[CSD]2011年11月13日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年11月13日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎東京基督教大学に大学院設置——2012年度から募集、深い人間理解できる牧師を養成
★タイ国土の3分の1が冠水——キリスト教支援団体が救済活動開始

 = 2 面 ニュース =
◎「天国の希望 伝えたい」——津波で母妹失った悲嘆越えてトラクトを自主制作
★柴橋正直衆院議員に同信の実業人らが応援団——「東京百人会」旗揚げ
★反原発の牧師逮捕不当と警察に抗議
★<落ち穂>小中高生

 = 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[66]坂本直寛の章:25——北海道移民の過酷な現実 記・守部喜雅
◎序列化は子どもの人格育まない——改革派教会第66回大会が大阪府に「君が代」起立条例、教育・職員基本条例に抗議と撤回を要請
★「良い生き方に留まらず、弟子となれ」——聖化大会でF・カニンガム氏
★タイ洪水に緊急募金——JIFH、WVなど窓口に
★情報クリップ——集会・イベント案内

 = 4 面 全面広告=
☆いやしの集会2011 神様の日本への愛~震災復興に向けて~
講師:李 ヨンフン氏(ヨイド純福音教会 堂会長牧師)
11月21日(月) なかのZERO大ホール
Tel.090-2103-6209(妹尾)

 = 5 面 仕事と信仰=
★李 炯雨さん[上](COBY JAPAN支社長)——神様への100%の従順が真の成功
★<定年後の挑戦>[6]過去の経験を生かし夢を持ち続ける 記・星野 隆三

 = 6 面 全面広告=
☆日本ペンテコステ親交会第47回教役者大会「栄える日本 堅固な教会の働き」
2012年2月14日(火)~17日(金) 会場:ヤマハリドートつま恋
大会講師:ロバート・モリス氏(ゲートウェイチャーチ牧師)
セミナー講師:トーマス・ミラー氏(音楽家、ワーシーップ指導者)ほか
ホームページ http://www.jpf21.jp

 = 7 面 伝道・牧会を考える =
★ケープタウン決意表明(6)——私たちが愛する主のために?
★解説:イエス・キリストを全世界に証しするとは?
★<小さき人々のパラダイス>[6]共働学舎の挑戦?——究極のチーズ作り、土壇場で受賞ラッシュ 記・佐原俊幸

 = 8 面 インサイド・ニュース=
★被災水田で農ボランティア——天恵の自然農法で荒れた農地を復興


◎東京基督教大学に大学院設置−−2012年度から募集、深い人間理解できる牧師を養成

 東京基督教大学(千葉県印西市、倉沢正則学長)が申請していた大学院設置が10月25日付で文部科学省の認可を受け、聖書を誤りなき神のことばと信じる福音主義に立つ日本初の神学大学院が2012年度春に開設されることが正式に決まった。修業年数は2年で、修士(神学)=Master of Arts in Theology=の学位を授与する。これにより、大学神学部での基礎教育から大学院研究科での専門教育へと一貫した神学教育で、牧師などの教会教職を養成する体制が整ったことになる。併設されていた東京基督神学校は、大学院開設に伴い12年3月をもって閉校する。

