[CSD]2013年6月16日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年6月16日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎激動のイスラム 勢力急増——祈りの力で福音も伝播 ラマダンに祈る運動20年
★教会でお茶して いきいきサロン——キリスト教朝顔教会

 = 2 面 ニュース=
◎ケアチャーチプロジェクト 福祉カフェ——地域とつながる神学を実践
★米国:ボーイスカウト連盟 同性愛解禁で波紋
★韓国:日本の右傾化阻止を世界の教会に訴え——韓国NCC
★<落ち穂>内なる人の成長のための投資

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[5]母たちからの声?——いい嫁より子を思う母に 記・中尾祐子
★<逝去>池田守男氏(元資生堂社長、日本基督教団銀座教会員、76歳)——仕える経営で建て直し
★<オピニオン>新型出生前診断——心揺れる女性の隣人として 記・水谷 潔
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4—5 面 高齢者特集=
★行政と連携で教会を開放——月1回「ふれあい いきいきサロン あさがお」
★利用者中心に地域と結ぶ——小規模多機能型居宅介護 まなハウス
★地域ぐるみで孤立させない——孤独の人に寄り添える 記・中澤秀一

 = 6 面 全面広告=
☆第62回夏季聖会 日本ホーリネス教団主催
7月15日(月)~17日(水) 会場・箱根小涌園
主講師:中西雅裕(新・教団委員長)、錦織 寛(新・東京聖書学院長)

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[53]同盟基督・高麗聖書教会?——行政の届かない福祉で自立支援
★<憲法が変わるってホント?>[10]「どちらが偉いか」と問われれば——身を引き裂かれる歌の強要 再び 記・崔 善愛

 = 8 面 ひと・証し=
◎湯浅 敬さん(ブラジル日系キリスト教連盟理事長)——バランスある刷新を説く国際派



◎激動のイスラム 勢力急増−−祈りの力で福音も伝播 ラマダンに祈る運動20年=1306160101

 反政府運動で揺れるトルコ、内戦が続くシリア、貧困、難民など情勢不安も目立つイスラム圏の人々のために祈る運動が今年で20年目となった。毎年、ラマダン期間(今年日本では7月9日から8月7日まで)に実施される「ムスリム世界のための30日の祈り」だ。この祈りの運動は1993年に中東で行われたクリスチャン指導者の集まりから始まった。小冊子を発行し、ムスリムについての情報とともに祈祷課題をあげる。今年は「20周年特別エディション」として20年間の成果をまとめるとともに、増え続けるムスリムの現状を報告した。【高橋良知】

 ラマダンとはイスラム暦の第9月のこと。イスラム教ではこの1か月間、夜明けから日没まで断食を行う。
 20年間でムスリム宣教チームは10倍以上に増え、小冊子は38か国語に翻訳され、数百万の人々が祈りに参加した。多くの受洗者、開拓教会が立ち上がったことには、ラジオ、衛星放送の技術が役立った。一方ムスリム人口は、増え続けている。「ムスリム世界のための30日の祈り」の立ち上げから関わる、あるリーダーは「20年前にはムスリム人口がここまで急進的に増加するとは全く予想できませんでした。しかし今私たちが目を向ける点は、過去20年間イスラム世界に伝播された福音の運動が祈りの力ゆえに可能であったという事実です。ですからこれからの20年のためには更に多くの祈りが必要なのです」と語る。今後20年間で、20年前の2倍にムスリムが増える見込みだ。
 93年はイスラエル政府とパレスチナ解放機構(PLO)の相互承認をするオスロ合意調印、南アフリカで人種隔離政策撤廃に尽力したネルソン・マンデラ氏とフレデリック・ウィレム・デクラーク氏にノーベル平和賞が授与されるなど激動の年だった。小冊子の祈祷課題では毎日93年の出来事を振り返りながら、地域・民族の状況、イスラムの風習の解説やムスリムから回心した人の証しを報告する。
 2010年末に始まったアラブ各国での民主化運動「アラブの春」から2年がたったが、「政権交代が成し遂げられても平和と発展は訪れず、長い間潜伏していた緊張と不和によって以前より更に不安定な政局という結果」と言う。民主主義推進派、イスラム国家推進派の対立がある。
 シリアでは内戦がいまだやまない。12年には推定4千人が内戦で殺された。2012年11月にはエジプト・カイロで7万人のクリスチャンが集会を開くなど宣教の動きがあるが、迫害の脅威がある。
 南アフリカではイスラム教の成長が著しい。貧困層で人気がある。キリスト教は白人のための宗教と思われる一方、イスラム教は最貧困層に飲食や教育を提供し、良い印象を与えている。だが人種隔離政策撤廃と融和の働きが効を奏している。神の唯一性と創造主についての神学的見解に人々の心は開かれる。
 ケニアにある世界最大の難民キャンプ、ダダーブ難民キャンプはソマリア内戦の混乱のために92年から設立され、20年が経過した。11年には大規模なソマリア飢饉から逃れた人々が多数加わった。治安も悪く少数のクリスチャンたちが迫害に脅かされている。
 そのほか小冊子ではアジア地域での民俗宗教と混交したムスリムについてや、ムスリムとの対話の実例などを紹介する。

