[CSD]2013年10月20日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年10月20日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
★「お互い様」の関係 今から——教会ネットワークづくりセミナー
★バックストン師来たる!?——九州聖会第100回

 = 2 面 ニュース=
◎<逝去>チャック・スミス牧師——70年代米国ヒッピーに起きた「イエス革命」の源流
★「十字架の福音」深めて——世紀を超えて受ける継がれる九州聖会
★鹿児島で教会全焼——エクレシアキリスト福音教会
★<落ち穂>熱い祈りから始まった「イエス革命」

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[22]母たちからの声——会津の子は幸せ、と言われ… 記・中尾祐子
◎<インタビュー>ロレーヌ・レヴィ監督——映画「もうひとりの息子」 子どもを取り違えられた家族からパレスチナ問題描く
http://jpnews.org/pc/modules/smartsection/item.php?itemid=302
★見過ごせない首相の伊勢神宮「式年遷宮」神事参列——日本同盟基督教団「教会と国家」委員会が意見表明
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4 面 全面広告=
☆JTJ宣教神学校——11月9日 10:30~12:00学校説明会
ホームページ http://www.jesustojapan.com/

 = 6 面 関西だより=
★「すてきなあなたに」笑顔届けたい——田中恵子さんニューアルバムをリリース
★貧しくても希望はいっぱい——世界食料デー・チャリティコンサート
★次世代の宣教と信仰継承見据えて——キッズ&ファミリーフェスタ開催
★天国の父も笑ったバラエティーShow!——露の五郎兵衛と岡八郎の娘たちがユニットで

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[78]日本基督教団和気教会?——相手を愛おしく思い寄り添う
★新連載<迫られる宣教と教会の再構築>[1]——教会にも少子高齢化の波 記・石田 学

 = 8 面 ひと・証し=
◎神山みささん(ゴスペルフォークシンガー)——自分のものの執着を手放したとき開かれたメジャーデビュー
http://jpnews.org/pc/modules/smartsection/item.php?itemid=303




◎<逝去>チャック・スミス牧師−−70年代米国ヒッピーに起きた「イエス革命」の源流=13102002

 1960年代後半から70年代前半、アメリカ西海岸で多くの反体制的なヒッピーの若者たちがキリスト信仰に目覚めた「ジーザス・ムーブメント(イエス革命)」の源流、カルバリーチャペルのチャック・スミス牧師が10月3日、肺がんのため86年の生涯を閉じた。若者たちの持っていた音楽文化は教会の賛美に影響を与え、その後のプレイズ&ワーシップなど新しいスタイルのクリスチャン・コンテンポラリー・ミュージックは、全米のみならず世界中の教会の礼拝に新風を吹き込んだ。それは当時一般にアメリカの教会が、長髪でラフな出で立ちの対抗文化を掲げるヒッピーたちを白眼視していた中で、温かく迎え入れたチャック牧師の信仰の決断から始まった教会刷新だった。
 70年前後、アメリカのキリスト教会は、身なりを整えて礼拝に出席するような行儀の良い文化が当たり前だった。一方で若者たちの間では、ベトナム戦争の泥沼化に伴い、既成の体制に反抗する学園紛争やヒッピーが台頭。特にカリフォルニアを中心に増殖したヒッピーたちには平和や自然志向が広がったが、その半面、ドラッグが蔓延し厭世的な生活におぼれる者も少なくなかった。
 そんな彼らを、チャック牧師は歓迎して教会に迎え入れた。教会員たちは、これまでの礼拝の雰囲気が壊されると反対したが、チャック牧師は、イエスが彼らを受け入れていると信じて譲らなかった。初めて教会に受け入れられる体験をしたヒッピーたちは、次々に仲間を礼拝に連れてきた。そうしてカルバリーチャペルは、瞬く間にヒッピーだらけの教会として知られるようになった。
 イエスを救い主と受け入れたヒッピーたちは、自由でカジュアルなライフスタイルを残しつつもドラッグから足を洗い、イエスへの愛を歌い始める。そのスタイルはフォーク調あり、ロック調あり、カントリー調もありと何でも自由。そうした中から、神に向かって礼拝をささげるワーシップソングが生み出されていった。カルバリーチャペルで生まれ世界中で愛され続けている曲には、「神の国と神の義を」「アイラブユーロード」など多くの名曲がある。
 リバイバルは賛美にとどまらず、元ヒッピーの牧師や音楽伝道者が多く輩出。関係教会が各地に広がり、中には有数の大教会もある。チャック牧師は彼らを聖書そのものを丸ごと教えて育てた。
 70年代アメリカでヒッピーをはじめとする若者たちの間に起こったこのリバイバルは、「ジーザス・ムーブメント(イエス革命)」と呼ばれメディアの注目を集めた。米国を代表する世界的な伝道者ビリー・グラハム氏は、この現象を驚きをもって著書『もう一つの革命』(邦訳・いのちのことば社)に紹介している。
 このムーブメントはヒッピーの時代が終わっても世代を超えて受け継がれ、カルバリーチャペルは全米から世界へと拡大、その数は今や2千を超える。