 1980年に福音主義に立つ3神学校が学校法人東京キリスト教学園に合同。90年に開学した東京基督教大学では、その当初から大学院設置を祈り求めてきた。2010年度には大学院への移行過程として、学部神学科に今後「教会教職課程前期」となる「教会教職専攻」を設置。従来は東京基督神学校で行っていた神学専門教育を学部3年次から行い、東京基督神学校の学生募集を停止した。記者会見で倉沢学長は、「3校合同から30年を経てようやく先輩たちのビジョンが実現する」と、その意義を述べた。
 来春、大学院神学研究科が開設されると、大学3年次から2年間の教会教職課程前期と、大学院2年間の同後期の合わせて4年間で教会教職者の養成を行う。高卒者は学部1・2年次での基礎教育を経て計6年間で、一般の他大学卒業者は3年次に編入し、語学・神学を中心とする2年間の専門基礎教育を経て4年間で教会教職課程を修了する。神学部既卒者は同課程後期に受け入れる。
 大学院の募集定員は18人(収容定員36人)。教会教職者コースと若干名の神学研究者・教育者コースを設ける。受験資格は、召命を受け、教会の承認を得、牧師・宣教師・伝道者・教会教育従事者・神学教師などを目指す者で、受洗後または幼児洗礼の場合は信仰告白後3年を経た者。専任教員は新約学、旧約学、実践神学、日本キリスト教史、現代神学、キリスト教哲学・公共哲学、宗教教育学を専門とする8人で、いずれも同大学の教員。このため「これまで培ってきた大学の理念を生かした一貫教育ができる」という。
 同大学では開学当初から神学部の中に神学科と国際キリスト教学科を設け、福音主義神学に基づく一般教養を身につけて広く教会と社会で活躍する人材を育成してきた。海外からの留学生も積極的に受け入れ、また08年からはキリスト教福祉学専攻を設けて公共福祉の教育に力を入れてきた。
そうした点でグローバル化・少子高齢化が進む社会の実情に見合った牧師が養成できることに、倉沢学長は期待を寄せる。「多言語共生社会と言われる中でリーダーシップをとる牧師は、聖書を神のことばとして説き明かすと共に、在住外国人など自分たちと違う人たちも含む地域社会に福音をどう伝えていけるかが課題。学部の福祉分野と連携して介護の実際を見たり実習に参加もできるので、深い人間理解につながる。社会の実情に見合う役割を果たす教会教職を養成していきたい」
 大学院の責任をもつ山口陽一氏(東京基督神学校校長)も、従来の東京基督神学校の3年間から、学部と大学院の4年間に延びることによって、これまではなかなか生かせなかった同大の国際性や福祉の視点を身につけた牧師が養成される意義を強調。「教会教職養成を中心に、神学の研究者・教育者も送り出すというあり方は神学校と変わらない。しかし、大学院では神学校の3年間ではなかなかできなかった演習による発表や討論を多くする。これからの牧師が、国際化した社会の中で異文化を理解し、福祉の視点をもって人々に仕えていくことは重要。これまでインターンは教会を中心に行ってきたが、福祉の現場も加えていきたい。すでに牧師として働いている方々の必要にも応えていきたい」としている。
 これまで神学校で授与してきたアジア神学協議会(ATA)の認証資格(M・Div)は終了する。
 大学院入試は12年2月2日、3月15日。詳しくは、Tel.0476・46・1131、URL:www.tci.ac.jp