◎ケアチャーチプロジェクト 福祉カフェ−−地域とつながる神学を実践=1306160201

 地域教会が福祉のミニストリーを行うことを応援する東京基督教大学ケアチャーチプロジェクト推進委員会は「福祉カフェ~カフェで教会をオープンに~」を新宿区大久保の単立・東京中央教会で4月27日に開いた。高齢者のためのサロンを開くJECA・キリスト教朝顔教会(4面に関連記事)、障がい者の自立支援をするJBBF・港北ニュータウン聖書バプテスト教会、ホームレスの自立支援をする東京希望宣教教会の事例を紹介した。
 同大学国際キリスト教福祉学科長の稲垣久和氏は「教会に福祉主事が置かれ、役所、学校、病院など様々な地域の社会資源と結びつけたい」と方向性を示した。そのために「福祉事業への参入根拠を神学として確立しないといけない」と語った。
 さらに地域福祉に関わる教会を派遣型、事業型、伝道型に3類型した。
 派遣型の典型はマザーテレサだ。マザーは地域教会で霊的な力を得て派遣され、奉仕の現場では奉仕に徹して伝道はしない。教会は祈りや生活面で支える。同様に日本でも信仰者を養成学校や福祉現場に派遣するタイプ。
 事業型は教会の建物をデイサービスなどにして展開をする。?介護保険事業など公金(税金)導入を視野に入れる、?教会の献金のみを財源とした小規模福祉カフェ、?行政と連携の「ふれあいいきいきサロン」などの働きが考えられる。
 伝道型は危機に陥った人々への霊的な癒し、伝道と福祉が直結していてみことばによる自立・更生が中心。希望宣教教会のホームレス伝道がこれに相当する。
 港北ニュータウン聖書バプテスト教会の鹿毛独歩牧師は元々福祉施設で働いていたが献身。宣教開始と同時に幼い娘を失ったこと、精神障がいを持つ青年たちとの出会いなどから、福祉的な働きが広がった。
 教会のビジョンは「教会を中心とした街づくり」。聖書のみことばを土台として、いじめ、虐待のない街にするというもの。子ども文庫や音楽、演劇、教育などの文化的な宣教とともに、障がい者の生活支援のためのヘルパーステーションや、自立支援と交流のためのカフェ「マローンおばさんの部屋」「いのちの木」など開く。「教会だけでやるのではなく、医療、行政、ワーカー、警察など地域におけるネットワークを築いていきたい。行政の方々も教会のゆるがない信仰に信頼をもってくれています」
 希望宣教教会の三井百合花牧師は、理想的な福祉活動として身体的な福祉活動、霊的な福祉活動、忠実なしもべの3段階を話した。
 身体的な福祉活動では、食べ物、着る物などに目に見える物で人を助ける。だが「人はどんなにいいものを得ても、もっといいもの、と満足しない。まことの平安、いのちがそこにはない」。そこで霊的な福祉活動となる。「イエスキリストの愛、赦され、愛された経験。どんな人でも愛することができます」と言う。
 「身体的霊的に回復したら、その人に使命をさとらす。自分だけでなく、主の証人となります」。これが忠実なしもべの段階だ。「誰にでもできることがある。できるように支えることが大事です」
 最後に「事件を起こして刑務所に行ったり、それぞれの場で悔い改めている。心に不満、不安があると福祉ではない。喜び、感謝があれば自然と理想的な福祉になります」と励ました。

◎湯浅 敬さん(ブラジル日系キリスト教連盟理事長)−−バランスある刷新を説く国際派=13061608

 今年サッカーのワールドカップが開かれるブラジルは、近年経済発展が著しいBRICs諸国の一角をなすが、社会躍進の礎を築いたのは日系移民だったことでも知られる。その移民たちの心の拠り所となってきた日系人諸教会が協力する「ブラジル日系キリスト教連盟」の理事長に今年3月就任したブラジル福音ホーリネス教団の湯浅敬牧師が5月に来日。家族を連れて湯浅家ゆかりの各地を訪ねた旅の最後、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センター(OCC)に日本福音同盟やOCC関係者を表敬訪問した。