◎<インタビュー>ロレーヌ・レヴィ監督−−映画「もうひとりの息子」 子どもを取り違えられた家族からパ

 昨年の第25回東京国際映画祭でグランプリと最優秀監督賞を獲得した映画「もうひとりの息子」が公開される。同じ病院で出産したイスラエル人とパレスチナ人2組の家族が子どもを取り違えられた。その事が発覚した18年後、隔離壁で区分されたイスラエルとパレスチナの現状と人間のアイデンティティーとは、家族とはなど普遍的なテーマへと深化していく作品。プロモーションで来日したロレーヌ・レヴィ監督に話を聞いた。

 国際政治が複雑に絡み、紛争状態が続くパレスチナ問題。その政治的宗教的に微妙な問題を扱う本作が、昨年東京国際映画祭でグランプリと最優秀監督賞を得たことは「私自身とても驚きでした。この映画がパレスチナ問題を扱う目的ではなく、家族や親子とは何かなど、普遍的なテーマを描いていることが強く共有されたのでしょう」。
 ダブル受賞から1年。その感想を聞くと、「私は、日本から2つの大きな感動をいただいた。一つは昨年のダブル受賞。もう一つは9月28日に東京・港区のユニセフホールでの特別上映会でルツ・カハノフ駐日イスラエル大使とワリード・アリ・シアム駐日パレスチナ大使がいっしょに登壇して、互いに『(イスラエルとパレスチナ)双方は共存でき、愛し合うことも可能だ』と語り、挨拶し握手を交わしたことです。私は本当にすばらしい喜びの体験をさせていただきました」。
 脚本作りだけでもチームで取り組み3年かかった本作の作品作り。ユダヤ系フランス人のレヴィ監督にとってこの経験は、「スタッフらとともにたくさんの時間と労力を費やしたことへの、ほんとうにすばらしいごほうびでした。そして、映画には物事を動かすことができるマジカルな力があることを実感しました」という。その言葉どおり、重いテーマを扱っているが、重苦しい感情ではなく、家族の絆を芯に慈愛と希望への光を指し示している作品だ。

◎神山みささん(ゴスペルフォークシンガー)−−“自分のもの”の執着を手放したとき開かれたメジャーデビ

 ゴスペルフォークシンガーの神山みささんが、10月16日リリースのアルバムCD「月の雫」(全12曲、2,500円税込、ユニバーサルミュージック販売、ウェブクウ発売、いのちのことば社ライフ・クリエイション取扱い)でメジャーデビューする。高橋真梨子などに作曲・編曲を数多く提供している岩本正樹さんのプロデュースをきっかけに思わぬ展開に。10月19日には、全曲を編曲した岩本さんをバンドマスターに迎え東京・汐留のBlue Moodで発売記念ライブが開かれる。

