでもできることは見下されるものなのですが、キリスト者として遜る思いでさせていただくことの大切さを実感しました」という。近隣の人たちの中に飛び込んで行けたことで、「教会がどういうことをしているのかが分かった」という声も聞こえてきた。近藤さんの報告を受けて、木下牧師は「こんな働きもあったのかと喜んでくださった」という。
 来年神学校を卒業予定の近藤さん。教会に奉職できるようになったら「期間限定ではなく、教会のオープンな働きにしてニーズに応えていきたい」と語る。地域の人たちの隣り人になり、仕えていくビジョンが与えられたようだ。
 昭和橋キリスト教会=名古屋市中川区昭和橋通1ノ2 http://www.showabashichurch.net/