[CSD]2011年11月6日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年11月6日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎東日本大震災6か月後の被災教会——津波被害に遭った教会 内陸部へ移転検討
★希望のりんご笑顔で——気仙沼の子 浅井力也さんと共同制作

 = 2 面 ニュース=
◎管理された原発所内と廃炉への事実を直視——映画「アンダー・コントロール」 フォルカー・ザッテル監督に聞く
★開かないと思った扉も開く——拡大拉致祈祷会で佐藤彰牧師励ます
◎「宗教者九条の和」非戦・非核に加え非原発訴え
★<落ち穂>良きサマリア人に徹し仕える姿勢

 = 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[65]坂本直寛の章:24——北海道開拓を決意し再婚 記・守部喜雅
★エジプト:コプト教徒を抑圧 死傷者多数——国連当局者が非難
★米国:大統領選の候補者選び混迷——キリスト教保守派低調
★<オピニオン>リビア解放は国民の「春」か 記・根田祥一

 = 4 面 全面広告=
☆PBAセミナー2011「子どもの健康・食育を考える」
 講師:柏崎良子氏(マリヤ・クリニック院長)
11月23日(水・祝)10:30~15:00 会場:お茶の水クリスチャンセンター
参加費:2,000円(PBA賛助会員:1,000円)
主催:太平洋放送協会(PBA)
ホームページ http://pba-net.com/

 = 5 面 仕事と信仰=
★李 炯雨さん[上](COBY JAPAN支社長)——日本人を心から愛します
★<『もしドラ』教会編>[12]リーダシップ?——モチベーションと質の高い信徒をいかに育てるか 記・千葉雄志

 = 6 面 全面広告=
★第52回バックストン聖会 11月18日(金)~20日(日)
会場:日基教団・渋谷教会
主催:バックストン聖会委員会

 = 7 面 伝道・牧会を考える =
★ケープタウン決意表明(5)——私たちが愛する主のために?
★解説:父なる神
★<小さき人々のパラダイス>[5]共働学舎の挑戦?——フランス仕込みの本格チーズ作り 記・佐原俊幸

 = 8 面 Revew =
★書籍:『フォーサイス神学概論 十字架の神学』大宮 溥編(教文館、A5判、3,990円税込) 評・宇田 進
★書籍:『「自然」を神学する』A・E・マクグラス著(教文館、A5判、5,040円税込) 評・稲垣久和
★書籍:『幸せを見つける』渡辺俊彦著(イーグレープ、B6判、各1,020円税込)
★書籍:『キリスト教名著案内?・?』高柳伊三郎ほか共著(日本キリスト教団出版局、四六判、各2,000円税込)
★CD:「Precious」工藤美穂(ミクタム、全13曲、2,500円税込)
★CD:「PROMISED LAND」Migiwa(アサフ、全7曲、1,500円税込)
★CD:「Treasure」山本香織(Heavenly Praise Ministry、全3曲カラオケ付、1,000円税込)
★Movie:「フェア・ゲーム」政府の裏切られたCIAエージェント(10月29日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかで公開)

 = ?—?面 別刷 カラー版日本宣教地図 =
★東日本大震災6か月後の被災地域教会情報
★カラー版日本宣教地図



◎東日本大震災6か月後の被災教会−−津波被害に遭った教会 内陸部へ移転検討=1111060101

 東日本大震災から半年余りが過ぎた。本紙取材班は9010月、東日本大震災6か月後の被災地域教会に電話取材し、?震災直後の被災状況、?その後の状況と礼拝出席、?祈りの課題、について聞き取り調査を実施。その結果を本紙11月6日号別刷り「日本宣教地図2011」に掲載した。その聞き取り調査を通して見えてきた各被災地域の傾向、課題、問題点とは?