◎「天国の希望 伝えたい」−−津波で母妹失った悲嘆越えてトラクトを自主制作

 3月11日の震災で母、妹を失ったクリスチャンが、悲しみを乗り越え、天国の希望を伝えるトラクトを独自に制作し、配布している。制作者の木下恵美子さんは宮城県女川町出身。現在は元NHK英語教授の夫和好さんと山梨県で、世界中に出かける日本人のためにeラーニング教材を提供する英語関連事業を経営する。
 震災時東京にいたが、震源地が三陸沖であることを知り、家族、友人の安否を心配した。海岸沿いの女川町は当初、人口1万人中8千人の消息が分からなかった。親族、友人の消息が分かっても母や妹の安否が分からない。避難所の連絡もつかない。「願わくは生きていてほしい」と思い続けた。
 郷里へ行けたのは高速道路が復旧し、ガソリンも確保できた10日後。慣れ親しんだ土地は変わり果て、「原爆が落ちたよう」だった。高さ35メートルと言われる津波が襲い、20メートルの高台にある病院の1階部分ですら、人が流された。
 恵美子さんを救ったのはキリスト教の希望だった。帰省の際は、阿部一さんが主催する祈りの家の礼拝に行く。阿部さんは恵美子さんと母、妹の母校である県立石巻女子高等学校(現・石巻好文館高等学校)の元教諭。母も妹も阿部さんと交流があった。恵美子さんは震災1週間前に女川に行っていた。本来3月10日前後に行く予定が、変更で早まった。「もし予定通りだったら、今自分も存在していなかった」と思う。このときも母、妹と阿部さんとで食事をしていた。
 「女川のそばには日本海溝がある。ここに母、妹を含め、たくさんの人々が流されて落ちたのだろう。2度と見つからないだろう」。母と妹の誕生日である7月に日基教団・石巻山城町教会で2人の葬儀をした(写真上)。2人の友人、恩師など60人ほどが集まった。同教会と祈りの家の人たちが手伝い、「参列者に教会を知ってもらった」と感謝する。
 ある親族は、様々なキリスト教団体による物資提供やお茶の場所など、「かゆい所に手が届くできる限りの応援」を体験し、「宮城はキリスト(クリスチャンの意味)に助けられている」と話す。「点が線となり面となり、良い形が伝えられている」と恵美子さんは思う。「災害を通して教会が一致協力の支援活動をし、変わろうとする大きなうねり」を感じた。
 恵美子さんは全国家庭文書伝道協会(EHC)祈りの会会員。新生宣教団のトラクトとともに、いつもトラクトを携帯している。震災後も既成のトラクトを配っていたが、「3月11日」が表紙に書かれていたら分かりやすいと思った。「3月11日の震災は、日本中、世界中に影響を与え、希望を持てない人が多い。今回の被害を代表するような町で、多くの人と同じように家族を亡くした。共通の状況で伝えるべきことがあるのでは…自分たちの考えていること、天国の永遠の希望があることを伝えたい」とトラクト制作を思い立った。「誰でも死はある。3月11日被災者家族としての励ましを、同じ希望を持つ教会の人、クリスチャンを通して役立てるなら、希望に応じて何部でもお送りします」
 トラクトには震災後の経験と、家族を失った悲しみの中で聖書が伝える天国が希望になったことが書かれている。BLA英語クリニック発行。写真付きカラーA4三つ折り。Tel.0551・35・3621(木下)、Fax.0551・35・3818、Email:emiko@bla-co.com

◎序列化は子どもの人格育まない−−改革派教会第66回大会が大阪府に「君が代」起立条例、教育・職員基本

 日本キリスト改革派教会(吉田隆大会議長)は10月20日、第66回定期大会で、宣教と社会問題に関する委員会が提案した「大阪府『君が代』起立条例への抗議、並びに教育・職員基本条例案の撤回要請」案を可決した。
 橋下徹・大阪府知事と浅田均・大阪維新の会大阪府議会議員団代表に対して、大阪府議会で6月3日「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」が可決されたことについて強く抗議。9月21日に大阪維新の会が府議会に提出した「教育基本条例案」「職員基本条例案」を撤回するよう強く要請し、?「君が代」起立斉唱の強制は、思想・良心・信教の自由に対する侵害です、?「君が代」起立斉唱をしない教職員を免職するという規定は、法の下の平等に反します、?「教育基本条例案」は政治による教育への不当な支配です、の3点を主張した。
 その上で子どもの教育について、キリスト者としての見解を次のように述べている。「私たちキリスト者は、教育の目的が子どもたち一人一人の人格と良心を育むことにあると考えます。そのためにも政治の支配から『教育の独立』が守られる必要があります。子供たちと向き合う教職員の思想・良心・信教の自由が保障、尊重されなければなりません。また、そのことが、先の戦争の被害者である在日の児童、生徒をも含む子供たちの思想及び良心の自由、内心の自由を守ることにもつながります。教育委員会や教職員を知事の指揮命令の下、ピラミッド型に序列化し、子供たちを一つの型にはめ込んで管理することは、決して子供たちの人格と良心を育むことにはなりません」