2000年12月10日号《ヘッドライン》

2000年12月10日号
《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎三宅島伝道所4ヶ月ぶり礼拝——消息尋ね都内に集合
★イスラエル:ベツレヘムの降誕祝賀が中止に
★イスラエル:「メシアの祝典」は実施
★<いやしの時代>[32・最終回]介護資格を持ったよろず屋 木之内 泉・けい子さん(下)
★<落穂抄>渡航を許されている国の特権  = 2 面 =
★<突然の災害>[6]東海豪雨水害:災害に遭っても感謝する信徒たち
◎決裂した地球温暖化防止会議——WCC代表「CO2削減は倫理的問題」
★日韓NCCと共同で外登法問題国際シンポ——民族超えた共生の場を
★ベトナム:米大統領訪問時にも教会迫害
★<世界の出来事フラッシュ>米国、ネパール、インド
★<論説>今こそ、エルサレムの平和のための祈りを 記・中川 健一
★<神の国の物語>[6]補身湯が食べたい 記・谷口和男  = 3 面 =
★真の教会成長に不可欠な原則的アプローチ——C・シュバルツ氏各地で講演  = 4 面 全面広告=
☆映画「親分はイエス様」  = 5 面 社会福祉特集=
★天の父は裏切らない——児童養護施設・神愛ホーム
★心病む人たちを後方支援——ベテスダ聖書の集い
★悲しみ出し合い共有——身近な人を亡くした思いを語り合う会
★「いやしの教会」テーマに東京で講演——クリスチャン・メラー氏  = 6面 全面広告=
☆日本国際飢餓対策機構  = 7面 教会教育特集=
◎「神の家族」の意識養う合宿——希望が丘教会「光の子合宿」
★子供の活気で地域に浸透——高岡バプテスト教会「子供会」を各地で展開
★教師も親も連携して考えよう——来年3月にCS成長センター「こどもセミナー」
★信徒が求道者と学べる聖書と教会の入門書——同盟基督がテキスト発行
 = 8 面 =
★「宣教体験ツアー」クロアチア訪問レポート 記・稲垣 博史  = 9 面 =
◎キリストのシルエットを劇で——J'S倶楽部が「とっておきのクリスマス」
★<北から南から>日本の危機に「松明になる」——日基教団高砂教会100周年記念式典
★関西hi-b.a.「ゴスコン」は友人への証し
★登山事故で逝ったアルトマン宣教師
★ネパール:地球資源保護のために宗教団体集結
★東京オペラシティでキャロルを歌おう——12月の毎週木曜・金曜
★<召天>島崎光正氏(詩人、身体障害者キリスト教伝道協会会長)  = 10 面 =
★<聖書66巻>ルカの福音書[2]全世界の救い主キリスト 記・津村 春英
★<書評>「夕映えの旅人」三浦綾子・光世著(日本基督教団出版局、1700円)
★<新刊書紹介>「弟子訓練」J&M・リープサム著(CLC出版、800円)
★<新刊書紹介>「恵みの歩み」スティーブ・マクベイ著(ファミリーネットワーク、1143円)  = カラー別刷り =
日本キングス・ガーデン連合特集

