[CSD]2013年4月28日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年4月28日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎朗読でがん患者に希望届けたい——CD「あなたには、明日、生きる意味がある」
★新入学の春——キリスト聖書神学校

 = 2 面 ニュース=
★「戦争」危機下、収容所に信徒8万人——北朝鮮地下教会から祈りの要請
◎主の平和北も知って——「横田めぐみ写真展」で母・早紀江さんの気持ち
★国際:朝鮮半島の緊張終結を——WCC総幹事が呼びかけ
★<逝去>石川学氏(元ウィクリフ総主事、宣教総合研究所創立者)
★<落ち穂>「命どう宝」と文化貢献

 = 3 面 =
★「20年後、世界はどう変わるか見据えて」——キリスト聖書神学校入学式でマイケル・オー校長
★米国:リック・ウォレン牧師の末息子が自死——精神疾患で苦闘「痛み終わらせたい」
★<オピニオン>イエスは主なり。——主権回復の日記念式典に問う 記・榎本 恵
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 放送伝道特集=
★日本CGNTV:「青年層は動き出している」——次世代リーダー招き座談会
★日本FEBC:聖書を読んでお散歩トーク——新番組「イエスの風に吹かれて」
★デジタルTV化で視聴率が3倍に——福音テレビ番組ゴスペルアワー
★「テレビ伝道で信仰もてた」——4月にゴスペルアワー協力牧師になった伏見敏さん

 = 6・7 面 シリーズ・対談 =
★奥田英夫(オクダ商事代表取締役社長 vs. 中野雄一郎(伝道者)

 = 8 面 全面広告 =
☆聖句書道誌上展 http://www.e-310.com/seikushodo/tenjikai08.htm

 = 9 面 三浦綾子特集/言葉を今に生かす=
★「声の文学」朗読で再現——読書会朗読部門10年 読む機運先導し洗礼者も
★「言葉の宝庫」牧会に生かす——5月から牧師会を本格始動

 = 10 面 関西だより =
★聖書事業 西日本全域へ拡大期待——神戸バイブル・ハウス創立10周年
★身にしみる神の恵み——カルトから脱出 再出発し牧会10年
★出版記念・聖句書道展・ビジュアル聖書ソフト情報——

 = 11 面 伝道・牧会を考える=
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[46]聖契・インターナショナル・バイブル・フェローシップ?——町に仕える活動をチームで企画
★<憲法が変わるってホント?>[3]平和は「安全保障」の反対——9条保持は甘い理想論に過ぎない? 記・朝岡 勝

 = 12 面 ひと・証し=
◎マイケル・オーさん(国際ローザンヌ運動総裁)——世界の新世代に日本で仕える



◎朗読でがん患者に希望届けたい−−CD「あなたには、明日、生きる意味がある」=1304280101

 日本では男性の2人に1人、女性の3人に1人が一生涯にがん罹患すると言われている中、昨年9月に発売された医師やがん体験者ら11人のメッセージを収録したCD「あなたには、明日、生きる意味がある」(NPO法人キャンサーリボンズ、軽井沢朗読館制作)が、静かな反響を呼んでいる。発案者は、がん患者の治療と生活をつなぐ働きをするNPO法人キャンサーリボンズの岡山慶子さん(副理事長、日基教団・行人坂教会員)。岡山さんは「希望を失い、将来に不安を覚えているがん患者さんや、同じ状況にある人たちに届き、生きる意味を見出す手助けとなればと願い制作しました」と語る。