 日本からの移民の歴史は1908年6月18日、158家族781人を乗せた移民船「笠戸丸」のサントス港到着によって幕を開けた。ブラジル日系教会の歴史はその移民の歩みと共にあるが、1920年代には早くも諸教派の牧師たちが話し合い、一緒に復活祭を祝った記録があるという。
 日系キリスト教連盟の直接の起源は戦後、「賀川豊彦が1951年にブラジルに来たのを機にブラジルにイエスの友会ができた。それが後の連盟につながりました。最初からルーテルも聖公会もホーリネスも救世軍も、みんな一緒に協力した。福音派だけなんて言わずにね」。
 その連盟は「これまで一世の方々が一生懸命に指導していたが、ようやく二世の役員が5、6人はいるようになった。どちらかというとブラジル語(ポルトガル語)の方が得意な世代です」。
 自身も二世だが、ポルトガル語、日本語のほかに英語も堪能。所属するブラジル福音ホーリネス教団が古くからブラジル福音同盟に加盟していた関係で、その代表として世界福音同盟に派遣され、長く役職も努めた国際派だ。ローザンヌ運動などの国際的な宣教会議にも数多く出席し、教会刷新などについて講演もしてきた。

カトリックも聖霊派も
いいところを評価する
 伝統的にカトリックが優勢な中南米だが、近年は福音派、ペンテコステ、カリスマ派など、プロテスタントの教勢伸長が著しい。1980年代に人口の90%を超えていたカトリックは今は70%以下。プロテスタントは23%にもなった。いきおいカトリックとの間に緊張関係もあると言われる。
 だが湯浅さんは「カトリックがプレエバンゼリズム(伝道前の地ならし的な伝道)をしてくださった」と、ゆったりかまえる。「ブラジルはカトリック文化だから、罪、赦し、救いは話すとだいたい分かる。カトリックを悪く言う必要ない。神様が準備してくださったと見たらいい」
 一方で、ラテンアメリカのリニューアル(教会刷新、リバイバル)の原動力となってきたペンテコステ派についても高く評価する。「ブラジルで一番大きな教派がアッセンブリーズ・オブ・ゴッドです。彼らは教会史を学び、自分たちが宗教改革の流れにあるのだと自覚しています。ブラジル聖書協会の翻訳委員など、重要な役割をアッセンブリーの先生が担っておられる。彼らは、どの州でも国会議員を選べるだけの力を持っています」
 ただ、最近ちょっと困ることもある、と苦言も。一部の急進的な聖霊派の中に「プロスペリティー(繁栄の)神学」を強調する動きが盛んになってきたことを憂慮する。教勢の急成長、教会の規模の巨大化に伴い、信仰を経済的な繁栄と結びつけて流布させようとする論法が目立つのだ。ラテンアメリカではそのような傾向が特に著しく、2010年の第3回ローザンヌ世界宣教会議でも「繁栄の福音」の危険性に警鐘が鳴らされた。
 だが湯浅さんは、それを批判するばかりでなく、反面教師のように見ている。「繁栄の神学を掲げる新しいグループは、売り込むのがうまい。私たちも、人民の宗教的必要というものを十分読み取っていかないと、と思います」

子どもたち自身が
福音伝え親も信仰刷新
 そうした中で、「クリスチャンは増えているが、日系(の信者)はあまり増えていない」ことが祈りの課題だという。教会にも三世、四世が多くなり、その子どもの五世までいる時代。「その世代は人口の増える率も高いので教会に子どもも青年もおる。ところが、子どもの90%は教会を離れてしまう」というのだ。それに対して「非常にうまくいっているミニストリーの一つは、ユース・ウィズ・ア・ミッション(YWAM)が提唱しているキングス・キッズ」で、自身が牧会する教会でも取り入れている。
 「子どもが福音を受けるだけでなく伝える主人公になる。子どもたち自身が歌ったり踊ったり話したりしてキリストを証しする、すばらしい働きです。子どもがキャンペーンに行く時には親も一緒に行き準備に参加します。この子たちはみんなの前で歌や踊りが拍手されても威張らない。それを見ている親たちが信者でなくても子どもを送りたくなる。教会を離れた子が親になって自分の子を参加させたことをきっかけに、教会に戻ってきた例もあります」
 教会の刷新に、今も変わらず目を輝かせる。