[CSD]2012年7月22日号《ヘッドライン》

[CSD]2012年7月22日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎国際標準プログラム導入 災害対応チャプレン養成へ——教会を緊急時の霊的ケア拠点に1207220101
★ロンドン五輪でトラクト伝道——アリソン・フェリックス選手らの証しなど

 = 2 面 ニュース=
★悪の根源に沈黙する聖書——ローザンヌ神学委員長 クリス・ライト氏来日講演
◎福音主義神学会(東部):震災ボランティアと若者の信仰形成——安易さ反省、苦しみに目を向けた
★ナイジェリア:中部ジョスで教会襲撃される
★<落ち穂>聖霊の二つの働き

 = 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[19]祈り続けるということ 記・柏木哲夫
★東京・代官山で女子快適復興支援ライブ——東北名産も出品され文化祭のノリで
★<逝去>ホセ・ミゲス・ボニーノ(元WCC議長、解放の神学提唱者。88歳)
★<オピニオン>原発再稼働で私たちが問われること 記・稲垣 久和
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 全面広告=
☆第44回 日本伝道の幻を語る会 8月20日(月)~22日(火)
主題:「切り拓け! 日本の伝道 Part2」 会場:市川サンシティ

TEl.03-3804-1765 FAX.03-3869-5262

 = 6 面 関西だより =
◎CD収益でタイのHIV孤児支援——市岡裕子さん キリストにある希望と喜び届けたい
★寄り添い いのちを生かす——OCC主催で「東日本大震災 祈りと支援の旅」レポート 記・三島克己
★集会情報

 = 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>[15]Jバプ連盟・新潟主の港キリスト教会?——悲しみに気づく関係をつくる
★ケープタウン決意表明(36)パート?解説——私たちが仕える世のために(15)

 = 8 面 ひと =
★戸高洋子さん(主婦)——花の絵描くことで神様を賛美


◎国際標準プログラム導入 災害対応チャプレン養成へ−−教会を緊急時の霊的ケア拠点に=12072201

 災害が起きたとき、被災者に対して教会やクリスチャンが実際的・霊的にどのように対応しケアしたらいいのかを学ぼうと、「災害対応チャプレン・プログラム」の第1回フォーラムが、東日本大震災救援キリスト者連絡会(DRCネット)、日本福音同盟(JEA)などの協力により7月5日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターで開かれた。このプログラムを推進している救世軍アメリカ中央軍国災害支援コーディネーターのケビン・エラーズ氏が来日して概要を紹介。東日本大震災で緊急支援や復興支援に携わった諸教派やNPO、教会ネットワーク、将来の災害対策に着手している地域の教会協力組織などから約60人が参加し、災害への対応について包括的に理解できるこうした知識をもっと早く知っておきたかった、など高い評価を得た。【根田祥一】