三宅島伝道所4ヶ月ぶり礼拝−−消息尋ね都内に集合

三宅島「全島避難」から三か月。状況は好転せず、島民の避難生活は長期化の様相を示す。そうしたなか、日本基督教団三宅島伝道所の救援を目的として九月に立ち上げられた同教団東支区三宅島雄山噴火被害救援委員会(米倉美佐男委員長)は、避難生活を送る同伝道所の信徒と求道者を励まそうと十一月二十五日、東京都足立区の同教団西新井教会で「三宅島伝道所の集い」を開いた。三宅島伝道所に集っていた信徒・求道者らが避難後、一緒に礼拝するのは初めてで、再会を喜びつつも、噴火の凄まじさ、避難中の恐怖感、避難生活の中で受けた恵みを語り合った。感きわまって涙を流す人もいた。  三宅島島民は六月二十六日の雄山噴火以来、地震、降灰、泥流に見舞われた。島民はそのつど逃げまどい、体育館での避難生活を強いられてきた。八月に入り噴火はますます悪化、島民の二九パーセントが高齢者ということもあって、避難生活は精神的、肉体的にも困難を極めた。
 九月四日に全島避難となり、島民は手持ちの荷物だけで島を離れた。今もいつ島に戻れるか分からない不安な生活を送ってきた。三宅島伝道所に集う信徒・求道者も、その困難を通ってきた人たちばかりだ。
 三宅島伝道所は同教団東支区の牧師四人が代務者として交代で奉仕し、月一回礼拝を行っている。出席者は信徒二人と求道者六人の計八人で、今回の集いには六人が集まった。なかなか連絡がつかず、やっと消息が分かった人もいた。
 十二時から礼拝で、同救援委員会の米倉美佐男委員長(聖和教会牧師)が説教した。一緒の礼拝は七月以来四か月ぶりとなった。
 昼食後の分かち合いでは、九十五歳の祖母を連れて逃げてきた、三宅島伝道所創設以来の信者、鎌川文子さんがこみ上げてくる涙を抑えきれず、しばし絶句。
 「強い人間と思っていたが精神的にバランスを崩してしまった。いろいろな事が頭をよぎり『主よお許し下さい。助けて下さい』と叫んでました。母と一緒に足立区の都営住宅に入ってからは、だれにも会わずに閉じこもっていた。最近やっと外に出られるようになった。八三年の噴火の時も家が埋没、三宅島は厳しい島だなあと思った」と、つらかった日々を回想した。
 東京の西部、武蔵村山市の都営住宅で避難生活を送る求道者の井上けい子さんも涙声だった。「思いがけない形で教会の人から携帯電話に連絡が入った。こちらに来て人に支えられていると実感した」
 「今も噴火時の逃げまどった時の怖さ、心細さがよみがえってくる」と言う赤羽美江さんは、「時々励ましの電話があり、良い方々に囲まれて幸せです」と教会の心遣いに感謝した。
 昨年、三宅島で受洗した、老人介護の仕事をする宮下雪子さんは「すべてが恵みです。幾つかの教会に行ったが、必ずそこで『噴火が終わったら、三宅島に来てください。復興のため力を貸して下さい』と話します。島に戻ってから力が発揮できるよう、いま勉強もしています」と近況を話した。
 同救援委員会は、避難生活の長期化が予想されることを考え、これからもこうした「集い」を行うことを検討している。被災者のための募金も続けている。

決裂した地球温暖化防止会議−−WCC代表「CO2削減は倫理的問題」

オランダのハーグで十一月十三日から開かれていた気候変動に関する国連枠組み条約第六回締約国会議(COP6)は、温室効果ガス削減義務の緩和をにこだわる日米と、厳しい規制を求める欧州との間で交渉が決裂、対策の運用を決められないまま二十五日、閉幕した。この問題に十二人のエキュメニカルな代表団を送った世界教会協議会(WCC)は、地球温暖化をめぐる論争や二酸化炭素の排出量を削減する必要性は基本的には倫理的な問題である、との立場で臨んだ。
 WCCは声明で、一九九二年のリオデジャネイロにおける地球サミットで気候変動枠組み条約が採択されて以来、国際的な関心が富裕な国々における二酸化炭素排出量の削減のための行動という優先課題から離れ、富裕な国々が他の国々の低コストな削減のクレジットを購入するための戦略へと移りつつあることを指摘。「汚染を引き起こしている富裕な諸国が二酸化炭素の排出量の実際における削減から排出量取引へと転換しつつあるのは、削減目標を達成するための主な手段として倫理に反する」と、WCC気候変動プログラムのコーディネーター、デビッド・ホールマン博士は語った。
 同代表団はハーグにおいて、一人あたりの二酸化炭素排出量が多い国々の排出量削減のための戦略に重点を置き、環境面での効果や公正、責任、および経済効率という基準に交渉の焦点を再び合わせるように求めていた。
 WCC代表団は十一月十八日には、同会議の会期に合わせてハーグ市内で地元の諸教会や教会のネットワークが主催したエキュメニカルな研究集会に参加し、意見を交換した。 代表団の構成はアルゼンチン、インド、ケニア、ロシア、メキシコ、ジンバブエ、中国、カナダ、イギリス、米国、オランダの加盟教会で、これらの教会はリオでの地球サミット以来、気候変動に関する枠組み条約のフォローをしている。