 岩手県、宮城県の沿岸部では、津波の被害が大きい。信徒の約半数は家が流され、床上浸水の被害に遭っている教会がある。津波にのまれて亡くなった信徒や、牧師、信徒の親戚、友人で亡くなった人も多い。仙台市周辺では、沿岸で会堂流出や床上浸水した数軒のほか、内陸部でも行政によるその後の建築物被害調査で全壊、半壊の判定を受けた教会がある。
 津波被害の沿岸部と内陸では、意識の差の問題がある。内陸の教会でも信徒が沿岸におり、家屋倒壊、被害を受ける事例は多い。津波の被害を免れた教会は、近隣の教会と連携して支援活動を開始したり、キリスト教支援団体の救援拠点として活動している。親族が被災し亡くなった例も多く、信徒を通じて三陸地方などに支援活動をする教会がある。
 歴史的建造物の会堂で全壊や半壊となり、修復や建て替えが必要な教会がある。牧師館も多数被害があり、建て替えが必要だが業者が多忙なため修復が進まず、そのまま生活している牧師一家もいる。
 津波の被害を受けた教会のいくつかは、同じ場所に教会堂を再建することより、津波の心配がない内陸部への移転を検討している。仙台市内のある教会は、会堂被害のほか収入も減り、家賃が安い市外移転を検討中だ。
 仮設住宅を丹念に回り、入居者の声に耳を傾けている牧師、信徒からは、これから寒い冬を迎えるに当たり、イライラしたり、「死にたい」と思っている被災者の心のケアができるよう、祈りを要請している。
 岩手県、宮城県に比べ、福島県では、原発事故の影響が色濃い。立ち入りが規制された福島第一原発から20キロ圏内の警戒区域の教会は、今も信徒らが離散したまま。一日も早い事故の収束と放射性物質の除去が望まれ、早く教会を再開できるようにと祈りの課題が挙げられる一方、原発から至近の教会は見切りを付けて県内の他地域に移転し再建を目指す動きも。
 屋内退避指示が出された20030キロ圏では、震災直後に多くの教会員が避難した教会でもその後戻ってきている。だが、幼児のいる家庭や若者は避難先で生活再建を目指す傾向も見られ、礼拝出席や幼稚園児が半減したとの声も聞かれる。規制指定が解除されても、職場が被災し閉鎖されるなどで仕事がないことが教会の復興も阻んでいる。放射線量の不安が除かれることが祈りの課題だ。
 茨城・千葉両県の沿岸部では液状化の被害が目立つ。半年が過ぎ傾いた会堂の補強工事などが進むが、工事関連で建物の傷みなどもあり多額の費用を要している。各県とも当初は分からなかった建物の危険が認定されるなどで、改修工事や建て直しを迫られるケースが報告されている。

◎管理された原発所内と廃炉への事実を直視−−映画「アンダー・コントロール」 フォルカー・ザッテル監督

 3月11日以降いまだに収束しない福島原子力発電所の事故処理。放射能物質汚染への怖れと警戒が高まっている。25年前のチェルノブイリをしのぐ原発事故のさ中にある日本だが、原子力発電所とはそもそも何なのか、原発廃炉へのプロセスはどのように進められていくのか。01年に脱原発への方向を決定し、今年6月には10年以内にすべての原発の停止を決定したドイツの原発施設の日常を追ったドキュメンタリー映画「アンダー・コントロール」が11月12日(土)から公開される。このドキュメンタリーを撮った意図と作品をとおして伝えたいことなどを、フォルカー・ザッテル監督=写真=に聞いた。