 経過報告をしたJEAの品川謙一総主事によると、東日本大震災で教会や諸団体がコミュニケーションなどの面で対応を問われた。首都直下型地震などへの対策が急務といわれる中で、JEAは2012年度事業計画に「東日本大震災からの救援・復興を支援し、次の災害に備える取り組み」を盛り込んだ。その一環として、JEA援助協力委員会と長年の協力関係にある米福音同盟関連の救援機関ワールド・リリーフからの支援により、ホィートン大学人道的災害支援研究所(Humanita
rian Disaster Institute=
HDI)との2年間の共同プロジェクトとして「災害対応チャプレン・プログラム」と地域教会の「災害対応支援プロジェクト」を進めていく。
 目的としては、?日本の教会の災害対応能力を高め、宣教・教会協力を前進させる、?東日本大震災で学んだことを次の災害対応に生かすため、国際的に標準とされる災害支援の枠組みを学ぶ、?地域における情緒的・霊的ケアの拠点として地域教会が認知されることを助ける、?災害チャプレン・プログラムを通して日本各地の地域教会の超教派的教会ネットワークを強め、包括的福音理解に立つ宣教・教会協力を進める。今回のフォーラムを皮切りに、各地域で小フォーラムを重ねていきたい考えだ。
 米国では9・11テロの際、救世軍が民間で唯一、
災害現場の消防士や警察官を精神的に支える機関に指定された実績などがある。エラーズ氏は、災害の中での情緒的・霊的ケアについて、役割の定義が明確でなく戦略的に実施されていない、備えがないため現場で適切でない形で実施されているなどの問題を指摘。災害発生直後から長期にわたる効果的な心のケア・霊的ケアをする基礎と、チームで災害に対応するための要点などを概説した。災害現場に寄り添い「存在すること」を重視し、状況を正しく把握する評価、それに基づきいつのタイミングでどのような介入をすることが実際に役立つか、継続的なケアプランを立てること、援助者自身のセルフケアの必要などを強調。得意な分野を分担し合うチームの建て上げや、リーダーシップの明確な指令システム、実際の牧会ケアとは別にシステムを管理し動かすマネジメントが重要という。訓練プログラムでは災害のモデルケースを基に役割分担しながらチームで対応をシミュレーションし評価し合う。エラーズ氏著の初級教材『First48 Hours』の邦訳出版を準備中。
 フォーラム参加者らは日本でどう活用できるかなどを小グループで話し合った。特に被災地の教会関係者からは、「手探りでやってきたが、これを学んでいたらもっとスムースに活動できたはず。早く導入してほしい」などの声が相次いだ。このほか東海福音フェローシップ、南三陸ネットワーク、相模原教会ネットワークから報告。05年のハリケーン・カトリーナを機に開始されたHDIの取り組みについて、担当のデビッド・ボーエン氏が説明した。第2回フォーラムは11月予定。

◎福音主義神学会(東部):震災ボランティアと若者の信仰形成−−安易さ反省、苦しみに目を向けた=120

 福音主義神学会東部部会は6月18日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターで「震災とキリスト者」をテーマに公開研究会を開き、2人の発表者が東日本大震災後の復興支援活動に携わった大学生ボランティアと、教派のリーダーたちに聞き取り調査をした結果を報告した。
 研究発表したのは東京基督教大学=TCU=大学院教授(宗教教育学)の岡村直樹氏と、東京バプテスト教会ミニストリー牧師・青山学院大学総合文化政策学部非常勤講師(宗教社会学)の渡辺聡氏。2人はいずれも調査対象にインタビューし結果を分析する「質的研究」の手法を用いた。
 岡村氏は震災ボランティアを経験したTCU学生の声から、「震災ボランティア活動とキリスト教教育的効果」に焦点を当て、支援活動と若者の信仰形成の関係性を検証。学生に起こった内面的変化を「宗教心の変化」の観点から分析した。
 学生の多くはテレビなどで知った被災者の苦しみや厳しい現状がボランティア参加の引き金となり、その動機は被災地の物質的状況よりは人間的状況に結びついていた。瓦礫の山や避難所の様子に触れて大きなショックを受け、訪問から1か月以上経った時点でも言葉でその状況や自らの思いを説明することに困難を覚えているようだった。 目の前の悲惨な被害の大きさに「自分の働きが意味があるのか」「役に立つのか」「苦悩のレベルの違いを感じ、自分は傲慢だったと思う」などと自らの技量や能力を再認識し、自分の実情を直視することを「迫られた」と感じたようだ。
 ボランティアから戻って自分にどのような変化があったかについては、「だんだん被災地の体験が薄れてきてしまっている自分が居る」「普段の生活に戻っている自分がいやだ」「被災地の人の苦しみ、それを感じた自分を忘れたくないという思いがある」「被災者のための祈りが、最近ありきたりになってきている感じがする」など、自責の念を述べる声も多い。被災地で受けたショックが時間の経過とともに薄れつつあることに大きな危機感を抱き、同時にそのような変化を通して自らの弱さを認識し、それを強く反省しているように思われたという。
 「以前はあまり目を留めなかったこと」があたりまえでないことに気づき、小さなことに感動するようになったり、被災地以外の苦しみにも目を向けなければと思うようになった。また「神は愛という確信は変わらないが、そのことを簡単に口に出したり安易に祈ったりするべきではないと思うようになった」「被災地での祈りの中で、神様の計画とか、神のみこころという言葉がまったく使えなかった」など、宗教観の変化も見られた。
 こうした結果を岡村氏は、「若者たちは危機的な状況から投げかけられる大きな疑問を、自分自身の問題として受け止めている」と見てポジティブな宗教的な変化の可能性を内包すると分析。学生の内面的変化を「自己を反省する」「苦しむ者を思う」「自分の周りの弱者に目を向ける」と集約し、当初持っていた正義感や同情心を、それが安易なものであったと猛省しつつ、被災者の苦しみを忘れない努力を続けることや、今自分が置かれている場所で苦しむ人に目を向けることに行き着いたことに着目。聖書を土台としたキリスト教教育の理念や目標に沿うものと評価した。

