[CSD]2013年11月3日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年11月3日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎<逝去>「聖書を読む会」創立者バージニア・ボーエン宣教師(90歳)——宣教体験が生んだ「基礎の学び」
★台風26号 伊豆大島土石流被害——教会役員信徒 犠牲に

 = 2 面 ニュース=
★横田めぐみさんは生きている——西岡力氏 菅官房長官の発言など観測
★知識人の関心が中国市場最高——漢語基督教文化研究所ダニエル・ヤン所長
◎三線とウチナーグチで賛美——クリスチャン県人会・沖縄
★分断され損なわれた世界にキリストの平和を——11月9日にローザンヌ・シンポジウム第2弾開催
★<落ち穂>主との関係が一番大事

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[24]母たちからの声——会津ではたらい回し 記・中尾祐子
◎キリスト教メディア・出版人ら「機密保護法案」反対で共同声明(反対声明 全文)
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 放送伝道特集=
★日本CGNTV開局7周年記念 His Generation——米次世代牧師ら招きカンファレンス開催
★被災者の心に希望を——TWR 被災地でラジオ福音番組を開始
★ラジオ関西「聖書と福音」700回——新しい人生は聴くことから
★埼京放送伝道協力会が創立20周年——放送で信仰整えられる
★近畿福音放送伝道協力会が創立40周年——「神が興され神が継続し」

 = 6 面 仕事と信仰=
★波戸場正紀さん(J.C.サービス代表 便利屋)——「便利屋のなれ」と元祖に言われて
★<サーバントリーダーシップ>[5]自分を犠牲にし他人に奉仕するアンパンマン 記・真田茂人

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★新連載<見上げる空>[1]空を見上げて——母の涙と子の笑顔 記・米内宏明
★<迫られる宣教と教会の再構築>[3]神理解が対極にある 伝統的宗教観 記・石田 学

 = 8 面 ひと・証し=
★カイク加藤さん(ゴスペル・タラント企画代表)——「目に見えないものに目を注いで」



◎<逝去>「聖書を読む会」創立者バージニア・ボーエン宣教師(90歳)−−宣教体験が生んだ「基礎の学び

 戦後、GHQの占領下時代に保守バプテストの宣教師として来日し、宮城県石巻市と東京・町田市で開拓伝道をする一方、キリスト者学生会(KGK)の活動や聖書を読む会(SYK)を立ち上げるなど、様々な宣教活動を展開し日本宣教に貢献したアメリカ人宣教師、バージニア・ボーエンさんが10月9日、米オレゴン州マクミンビル町で亡くなった。90歳だった。ボーエン宣教師に導かれ信仰をもった人、共に働いた人など、よく知る日本の牧師、宣教団体スタッフ、信徒からは、ボーエンさんを偲ぶ声が相次いだ。

 「イエス・キリストに生きている方だった。どんな状況でも、寂しい、辛い時でも、『イエス様』と声に出して言いなさいと教えてくれました」。松見ヶ丘キリスト教会(東京・町田市玉川学園)誕生の始まりとなった聖書の基礎の学びの第1回「基礎の学び会」に出席して信仰をもち、その後、SYKの立ち上げや普及活動、初期の聖書の手引きの翻訳などに関わった一人、池田美榮子さん(同教会員)は思い出を語る。
 ボーエンさんは1923年8月、米カリフォルニア州サンタクルーズ生まれ。45年、サンタバーバラ市のウエストモント大学を卒業。その後、宣教師を志し、カリフォルニア大学バークレー校で日本語を学び、聖書翻訳を目的とするウィクリフの語学訓練を受けた。
 50年、GHQ最高司令官ダグラス・マッカーサー元帥が呼びかけた宣教師募集に応じ、保守バプテスト宣教団を通して来日。13年間宮城県石巻市で宣教し、石巻聖書バプテスト教会を開拓した。その頃出会ったロレーヌ・フライシュマン宣教師とは以後、亡くなるまで宣教のパートナーとして支え合った。
 68年再来日し、2人は住まいを東京・町田市に定め、KGK活動にスタッフとして参加、87年に退職するまで勤めた。当初、ボーエンさんに日本語を教えていた玉川学園在住の女性の「代わりに聖書を教えてほしい」とのひと言がきっかけで聖書の学び会がスタート。学び会では与えられた聖書個所を読み、手引きの質問に従って、何が書かれ(観察)、それは何を意味し(解釈)、その教えを生活にどう生かすか(適用)を、みんなで分かち合った。池田さんは「御言葉で交わる喜びが福音を伝えることに導かれ、2人に教えられつつ、次々と新しい基礎の学びのグループが始まった。救われる人も加えられていきました」と当時を振り返る。
 2人が著した聖書の手引き「基礎の学び」は、石巻市での宣教体験をもとに、「日本人に創造主なる唯一の神を伝えるために何が必要か」を考え、求め、伝え、整える中で誕生。この手引きおよび、日本語に翻訳したディスカッション方式の聖書研究テキストを使った聖書の学びが各教会、超教派団体で使われるようになり、SYK立ち上げに至った。
 石巻時代、ボーエンさん、フライシュマンさんの導きで信仰をもち受洗した木下恵美子さんは「毎週自宅に伺い、聖書の基礎の学びをしていただいた。この時の学びと暗唱聖句が今の私の基礎になっている。2人は人生の恩人です」と言う。「性格の違う2人が互いに補い合っている姿が印象的だった」とも語った。
 訃報を知らせたテモテ・コールさん(ファミリー・フォーラム・ジャパン代表)のブログ( http://bowenmemorial.blogspot.jp/2013/10/blog-post.html )には、ボーエンさんを偲ぶコメントが多く寄せられている。