過去から見た
未来の映像
 はじめに、映画について少し触れる。映画「アンダー・コントロール」には、ナレーションはなく簡潔な説明のテロップと、取材に応じる人の応答で現在稼働中の原発や停止して解体作業を行っている原発、原発としては稼働することなく遊園施設として再利用されている施設などさまざまな現状を写し撮っていく。タイトルバックに出る四方八方に拡散する放射能の飛跡。緑の森と田園風景の中に水蒸気の白い息を吐く高さ150メートル級の冷却塔。原子炉の燃料棒の交換を真上から見る巨大さと色合いの美しさ。全ての作動状況を管理するコントロールルームの機能美など、アート的なカメラワークと映像に引き込まれていく。
 原発での作業や管理そして廃炉への作業とコストなど、原発で何が行われていて、どのように廃棄されていくのかを淡々と追っているが、監督の原発に対する考えなどはほとんど語られてはいない。
 それは「この映画の目的でもあるからです」とザッテル監督は言う。「ドイツでも原発の問題は、とても感情的でイデオロギー的な議論がなされてきた。01年に当時の政権が脱原発の方策を決定した後も、様々な圧力があった。だが、議論をしている人たち、ひょっとしたら反対運動をしている人たちも、原発がいったい何なのか、そこではどのような作業が行われていて、放射性廃棄物の処分場とはどのような所なのか知らない。イメージだけではなく、それらを見せたい。まず、映像と音と感覚で原発を知ってほしいのがこの作品を作った大きな目的です。ですから中立的な立場で制作しました」
 ドイツでは、原発に関する議論が長年続けられているが、キリスト教界内での議論はどうだったのだろうか。ザッテル監督は「私の知る範囲では、教会・団体として声明を出すようなことはなかったが、信徒の方たちは基本的には脱原発の立場であったと思う。神が創られたものに対する脅威として捉えられていたと思います」。
 日本では福島原発の事故が起こり、いまもその危険な影響の中に置かれている。原発の存在そのものに対する知識と共に、これからのエネルギー、産業と経済そしてエコロジーなどの関わりで原発に関する議論はこれからの切実な課題でもある。ザッテル監督は「福島原発事故のニュースは、この映画が公開された後でしたので、とてもショックでした。この事故によって社会も家族も二つに割れたり、大きな影響を受けていると思いますが、日本のみなさまが、いっしょになって答えを見つけ出していただきたいと思っています」。
 この映画については、「何か主張するような手法は使いたくありませんでした。私が重視しているのは、観客は見ることによって各自が判断できるということです。見て判断することで、知識が広げられていくと思います。例えば、この作品では、原子力のとてつもないテクノロジーがあって、それがどういうものなのか。しかも、それは最新のものではなく、過去にあった未来の映像になるというか、過去から見た未来の映像ということがお分かりいただけると思います。かつて原発は、未来の象徴でした。もちろん危険なものであることも分かっていて、人間は世界中に広めてきました。そこには、テクノロジーに対する信仰というか、危険な原子力であってもテクノロジーですべて制御・管理下(アンダー・コントロール)に置いて支配できるという思い上がりのようなものがあったように思います」と語っていた。

◎「宗教者九条の和」非戦・非核に加え“非原発”訴え=1111060203

 非戦・平和を定めた憲法第9条を宗派を超えて輝かせたいと毎年シンポジウムと平和巡礼をしている「宗教者九条の会」が、第7回の今年は10月1日、「原発事故と平和憲法」をテーマに埼玉県熊谷市で開催した。熊谷市は大戦中、軍需工場や軍事施設が集中していたため、敗戦の年の8月14日大空襲によって壊滅的被害を受け、復興に長い年月を要した。東日本大震災では原発事故で福島から多くの被災者が埼玉県に避難している。
 土山秀夫・長崎大学元学長が基調講演、キリスト教からはルーテル教会牧師の内藤新吾氏、カトリック教会司教の谷大二氏が発題した。
 採択したアピールでは9・11同時多発テロから10年を振り返り、改めて「あらゆる暴力を正当化しない」ことを決意。非戦・非核とともに「非原発」を訴えた。原発事故で?国策情報?によって国民がコントロールされていた事実を知ったとし、憲法9条を世界に広めていく呼びかけとともに、日本政府に対し、ただちに国内にあるすべての原子力発電所の停止を決定し、それに代わる自然エネルギーの研究開発を最優先に進め、速やかに廃炉の作業を進めることなどを要望した。
(10月30日号2面「宗教者九条の和長崎で非戦誓う」は間違いでした。同記事を削除します)