[CSD]2012年7月8日号《ヘッドライン》

[CSD]2012年7月8日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎シリア、エジプト キリスト教会弱体化——ムスリムのための祈り誌 独裁体制崩壊の各国状況報告
★着ぐるみ「マイティシープ」初公演——「みことばでやっつけろ!」 子どもたちも大喜び

 = 2 面 ニュース=
◎「寄り添う宣教」被災地から問われる全人的姿勢——第16回アンテオケ宣教会世界宣教セミナー
◎三浦綾子生誕90年 新刊など続々——記念文学館 資料データベース化
★NHK「歴史秘話ヒストリア」で長崎の教会とキリシタンをテーマに——7月11日午後10時に放送、18日再放送
★<落ち穂>障がい児という分け隔てをしない幼児教育

 = 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[17]見えないから信じる 記・柏木哲夫
★社会で普通に生きたい人のための聖書講座——東京プレヤーセンター「バイブルワークス」好評
★<オピニオン>時間と労力をかけ、人と向き合う働き 記・岡村直樹
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 特集/ジェネシスジャパン=
★科学者が創造の御業を証しする——教育が世界観を形成する 記・宇佐神 実
★聖書&科学カンファレンス(8月15~17日、硯川ホテルで開催) http://genesisjapan.com

 = 6 面 仕事と信仰 =
★聖書的リーダーシップ[1]——黄金律を土台にリーダー育成
★<もしドラ>[20]——その人材をどう起用し強みを育てるか 記・千葉雄志

 = 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>[17バプ連携・新潟主の港キリスト教会?——2教会1伝道所の合同を決断
★ケープタウン決意表明(34)パート?解説——私たちが仕える世のために(17)

 = 8 面 芸術探訪 =
★ベルリン国立美術館展を訪ねて——秀逸な作品と共にヨーロッパを旅する経験 記・町田俊之


◎シリア、エジプト キリスト教会弱体化−−ムスリムのための祈り誌 独裁体制崩壊の各国状況報告=120

 内戦が続くシリア、イスラム主義の新大統領が誕生したエジプトなど、2010年末に始まったアラブ各国での民主化運動「アラブの春」の影響で、各国の情勢は流動的だ。毎年、ラマダン期間に、イスラム圏の人々の救いのため発行される祈りの冊子「ムスリム世界のための30日の祈り」は今年、「アラブの春」で独裁体制が崩壊した各国の状況報告なども掲載した。

 今年の「ムスリム世界のための30日の祈り」は、日本では7月20日から8月18日までの30日間に実施する。ラマダンとはイスラム暦の第9月のことで、イスラム教ではこの1か月間、夜明けから日没まで断食を行う。祈りのガイドブックとして、ムスリム(イスラム教徒)を理解するための知識と毎日の祈祷課題を掲載した小冊子が作成され、日本では翻訳を担当したユース・ウィズ・ア・ミッション(YWAM)アジアンセンター大阪が、発行し配布する。
 世界各国の福音派の動向と祈祷課題をまとめる『Operation World』(第7版、2010年)によると、シリアは人口の90%がイスラム教で、クリスチャンは6・34%(プロテスタント0・14%、カトリック3・11%、正教3・02%)だ。伝統的な正教やカトリックからプロテスタントに改宗するほか、様々な背景から改宗する人が増えている。主要な町には福音派がいる。同冊子の祈祷課題では、シリアは情勢不安からイスラム教を離れる人たちがいる一方、 イスラム説教者たちが宗教的イベントを催し、人々の心を捕らえている。クリスチャンは政府を支持する人々が多いが、ムスリムを恐れ、伝道に関心を持たない状況があるという。
 『Operation World』によると、エジプトは人口の86・67%がイスラム教で、クリスチャンは12・83%(プロテスタント0・75%、カトリック0・39%、正教11・59%)。主要なキリスト教はイスラム教が入る前から存在するコプト教会だ。祈祷会や様々な集会に多くの教会が参加し、アラブ地域への宣教活動も盛んになっている。一方、住居、職業の選択などで差別を受けたり、イスラム信徒グループから迫害を受けたりもしている。南スーダンから紛争を逃れた難民が数百万人おり、多くはクリスチャンだ。
 同冊子によると、エジプトは物価が高騰し失業率も約15%に達する。国民の半分以上は読み書きができない。毎年1、2万人の名ばかりのクリスチャンが結婚や経済的な理由でイスラム教に改宗する上に多くのクリスチャンが西洋諸国へ移住し、地域教会の弱体化が深刻だ。そのほか、同冊子には東南アジア、アフリカ、中東の状況とともに、欧米のイスラムコミュニティーについても紹介されている。改宗者の証もあれば、福音が全く伝えられていない民族グループに対しての内容もあり、より具体的に祈れるように作られている。
 この祈りの運動は1992年に中東で行われたクリスチャン指導者の集まりから始まった。日本語版は今回、17回目で3千500部を発行し、すでに配布中。問い合わせ=アジアンセンター大阪Tel&Fax.06・6325・1614、Email:asian_center@hotmail.com

◎「寄り添う宣教」被災地から問われる全人的姿勢−−第16回アンテオケ宣教会世界宣教セミナー=1207

 第16回アンテオケ宣教会世界宣教セミナーが6月16日、仙台市の日本基督教団東北教区センター「エマオ」で開催された。今回のテーマは、「寄り添う宣教|被災地で・世界で」。昨年の大震災以来、キリスト教会関係によって多くの援助活動が続けられてきたが、そのような活動と教会に委ねられた宣教との関わりをどのように理解するか、という課題は、単に被災地だけでなく、世界の宣教地における課題でもある。このセミナーに参加した教職者、神学生、信徒、アンテオケ宣教会関係者合わせて約90人は、福音宣教のあり方を根本から考え直すことを迫られた。