 「不安と心配は、何かの役に立ったのかと考えると、答えはノー。役に立ったのは不安と心配ではなく、『これから毎日、目標ができてうれしい』とか『よーし、ずっとコラムを何年も書き続けるぞ』と言って、今を楽しんだり、将来に希望をもったりした心だったと思う。不安や心配の予測が、人生に役に立つことは、意外に少ないのかもしれない」
 元NHKアナウンサーでエッセイストの絵門ゆう子さんの著書『絵門ゆう子のがんとゆっくり日記』の一節だ。絵門さんは、06年4月に乳がんで亡くなった。夫の三門健一郎さんが、寄せたメッセージで絵門さんの遺した言葉を紹介する。がんを体験しなければ伝えられないメッセージだ。
 101歳の医師、日野原重明さん(聖路加国際病院理事長)は、「自分が持っている時間、自分が使える時間がいのちそのもの。与えられたいのち、時間をどう生きるか、それを真剣に考えるのが人間の大切な仕事です」とメッセージを寄せている。
 そのほか、木下晋(画家)、ひがしのようこ(楽団あぶあぶあ&ミュージカルチームLOVE代表)、藤井信吾(〔財〕田附興風会北野病院院長)、吉武輝子(作家・評論家、がん体験者、12年4月に死去)、樋野興夫(順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授)、堀文子(日本画家)、大西暢夫(写真家)、坂田明(サックス・クラリネット奏者)、岡山の各氏がそれぞれの立場から励ましのメッセージを寄せ、元NHKアナウンサーの青木裕子さん(軽井沢朗読館館長)が情感をこめて朗読している。
 きっかけは岡山さんが十数年前、米イリノイ州にあるがん専門病院を訪れたことから。「この病院では、一人のがん患者さんのために、外科医、内科医、精神科医、薬剤師、栄養士、運動指導士、カウンセラー、料理人、聖職者など15職種にものぼる専門家がサポートしていた。彼らが最も大切にしていたのは、『あなたには、明日、生きる意味がある』というメッセージを患者さんに伝えることだった。以来、このメッセージを日本のがん患者さんにも伝えたいと思い続けてきました」
 その岡山さんの思いに共鳴した友人知人が協力を申し出、みなボランティアでメッセージを寄せてくれたり朗読を買って出てくれた。
 このCD制作は、キャンサーリボンズの「気持ちを整え、方向性を定める」活動の一環だ。朗読にしたのは、本を読む気力のない患者でも耳からメッセージが聞けるためでもある。聴いた人からは、「ひがしのようこさんの『にーっと笑って!』『信じて祈る』、堀文子さんの『人として1ミリでも上昇して死にたい』という言葉に毎日支えられています」「藤井先生の医師としての壮絶な覚悟が伝わってくる。そういう先生に執刀された患者さんは幸せです」などの感想が寄せられている。
 岡山さんは、「がん闘病中の方々だけでなく、がん告知を受けたり再発が見つかってショックを受けている方々に特に聞いてほしい。被災者や心身共に疲れ切っている方にもぜひ聞いてほしい」と願う。
 CDは郵送料込みで1枚1080円。問い合わせはTel:03・3546・6101、キャンサーリボンズ事務局まで。東京・中央区銀座の教文館でも販売している。

◎主の平和“北”も知って−−「横田めぐみ写真展」で母・早紀江さんの気持ち=1304280202

 1977年11月15日に中学校から帰宅途中、横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてから昨年で35年。北朝鮮がミサイルを配備し、「戦争前夜」と繰り返し好戦的な発言を繰り返すさなかの4月12日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センター5Fギャラリーで「横田めぐみ写真展」(同実行委員会主催=榊原寛会長、斉藤眞紀子祈り会代表、多胡元喜実行委員長)が開幕した。横田早紀江さんを囲む祈り会、全国ブルーリボン祈り会、いのちのことば社、お茶の水クリスチャン・センターなどが協力して開催。父の滋さんが撮りためた家族写真40点や報道記事パネル20点、めぐみさんの作文などを展示し、「めぐみさんが家族と過ごした13年」と拉致事件の実態を浮き彫りにする。
 オープニングセレモニーに出席した母の早紀江さんは、「いつも祈って下さるクリスチャンの皆様の協力でこの写真展が開かれることになりました。疲れ果てておりますけれども、写真展を多くの方に見ていただいて、拉致問題がどんなに大変なことか、同じ思いをしているお父さんお母さんたちがいらっしゃることを知っていただきたい」と訴えた。
 横田夫妻は、めぐみさんの名前と写真を公表することでその身に危険が及ぶかもしれないと覚悟の中で写真展を開いてきた。早紀江さんは、「今の状況は子どもの命が失われるか帰ってくるか二つに一つ。イエス様に救われ、大きな方を見上げてそのみことばの中で信じて祈ってきました。その方はこれから後のことが北にとっても良いように、
平和な国になってほしいと願っておられると信じています。本当の平和がどういうものか北の指導者にも知ってもらいたい」と願いを述べた。
 写真展は4月29日(祝)まで。入場無料。開場は10時30分~18時(日曜のみ13時~)。会場はJR・東京メトロ御茶ノ水駅から徒歩3分。問い合わせTel:03・5341・6933、いのちのことば社。

◎マイケル・オーさん(国際ローザンヌ運動総裁)−−世界の新世代に日本で仕える=1304281201

 「最も宣教が困難な日本で次世代に伝えたい」?そのような思いで9年前に名古屋市のキリスト聖書神学校を始めたマイケル・オー氏は今年、国際的な宣教運動「ローザンヌ運動」総裁に41歳で就任した。本部が初めてアメリカ以外の地に置かれたことになる。クリスチャンが増大するアジアからのリーダシップ、新世代、次世代に向けた働きが期待される。オー氏はアメリカ生まれだが、日本統治時代を経験した韓国人の親を持つ。日本との歴史問題に葛藤したが、聖書によって指針を得た。国と国との対立や憎悪の問題に直面した経験が、宣教や国際協力の働きにつながる。

