[CSD]2011年10月16日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年10月16日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎東日本大震災:JIFH、WVJなど仮設住宅の生活支援へ——ストーブ無償提供、仮設のトリセツなど配布
★仮設が憩いの場に——いわてネットが移動カフェ

 = 2 面 ニュース =
◎平和のための4つのともしび覚え祈りの運動——日・台・韓で国際平和アシュラム
★和歌山台風被災地へ恩返し——福島・いわきの教会から青年ボランティア 記・渡邊聖子
★クラッシュ・ジャパン:和歌山への支援を検討
★<逝去>初見司郎氏(元兄弟団聖書学院院長、104歳)
★<逝去>芳賀 正氏(東京フリーメソ・小金井教会牧師、元OMF日本委員会委員長)
★<落ち穂>福音とこの世の接点

 = 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[62]坂本直寛の章:21——不治の病の妻に慟哭の祈り 記・守部喜雅
◎子らに「いじめの問題考えて」——ハンセン病者の苦しみ ドラマ化
★<オピニオン>聖書的倫理の確立は急務! 記・後藤 喜良
★集会・イベント情報

 = 4・5 面 特集/アンテオケ宣教会 創立35周年に向けて=
★日本の教会から世界へ——宣教師を送り出すために仕える
★世界が待つ日本人宣教師——個人の召命から教会の重荷と祝福に
★アンテオケ宣教会派遣宣教師一覧

 = 6 面 仕事と信仰=
★田坂能彦さん[下](日美商事[株]取締役社長)—— 記・清水茂則
★<定年後の挑戦>[6]心筋梗塞、うつ病を越えリタイア生活へ 記・星野 隆三

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★ケープタウン決意表明(2)——序文
★<小さき人々のパラダイス>[2]協働学舎の挑戦?——底流に息づく日曜夜の「礼拝」 記・佐原俊幸

 = 8 面 この教会この証し=
★60歳以上のほとんどの人が「昔、教会に行ったことがある」——酒田ルーテル同胞教会


◎東日本大震災:JIFH、WVJなど仮設住宅の生活支援へ−−ストーブ無償提供、仮設のトリセツなど配布


 東日本大震災から半年が過ぎ、物資の支援だけでなく心の支援への重要性が増してきている。被災者の多くは避難所から仮設住宅に移ったが、新しい生活に不安や寂しさを覚え、精神的に不安定になる人も増えているという。また、東北の寒い冬をどう乗り切っていくか、震災で傷付いた人々の心に寄り添うにはどうすればいいか、という課題も大きい。これまで被災地で緊急支援を行ってきたキリスト教救援団体は、この冬に向け、新たな取り組みを始めた。 

 日本国際飢餓対策機構(JIFH、岩橋竜介理事長)は、7月に仮設を対象に中京薬品との協力で実施した「置き薬と生活支援物資配布プログラム」の第2弾として、仮設などで秋冬を迎える被災者の寒さ対策のため「石油ストーブ千500台」の無償提供を始めた。
 提供するのは、新品の石油ストーブ本体と給油用の手動ポンプと電池の一式。配布方法は、JIFHが宮城県仙台市若林区卸町東に確保している「生活支援物資倉庫」で被災者に手渡ししたり、ストーブの要望がある仮設住宅に直接届ける方法などで行う。配付初日の9月28日は、聞きつけた被災者が集まり、1日で200台が配られた。
 JIFHは石巻市、東松島市東名、仙台市亘理地区などで複数の大工とのべ2千人以上のボランティアによる住宅補修、泥だし、清掃を継続。「心のケア」として、親善大使による被災地コンサートや、夏の子どもキャンプなども複数回実施した。
 「石油ストーブ無料配布」の問い合わせは、Tel.072・920・2225、広報・鶴浦まで。Shttp://www.jifh.org/
     ◇
 特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ、片山信彦事務局長)は、震災発生後約90日間(6月30日まで)を緊急期、現在は第2期支援と位置づけ、7月1日以降は被災地の生活環境が震災前よりも改善され、被災地の子どもたちが夢や希望をもて、健やかに成長できるよう、長期的復興に寄与することを目的に活動している。
 その一つとして被災地の仮設及びその周辺地域でのコミュニティー形成支援があるが、仮設での生活支援の一環として、新潟大学工学部建設学科岩佐研究室と協働し、「仮設のトリセツ」冊子版(A4、30頁)を制作。現在、岩手県宮古市社会福祉協議会の協力のもと、宮古市内の仮設住宅入居者に届けている。
 「仮設のトリセツ」冊子版は、仮設を住みこなすためのノウハウを集めた取り扱い説明書だ。「夏の暑さの攻略法」「結露対策」などの具体的な工夫から、入居者同士の交流を深める方法など、様々な工夫を、分かりやすく紹介している。
 この冊子は04年の新潟中越地震、07年の新潟中越沖地震と、相次いで地震に見舞われた新潟県の人々の知恵が詰まったものだ。
 WVJは、高齢者の孤独死、子どもの虐待を防ぐには、同じ仮設に住む人々同士が知り合い、助け合っていけるようなコミュニティーを作っていくことが必要だとし、この冊子版が仮設での生活を少しでも快適なものとする助けになると同時に、仮設入居者同士の交流のきっかけになることを願っている。今後、宮古市以外の地域の仮設住宅にも届ける予定だ。 
 URL http://www.worldvision.jp