 基調講演では、三橋恵理哉牧師(単立・札幌キリスト福音館、北海道クリスチャン宣教ネットワーク〈ホクミン〉世話人)が、ホクミンによる被災地支援活動の経験をもとに、これまでのキリスト教国の発想に根ざした宣教の理解、進め方には限界があり、全人的に関わり、共同体を建て上げていくことが、異教社会である日本、さらには世界での宣教にとって欠かせない要素であることを強調した。実際に、救援活動の中で被災者からの信頼を得て、仮設住宅に出入りすることができていたのだが、あるグループが個人伝道を始めたり、被災者の見えるところで祈祷会をしたりしたことによって、自分たちも布教活動をしに来たと言われ、出入り禁止となってしまったことがあった例が紹介され、福音宣教はインマヌエルと呼ばれるイエスのように、相手に寄り添うあり方を通して信頼関係を築き、人格的につながっていくことを通して進められるべきだ、との見解を披露した。
 続くシンポジウムでは播義也牧師(恵泉キリスト教会・埼京のぞみチャペル)が、2004年に起きたスマトラ沖地震による津波で大きな被害を受けたスリランカへの視察の旅を通して、現地の教会の活動から教えられたことを中心に発題した。スリランカの人々は、過去の西欧諸国による植民地支配のもとで、キリスト教に対して負のイメージを抱いており、仏教の影響力が浸透している中で、宣教を進めることが非常に困難であるが、その中で、首都コロンボにある一つの教会による取り組みの様子が紹介された。福音の内容については決して妥協しないが、スリランカ伝統音楽を礼拝に用いるなどして、キリスト教の西欧イメージを払拭し、スリランカ独自のキリスト教文化を創造しようとしている。それと同時に、教会付属の孤児院、性的虐待を受けた女性たちのホーム、保育園、農業などの職業訓練施設などを運営。8年前の大津波の被災者たちにも、宗教の差別なく援助活動を行った。その結果、165棟の住宅からなる集落が生み出され、諸宗教の人たちもともに集うことができるコミュニティーセンターが築かれ、マイクロファイナンスによる自立援助プログラムが開始されている。すべてが「支援と宣教」という問題意識ではなく、「神を愛し、隣人を愛する」というみことばがその動機であるという。そのような教会の取り組みから、日本の教会による宣教のあり方に大きな示唆を与えられた、と播氏は証しした。
 また、保守バプ・塩釜聖書バプテスト教会の大友幸証副牧師(ホープみやぎ代表、宮城宣教ネットワーク世話人)は、社会的奉仕と伝道とは教会にとって車の両輪であるとの理解に基づき、教会としての被災者支援センター「ホープみやぎ」の設立、さらには、宮城県下の諸教会の協力により被災地に教会開拓を進めるための「宮城宣教ネットワーク」の設立について発表した。
 その後に行われたグループディスカッション、また宣教チャレンジアワーを含めて、今の時代の教会に求められる宣教のあり方に、主からの新たなチャレンジを受けた有意義なセミナーであった。
(報告・稲垣博史=アンテオケ宣教会事務局長)

◎三浦綾子生誕90年 新刊など続々−−記念文学館 資料データベース化=1207080202

 キリスト教信仰に基づいた多くの作品を遺した作家・三浦綾子(1922~1999)の自著9年ぶりの新刊『丘の上の邂逅』(小学館、千470円)が出版された。今年、三浦綾子生誕90周年記念として、単行本化されていなかったエッセイ原稿から、旭川やふるさとに関するものを集めた。既刊書籍の重版、関連書籍、朗読CD出版なども相次ぐ。いくつかの作品は電子書籍で販売もされている。
 新刊は旭川市にある三浦綾子記念文学館が取り組んだ資料整理がきっかけだ。文学館は資料整理を3年前から本格的に始めた。そこで約2万500点が未整理であることが分かった。
 同文学館では経験豊富な団塊世代の退職者などによるボランティアが積極的に活動する。資料整理には臨時職員も含めてボランティアが25人関わり、2年で資料全体の3分の2の整理が終わった。年度内には完了する見込みだ。
 資料整理では14のジャンルに分けて、データベース化した。そのうち新しく見つかった掲載原稿の中には旭川市地元の郷土誌やサークルの会報などに寄せたもので、まだ書籍刊行していないものが約500点あることが分かった。
 文学館内の「出版委員会」が企画を考え、ふるさと、風景、思い出の場所に関わるものを集めた。今回の出版は昨年末に原稿を整理し、4月には刊行したいという緊急のものであったことから、なかなか出版社が見つからなかったが、綾子さんの生誕と同じく、創業90周年を迎える小学館が共同企画として刊行を決め、綾子さんの誕生日である4月25日に刊行にこぎつけた。
 文学館スタッフの松本道男さん(三浦綾子記念文化財団・専務理事)は「綾子さんは原稿依頼を断ることはあまりなく、一つひとつ丹精を込めて書いていた。自らの小説の登場人物について書いたものや、戦争、憲法、原発について書いたものもあり、今読んでも新鮮な感動を与える原稿がたくさん残されている。せっかくの宝を大切にし、2年に1冊くらいのペースで、ジャンルを分けながら出していきたいと考えています」と語る。
 今年、三浦綾子作品・関連書籍では『石ころのうた』『草のうた』(角川書店)、『ちいろば先生物語』(集英社)、『天北原野』(新潮社)が重版。綾子さんの作品から希望と励ましを与える言葉を選んだ込堂一博著『三浦綾子100の希望』、朗読CDの『CD 三浦綾子 旧約聖書入門・新約聖書入門全巻セット』(いのちのことば社)も刊行された。