2000年8月20日号《ヘッドライン》

2000年8月20日号
《ヘッドライン》
 = 1面 =
★伝道の「灯火」を次代へ——アムステルダム2000世界伝道者会議
◎8月にキリスト教学校フェア開催——今こそキリスト教教育の精神を
★閣僚の「靖国公式参拝」に抗議声明——政教分離の会
★ドイツ:同性愛結合合法化に教会が反対
★<いやしの時代>[15]日本中を巡回伝道している 山中知義さん(上)
★<落穂抄>福音は分かち合うもの
 = 2 面 =
★第4回日本伝道会議より:なぜ、伝道しなければならないのか?
★野外ステージで賛美とメッセージ——キリスト生誕2000年祭in大分
★すべての教師を対象に公開講座——第7回クリスチャン教師訓練セミナー
★<ひと>賛美で福音を伝えたい——工藤 篤子さん
★フランス:カルト法案可決にWEFが遺憾声明
★解説:アムステルダム2000世界伝道者会議の意義
◎<論説>日本伝道会議——その後 記・蔦田 公義
★<あかし文学・ろばの子の歌>[最終回]いつまでも残るもの 作・今村真子・和彦
 = 3 面 特集・21世紀の平和への課題=
★平和の実現を阻む皇民化——沖縄に聞き見えてきたもの
★韓国・朝鮮人BC級戦犯補償請求運動の今後——補償可能な立法措置求め継続
★なぜ、今なお戦争責任か?——聖書の視点から 記・石田 学
★原爆の悲惨伝えるため習った絵——被爆者の辛木行夫さん回想油絵展
★<新刊書紹介>「負けて勝つとは——沖縄・伊江島からの手紙」榎本 恵著
★<新刊書紹介>「カトリック教会の戦争責任」西山 俊彦著
 = 4 面 信仰と生活のページ=
★<伝道牧会とリーガル・マインド>[4]宗教の法的保護 記・櫻井 圀郎
★<企業社会の生き方ガイド>[4]市場経済は聖書的か?(上) 記・梅津 光弘
★<投稿>「青少年の叫びに答える」を拝読して
★<投稿>20世紀最後の「原爆記念」に思う
★<投稿>コン・ヒー氏の「壁のない教会」に共鳴
★<今月の試写室>「ひかりのまち」 評・高梨 大
★<CDの時間>「JOYFUL」 歌・MANNA
 = 5 面 =
★波によって神を知る——サーファーたちの証しが日本語に
◎移民者が語る強靭な信仰——ブラジル日系人の生きた記録集10月発行予定
★<北から南から>東京都:教会で楽しく夏休み
★スーパーミッションで若い個性もキラリ
★30人乗りバス、差し上げます
★米国:「好きな歌手への質問」で読み解く10代の意識・価値観
★地下鉄文庫に福音文書を寄贈
 = 6面 =
★<聖書66巻>アモス書 公義と正義を求める主 記・油井 義昭
★<書評>「声なき叫び声が聞こえますか」岡本富郎著
★<新刊書紹介>「子どもが伸びるユダヤ式教育」アイェル・ナイム著
★<新刊書紹介>「子どもの本・ことばといのち」松居 直著
★<情報クリップ>催し情報ほか      
 

8月にキリスト教学校フェア開催−−今こそキリスト教教育の精神を

昨今、青少年の凶悪犯罪や学校崩壊、教育現場の荒廃などがマスメディアでも注目を集めている。
キリスト教学校もまた「人間を大事にせず知育偏重、心の真実を忘れた競争主義的教育」の影響を受けている。
そんな時代に「単なる知育教育に止まらない、神の前に正しく立ち、キリストの愛にこたえて生きる真の人間形成を目指すキリスト教学校教育を世間に発信していこう」と、キリスト教学校フェアが開催される。
発起人の林田秀彦(聖学院中・高等学校名誉校長)、水口洋(玉川聖学院中・高等部教頭)、吾妻國年(東洋英和女学院高等部部長)の各氏が都内にあるすべてのキリスト教学校(17校)に呼びかけたもの。 都内の17校が参加 「キリスト教学校フェア」(キリスト教学校フェア委員会主催・代表林田秀彦氏)は、8月25日から27日まで東京・中央区の日本キリスト教団銀座教会東京福音会センターで開催される。
フェアでは、東京女子大学学長の船本弘毅氏が「キリスト教学校に学ぶ喜びとその意味」について基調講演をする。
パネルディスカッションでは「キリスト教学校で培われたもの」というテーマで、東洋英和女学院高等部卒で作家の神津カンナ氏、明治学院東村山高等学校卒でノンフィクション作家の山根一真氏、聖学院高等学校卒でNHK解説委員の西田善夫氏がパネリストとして発表する。
入試相談コーナーも常設され、フェア開催中はキリスト教学校の目指す人間像や歴史的意義を述べたパネル、各校紹介パネルを設置し、各学校案内パンフレット等の配布、ビデオの上映も行われる。
水口洋氏は、「このフェアを通し、私たちの学校の基盤である共通の価値観、キリスト教学校が目指している教育について、広く知っていただく機会としたい」と語った。
 参加十七校は、青山学院、桜美林、恵泉女学園、啓明学園、香蘭女学校、頌栄女子学院、女子学院、女子聖学院、聖学院、玉川聖学院、東洋英和女学院、普連土学園、立教池袋、立教女学院、明治学院東村山の各中・高等学校、国際基督教大、明治学院の各高等学校。
問い合わせは〒104-0061東京都中央区銀座4—2—1、Tel.03・3561・2910、東京福音会センターまで。