◎“平和のための4つのともしび”覚え祈りの運動−−日・台・韓で国際平和アシュラム=111016020


 日本と台湾で毎年交互に開催している国際平和アシュラムの第8回が、9月22024日、東京・千代田区のYMCAアジア青少年センターで開かれた。「平和のための四つのともしび」を主題に、今回は特に、東日本大震災の犠牲者を追悼し、復旧・復興を願う讃美と祈りの集いを22日夜に開催。台湾原住民の音楽と踊りで神を賛美する玉山神学院那魯湾合唱団に加え、韓国からクォン・ビョンス牧師とイエラ賛美舞踊団も来日。日本からは被災地で歌による復興支援をしているテノール歌手の松尾英章氏が独唱し、日台韓のクリスチャンが賛美と祈りを合わせた。
 「四つのともしび」とは家庭の平和・神の家(教会)の平和・国という家(国家)の平和・人類の家(世界)の平和をおぼえ祈る運動。メッセージで羅栄光牧師(台湾連合国共進会)は、「被災地の家族に平安があるように祈るべき」として、クリスチャン・アシュラム運動の創始者スタンレー・ジョーンズが、アシュラムを「神の国がインカネーションして(肉体になって)世に現れる」と表現したこと、主イエスがもたらす平安は正義を根幹とする神の国の平和であることを紹介。「神の国の正義と平和の実現は祈りから始まる」として、不義が満ちている世界に「四つの家」の正義と平和のともしびを掲げる祈祷運動の必要を述べた。
 被災地からの声として54か国から千人以上の農村指導者を受け入れてきたアジア学院の荒川朋子氏が、震災の被害に対して世界の教会から多くの祈りと支援があったことを報告。建物の復旧のほか、40年間農薬を使わず大事にしてきた農地を除染しなければならないとして祈りを要請した。
 また平和アシュラム発祥の沖縄から聖公会の谷昌二牧師が平和メッセージ。被災に耐える東北を基地の重圧に耐える沖縄に重ね、アジア全体の平和につながる沖縄の平和を求めていると報告した。

◎子らに「いじめの問題考えて」−−ハンセン病者の苦しみ ドラマ化=1110160302

 ハンセン病者が受けた差別、苦しみを子ども、若者に聞かせることで、いじめ、差別に警鐘を鳴らすことを目的としたハンセン病レーゼドラマ「乗車拒否行路」(台本・内木和博、台本監修・藤田三四郎、作曲・高橋如安)が7月、埼玉県川越市六軒町の川越カトリック教会で初演された(写真)。この上演はプロテスタントの能瀬佳広さん(NPO法人CaC事務局長)とカトリックの作曲家・高橋如安さんとの共同で実現した。
     ◇
 レーゼドラマとは語りと音楽で伝える作品。「乗車拒否行路」は昨年11月公演の「神様からの贈り物」に続く2作目だ。同作品は戦後初期まで草軽鉄道であったハンセン病者への乗車拒否の話を題材にしたもので、軽井沢から草津にある国立療養所までの60キロを線路沿いに歩いていったハンセン病者の悲しみ、絶望を朗読と音楽で表現する。
 「20人くらいの巡査が『オイオイ、あそこにライ患がいるぞ!』と大声をあげ、口々に嘲りの言葉をかけてきた。私は彼らを一生赦すまいと決めた」「店の主人が『店に入るな!』と鋭い声を浴びせた。『履き物がほしい』と叫ぶと、自分が履いてたワラジを投げてよこした」「私は血みどろの足で戻ってきた。草津町から栗生楽泉園まで、私が雪道を染めた血の跡を見た人たちは『馬が足にケガをしたのだろう』と話していた…」
 想像を絶するような差別、無念の思いを、静かな語りとオルガン、フルート、バイオリン、声楽の音色で際だてる。
 28年前からハンセン病者との関わりをもってきた高橋さんは、「ハンセン病者の苦しみ、悲しみを知ってもらうことで、子どもたちにいじめの問題を考えてほしい」と、ハンセン病レーゼドラマを始めた。上演に際し、ハンセン病者の無念を思いつつ実際に自分の足で草軽間を歩いた。「厳しい崖の連続で、その道のりがいかに危険なものだったか身をもって体験した」
 能瀬さんは高橋さんの思いに共鳴。「私は妻が台湾出身で娘が障害者。外国人、障害者ということで妻と娘は差別、いじめを受けてきた。その意味でも、最も人々から差別、いじめを受けてきたハンセン病者の人生から学ぶことは大きい。それで、私は協力を買って出た」
 2人は今後も協力し、ハンセン病者を題材としたドラマを上演していく。できれば、学校や教会で上演したいと願う。

 問い合わせnpocac@tune.ocn.ne.jp(能瀬)