国際ローザンヌ運動総裁に就任
次世代リーダーに情熱傾けたい
  自由主義神学が活発になった1960~70年代。宣教の働きは攻撃を受けた。イエスがただ唯一の救いの方法か、聖書自体は正しいのか、そうだとすると世界中に宣教師を送るのは正しいことなのかという疑問が問われたからだ。福音主義のキリスト教指導者ビリー・グラハム、神学者ジョン・ストットらは、74年に福音の理解を深め、教会の宣教の本質を見極めるために世界の教会リーダーをスイス・ローザンヌに集め「ローザンヌ世界宣教会議」を開き、ローザンヌ誓約がまとめられた。
 マイケル・オー氏は教会史の中でローザンヌ運動を重要な出来事ととらえてきた。「74年ローザンヌのコンセプトはアンリーチト(未伝道)。私の個人的なミッションとしても、未伝道地域に重荷がありました」。ローザンヌ運動は一時停滞していたが、タイで開かれた「ローザンヌ・フォーラム2004」では変革がテーマとなった。このとき日本で宣教を始めていたオー氏は友人に誘われ初めてローザンヌ運動に参加した。06年マレーシアで開催の「新世代会議」の案内を聞くと奉仕を申し出て、企画チームに入り、基調講演を担った。
 新世代会議は世界111か国から550人のリーダーが集まり、「自分が変わるときだった」と言う。同世代で神学校を開いている迫害下のアジアのリーダーとの出会いなどを通じ、「世界中の若い人のために希望と情熱を傾けたい」と思った。 07年には当時最年少ながら理事会に入る。先輩の理事たちから多くのことを学んだ。
 現在、世界のリーダーの年代は50~70代が中心だ。「教会では牧師の年齢の10歳前後の信徒が多い」というデータに基づき、「今後は教会の若返りのため、30~50代の若いリーダーが台頭できるようにしたい。世界12地域に分かれるローザンヌ運動で、若い人のメンター、訓練の働きを進めたい」と期待する。 韓国人の親を持つ5代目のクリスチャンだ。アメリカで生まれ、12歳で洗礼を受けたが、高校生のときに明確な信仰を持つ。牧師に誘われたキャンプで講師が「今ここで死んだらどうするか」と問いかけた。「今まではガールフレンドを探し、愛されたいと思っていたが、満たされないでいた。神を信じ、自分が愛するように人を愛せたら平安を得られることを知りました」

壁だった日本への憎悪乗り越え
「教会に部外者も外国人もない」
 クリスチャン家庭に育つ中で、宣教の必要は当たり前に感じていた。トリニティ神学校を卒業後、米国長老教会牧師の働きをしたが、未伝道地域の宣教を志し、98年に世界でも最も福音が届かず、宣教が難しい日本に来た。ここで「敵を愛しなさい」との聖書の命令が課題になった。
 父は日本統治下の朝鮮で生まれ、「まつやまひでお」という日本名を持つ。オー氏は幼少から知識として日本の侵略は知っていた。だが日本宣教の途中に一時帰国し、ハーバード大学大学院で東アジア研究をする際に、歴史問題を深く思わされた。「人類の歴史の中で最も多くの命が失われた。慰安婦、化学物質を使った人体実験はナチスの学者も嘔吐したほどだったという。韓国人の中に日本への深い憎しみがある。日本での宣教が困難になるほどに憤った」と当時の心境を語る。
 だがコロサイ1・21を読み、神から「あなたも私の敵ではなかったか。あなたも私の息子を十字架つけた」と語られ言葉を失った。「誰かを憎んだりする資格はない。たとえ韓国人でも、どんな被害者でも加害者でも、この世に義なる人はいない。教会に部外者も外国人もない。たとえ敵だとしても兄弟、姉妹、友と呼べる。キリストに慰められたように、ほかの人を慰められる」と確信した。
 宣教状況の調査、新しいビジョンの作成、貧困や繁栄の神学の問題を議論する世界会議の準備など多くの働きがすでに動き出している。「ローザンヌ運動の特徴は、真理を保ち続けることと、教会への信頼だ。伝統を守り、発展させていくことが私の使命。またローザンヌ誓約、マニラ宣言、ケープタウン決意表明という3つの告白を持つ告白的運動だ。多くの宣教的なチャレンジに取りかかりたい。ムーブメントとして活動していく組織にしたい」と意気込みを話した。