◎CD収益でタイのHIV孤児支援−−市岡裕子さん キリストにある希望と喜び届けたい=12072206

 ゴスペルシンガーの市岡裕子さんが初のCDアルバム「Amazing Grace!」(2,000円)をリリースした。6月30日には神戸市中央区の神戸バイブルフェローシップで、5年前から支援を続けているタイ・チェンマイのHIV孤児たちのためのチャリティーを兼ねたCD発売記念コンサートを開き、満員の会場を魅了した。
 CDは8曲。タイトルの「アメージング・グレイス」や、2年前関西フランクリン・グラハムフェスティバルで歌って聴衆を感動に巻き込んだ「My Life is in Your Hands/大阪弁Ver.」などを収録したファン待望のアルバムだ。市岡さんはサインにいつも「Hope&Joy」と書く。「イエス様の中に希望と喜びがあることを、CDを聴いて受け取ってほしい」という。
 市岡さんは吉本新喜劇で一世を風靡した芸人、故岡八朗さんの長女。歌の好きな明るい少女時代が一転したのは、16歳のときの母の自死からだ。弟も失い父はアルコール依存症で苦しんだ。悲しみのどん底を通って出会ったのが、ニューヨークの黒人教会で聴いたゴスペルと、彼らの賛美するキリストだった。
 今各地でゴスペルを歌い、人権や自殺問題についての講演会に飛び回る。福島の会津若松市の避難者の前でも講演した。耐えられない苦労は与えられない、必ず助けてくれる人がいるからがんばろうと、涙を流す人々に訴えた。
「歌も講演もイエス様の栄光を現すこと。生きていく上でこれが一番大切だとわかってきました。これまで歌ってきた思いを込めたCDです」
 収益はタイの孤児たちの生活や医療、就学就労など必要な支援に使われる。今回も6月5日から5日間チェンマイで5か所の孤児院を巡って子どもたちと交流してきた。
「子どもたちに必ずするのは抱きしめること。愛せば愛を返してくれます。信頼できるおとながいれば、その子の人生は変わると信じています」
与えることの祝福を知っている。子どもたちにも与えられる人になってほしいと願っている。心配や恐怖がとまどわせても、勇気を出して一歩踏み出したら「絶対神様は守ってくれます。?よっしゃあ!?と、神様はやってくれます」。そんな体験をこれまでしてきた。
 福島の人から「どこからそんなエネルギーが出るの?」と、驚かれた。歌ですか、と聞かれると「いえ、私は神を信じているから」と答えた。「神を信じて懸命に働いている姿を通して、イエス様の愛を人々に与えられる者になりたいです」

 CDはURL: http://www.ichiokayuko.com/ か、オアシス梅田店(Tel.06・6344・3948)で販売。