◎三線とウチナーグチで賛美−−クリスチャン県人会・沖縄=1311030203

 郷土のために祈り合うクリスチャン都道府県人会は、「『沖縄』を愛する集会」を10月12日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターで開いた。
 第1部は、糸満市出身の大城けい子さん(フォースクエア・福音グローアップチャーチ牧師)による証し。第2部は新橋にある沖縄料理店「美ら海」で食事会。同店で定期的に三線を演奏する、読谷村出身の西原圭佑さん(上海JCF会員)が、琉球民謡のメロディーに乗せた賛美を披露し、参加者とともに歌った。
 大城さんは姉の死や英語への関心をきっかけに糸満フォースクエア教会(現沖縄新生教会)に通い、献身をして東京の中央聖書神学校で学んだ。
 卒業直前に、突然脳腫瘍で倒れ入院。沖縄に帰ったときは「キリストを信じたせいだ。ウガン(沖縄の民間信仰の祈り)が足りないからだ」と近隣の人にささやかれた。
 だが沖縄で手術が成功し、出身教会で補教師として奉仕できるようになった。その頃求道中で闘病生活をしていた、後に夫となる吉秋さんと出会う。結婚後、夫の神学校入学のために家族で上京。以来足立区の教会で奉仕する。現在は秋葉原で路傍伝道もする。沖縄の枝教会にも定期的に通い、人々の心が開放的になっている観光地の沖縄国際通りに注目する。海外の沖縄人伝道にも関心を持つ。
 「夫も今は元気に週末は結婚式の司式をし、平日は会社で働きながら共に牧会しています」と語った。
 「クリスチャン情報ブック2014」によると、沖縄県の人口は約140万人、教会数は213、教会員数は約8千500人。人口と比較した教会数は全国都道府県中で1位、人口と比較した教会員数も東京に続いて2位だ。一方、41市町村中、諸島部を中心に教会未設置市町村が15ある。
 同会では沖縄の未設置地域のため、仲井眞弘多知事のため、県人会のために祈った。基地問題についても祈りで言及された。11月16日には同都道府県会初の現地県人会が糸満市沖縄新生教会で開かれる。次回、九州を愛する集会は11月2日に開催の予定。
     ◇
 問い合わせは、erikojakarta@gmail.com (井上)

◎キリスト教メディア・出版人ら「機密保護法案」反対で共同声明(反対声明 全文)=1311030302

 政府が隠したいことを任意に秘密保護指定でき、国民の知る権利や報道の自由が侵害されることなどが懸念されている「特定秘密保護法案」について、自民、公明両党は10月22日、与党政策責任者会議で了承。政府・与党は、閣議決定を経て今国会で国家安全保障会議設置法案と共に可決・成立を目指す構えを示している。そうした中で同23日、キリスト教界の出版人、雑誌・新聞に関わる編集者ら9人が連名で安倍首相に対し反対を申し入れ、公表した。同法案については、日本弁護士連合会が問題点を指摘し反対を表明しているのをはじめ、メディア関係者や言論人、市民団体などから反対の声が上がっているが、キリスト教界からは反応が鈍かった。

内閣総理大臣 
安倍晋三殿

 私たちは、現在開催中の第185回国会(臨時会)に上程予定の「特定秘密保護法案」に、以下の理由から反対します。

1)本法案「第一章総則(目的)」には、なぜ既存の自衛隊法などでは秘密漏えいを防ぎえないのかなど、客観的理由が一切明記されておらず、本法案の目的からして賛成できる根拠が見つかりません。

2)本法案の「特定秘密」の指定に関する「別表」各項目は一義性に欠け、「拡張解釈」の余地が含まれています。したがってある情報がこの項目に該当するか否かは、時の「行政機関の長又は警察庁長官」の恣意性に委ねられることになり、国民の基本的人権(日本国憲法第三章)を不当に侵害する危険性を帯びています。

3)本法案の規定する「特定秘密を取扱う業務を行う者」及びその関係者に対する「適性評価」の内容・方法は、国民の基本的人権を不当に侵害する危険性を帯びています。

4)本法案には、ある情報が「特定秘密」と指定された後、その秘密事項が行政機関によって適正に取り扱われているかを審査する機能(特定秘密事項保存義務、秘密解除期限設置、第三者審査機関設置など)が欠落しています。

5)本法案には、国民の「知る権利」「取材・報道の自由」について「十分に配慮しなければならない」という主旨の文言が盛り込まれるとされていますが、これはあくまでも「努力規定」でしかありません。しかも本法案に抵触する者に対する厳罰は不変更であり、実質的に本法案全体が国民の「知る権利」「取材・報道の自由」を著しく制限していることに変わりはありません。

6)本法案(とくに第九条)が「日本国憲法改正草案」(自由民主党、平成24年)、「集団的自衛権」行使容認の動き、「日本版国家安全保障会議」設立の動きなどと連動しており、実質的に米国と共に外国で戦争をなしうるための備えであることは明白です。これらの一連の動きは日本国憲法第九条に抵触する危険性があり、憲法改正の国民的議論を待たずして本法案を先に通すことは許されません。

7)総じて本法案は、次にうたわれる日本国憲法前文の精神に著しく反したものと考えられます。

「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである」。

 したがって、私たちはこれに続く宣言に声を合わせます。
「われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」。

以上の理由から、私たちは特定秘密保護法案に反対します。
 2013年10月23日

キリスト教出版販売協会幹事長 小林 望
「キリスト新聞」編集長 岩倉正美
「キリスト教文化」編集長 松山健作
「クリスチャン新聞」編集長 根田祥一
「信徒の友」編集長 吉岡光人
「聖公会新聞」編集長 唐澤秩子
「百万人の福音」編集長 鴻海 誠
「福音と世界」編集長 深谷有基
「ミニストリー」編集長 松谷信司