メジャーデビュー
アルバム「月の雫」
 ゴスペルフォーク系シンガーソングライター歴15年目にしてメジャーデビューを果たした。メジャーデビューとは、簡単に言えば大手流通機構を経て全国のCD店などで販売できる正式なレコード会社から作品が発売されるということ。iTunes Storeなど大手ネット配信サービスからもダウンロード購入できる。
 そのメジャーデビューCD「月の雫」の発売記念ライブを数週後に控えての取材。「ライブ直前で、こんなに平安でいられるのはほとんど初めてかな」と、新たに所属した事務所オフィス瀬戸のスタッフワークやバンドマスターも務める岩本さんらプロらしい手際の良さに感嘆と感謝の言葉しきり。
 シンガーソングライターとして作ってきたたくさんの楽曲。アーティストの仲間とチームを組んで編曲し、ミニアルバムなどに仕上げてきた宝物のような楽曲。それでも、前に向かってチャレンジしていきたいというアーティスト気質が、「今までとは違う方向転換をしてみたいなぁ」という思いを沸き立たせた。
 「東日本大震災が起きてから、押し出されるようにして東北へがむしゃらに行きました。ライブハウスからのお誘いもお断りしているうちに、お声がかからなくなってきて、ん!? 私はどういう方向で音楽をやろうとしているのかなぁと…」(笑)。それでも、東北の被災地を訪ねているときは「大切な時間を共有できた、迷いはどこかへ飛んでいた」。だが、さすがに「今年は、去年できなかったことをやろう!」と、CDづくりに取り掛かった。
 今回のアルバム全曲を編曲しプロデュースした岩本さんとの出会いは、2010年のCD「God Bless You」のvarious artistsヴァージョンに参加したとき。岩本さんは編曲を担当し、妻の国分友里恵さんもアーティストとしていっしょに参加していた。

出会いの輪が
新曲作りにも
 その後、日韓のクリスチャンアーティストらが協働での東日本大震災復興支援アルバム制作に参加したとき、岩本さんが神山さんの曲「光」を編曲する計画があった。結果として実現しなかったが、「岩本さんから『イメージはできているよ』、と聞いていたので、もったいないなぁ、形にしたいなぁ。でも、(アーティストとして)位置が違いすぎて、恐れ多いなぁ」(笑)。だが、当たって砕けろ。今回、収録されている「光」と「戦場のクリスマス」の2曲を持って相談にいくと、編曲は引き受けてくれた。それだけでなく、「アルバムにしてみない?」と話しが進み、レーベルや事務所の人たちにも、「岩本さんの紹介だからではなく、楽曲と歌唱が評価されたので…。ちゃんとした業界の人は、軽々しく『いっしょにやってみないか』とは言わないと思うので、信頼してアルバムつくりができました」。
 タイトル曲の「月の雫」は、今回初のCD収録。ピアノのイントロから入る月の光につつまれるような編曲は、神さまの力で私を変えてくださいというメッセージを聴く人の心に届けてくれる。
 だが、「人に頼って、人のせいにしないやり方で、音楽活動したい」という思いをインディーズ事務所も理解して10年春に独立してからは、CDの自主制作、ワンマンライブも自分ですべて手はずを付けていた。今回、事務所所属の話がきたとき、一つのチャレンジは、自分で作り自分で売っていく音楽活動をしているうち、「いつのまにか、自分のCDという思いが強くなっていたようです。メジャーデビューとは言え自分のCDを手放すような考えには、なかなか踏み切れずに、CD1枚手放せない自分がいて、ずいぶん悩みました。でも、自分から手放せば神さまは自由に使ってくださる。自分のものではなく、神さまに手放していきたい」。
 神さまに向けて手放せたニューアルバム「月の雫」、どう羽ばたいていくのか楽しみだ。