<論説>日本伝道会議−−その後 記・蔦田 公義

「21世紀の日本伝道を担う教会の伝道・和解の福音を共に生きる」をテーマとして開催された第4回日本伝道会議が幕を閉じて1か月を経た。
今回の会議で、主催者が日本福音同盟(JEA)の枠を超えた別組織の実行委員会とされたこと、また、開催地が沖縄であったことの意味は小さくない。
前進せぬ船は波を立てない。
しかし、船を前進させようとするなら、波を立てざるを得ない。
表に裏に課題は少なからずあったに相違ないが、来る波も恵みによって打ち砕きながら栄光のうちに会議の締めくくりを迎え得たことは感謝であった。
よき組織、特に若い指導者層の精鋭部隊による事務局の存在と働きは大きく、主の報いを祈りつつ、特記して主をあがめたい。 過去3回の会議の実 会議の余韻が消えいく中、何が残るのか、真の価値が問われてくる。
この会議は、よく仕組まれた花火の大玉が夜空に大きく美しい花を咲かせて消えていく、といったたぐいの出来事・催し物ではないのは言うまでもない。
しかし、この会議が真に価値をもつものになるか否かは、今後にかかっている。
会議の結果を今からどのように受け止め、受け継ぐかということである。
まず、今回の会議が日本の福音派を主軸とする教会の流れの中で、どのような位置と役割をもつものなのかの確認は大切である。
JEA主催による過去3回の会議には意図的というよりも摂理的とも言える流れの中での積み重ねがあった。
1974年の第1回(京都)では、聖書が共通の基盤であることが、82年の第2回(京都)では、教会が伝道推進の主体であることが、そして91年の第3回(塩原)では、宣教推進の段階と範囲が日本・アジア・世界という広がりにあることが、確認されてきた。
それぞれの会議の具体的な産物として、聖書信仰の再確認、JEAの再編成、JEAのEFAとWEFへの加盟などが挙げられる。
聖書、教会、視野に次いで第四回の主眼は何であったと言えようか。
「和解の福音」というテーマは、一見、振り出しに戻ったかに見えるが、それを「共に生きる」というのは、聖書の「実践」、教会が聖書のメッセージを実行に移すことのようだ。
従って会議の内容を受け止める教会は、「行う」なら、岩の上に家を建てる賢者となるが、「行わない」なら、砂の上に家を建てる愚者となるという2つの選択を迫られていることになる。 宣言を行う「私たち」 会議の集約とも言える「沖縄宣言」を読み返し、カギは、宣言に繰り返される「私たち」にあるとみる。
「私たちは」は「だれ」で、「何を」、「どのように」行うのか。
これらを自問自答せねばならないのである。
「何を」とは、究極的には主の大使命の遂行であり、幸い「宣言」の中に、具体的に述べられているのでここでの言及は省略する。
また「どのように」についても、これから取り組むべき課題なので省く。
肝要なのは「私たち」は「だれ」なのか、である。
6月末に沖縄で「宣言」を行った「私たち」にとどまってはならない。
沖縄から全国に散って帰った「私たち」、そしてその「私たち」に代表される教会、教団、団体のすべてを含む神の民である「私たち」という自覚と認識となるかどうかがカギなのである。
そこに共通の認識が与えられるなら、「和解の福音」を「共に生きる」ことが具現化するのである。
聖霊の一致の相互自覚の喜びのうちに、多岐多様なる働きが全力で推進されるのを見たい「私たち」でもある。
世界は今、福音宣教の共同戦線の時代に入っている。
主の日も近い。
沖縄で聞いた神の声に忠実な日本の教会でありたい。
(記・蔦田 公義)

移民者が語る強靭な信仰−−ブラジル日系人の生きた記録集10月発行予定

ブラジルに移民し、期待とは裏腹に多くの苦労をした人々がいる。
しかし、その中でもキリストの福音は届けられた。
移民者の1世は、すでに老年になっており、「語る人がなくならないうちに、記録として」残すとともに、「神様の臨在がいきいきとでている証しを世界中の日本人に読んでもらいたい」とブラジルの日系キリスト教連盟では、証し集『イペーの花咲く地から』を発行することにした。
イペーはブラジルの国花で、6月ごろに咲く花。 語る人がいなくなる前の記録として 取材執筆するのは、15年間いのちのことば社で雑誌記者として働いた経験のある熊田和子宣教師。
2年前からブラジルに滞在し、候補者である30人の訪問取材は、すでに終えている。
今回は、シリーズの第一集としてそのうちの4人の証しが掲載される。
1908年に、南米への日本人への移民が始まった。
戦前に19万、戦後に7万人が、新しい土地と生活を求めて移民した。
だが、そこには厳しい現状が待っていた。
土地をもてるどころか、移民者たちは「奴隷のように酷使された」。
夜逃げする人もいた。
原始林を買って開墾し、ようやくの思いで農場を手にしていった。
その現実のなかで巡回伝道者や、クリスチャンの証しや賛美にふれ励まされ、信仰を持った人もいる。
多くの労苦を神様の贈り物としてすべてを肯定的に受け止める人や、「キリストに出会わなければ自殺していた」と言う人など、生きた証しが紹介される。
現在では、2世、3世を含めて約150万人の日系人がブラジルにいる。
証し集は日本では今年の10月に、ブラジルでは12月に一粒社から発売される予定。