「神の家族」の意識養う合宿−−希望が丘教会「光の子合宿」

 教会学校に集う子どもたちを、将来の教会の働きを担う信仰継承の対象としてはっきりととらえ、教会の中で子どもに信仰継承について教える――どこの教会でも課題としていることだろう。横浜市のカンバーランド長老キリスト教会・希望が丘教会(松矢龍造牧師)では、一九九四年から毎年秋に、教会学校に出席している小学生とその保護者を対象に、教会に一泊して信仰継承をテーマに学ぶ「光の子合宿」を実施。子どもたちに将来の教会を担う自覚を持たせると共に、ノンクリスチャンの保護者も含めて、教会全体に一体感を生み出すのに有効なプログラムになっている。  同教会の子どものためのプログラムは、毎週日曜日の教会学校や、夏休み中に行う夏期学校、ボーイスカウト、ガールスカウトの活動などがあるが、レクリエーション主体のプログラムや、教会に初めて来た子どもがいる中ではやりにくく、短時間のプログラムでは伝えにくい、信仰継承についての深い学びを持ちたいという考えから、教会学校の子どもと保護者のための合宿を計画した。九一年にはクリスチャンホームを対象にした合宿を実施。その後準備期間を経て、親がクリスチャンでなくても子どもが教会学校に定着していて、親も教会に理解のある家庭にまで対象を拡大した「光の子合宿」を九四年から始めた。
 合宿は土曜日の午後にスタート。礼拝後子どもたちは少人数のグループに分かれて、聖書を読みながら信仰継承について学ぶ分級を持つ。分級のテキストは牧師や合宿の実行委員会が編集するオリジナルのもので、信仰継承を柱にして教会の歴史やクリスチャン一人ひとりの宣教の使命などを学べる内容。保護者たちはその間に信仰継承の課題や互いの家庭について話すディスカッションを持つ。子どもたちの分級に出て一緒に考えたり発言したりした年もあった。
 合宿の一回目から運営にかかわっている同教会員の佐藤理恵子さんは「一泊というある程度長い時間をとってやるためか、普段の教会学校では話さないような真剣なことを話してくれます」と言う。子どもたちの身近にあるいじめの問題や人間関係などについても、一人ひとりが素直に打ち明け、一緒に考えるような雰囲気になるという。
 夜には賛美と証しの時間があり、教会の中高生がバンドを組んで賛美をリードする。証しでは、子どもたちの親や、教会のさまざまなところで奉仕をしている教会員が、自分の信仰の証しや、奉仕に携わる喜びを子どもにわかりやすく語る。例えば礼拝で奏楽の奉仕をする人は、オルガンを弾くことで賛美をリードする喜びを証しする。教会の財務を担当する人は、「みなさんの献金は教会でこんなことに、こんなふうに使われています」と教会の会計について語る。聞く子どもたちは、教会のさまざまな活動や奉仕に関心を持ち、将来の自分が教会にどんな形で連なっているか、どんな奉仕をしているかなどをイメージできるようになってきているという。「クリスチャンホームでも、普段家庭の中では信仰の話や教会の奉仕の話を面と向かってすることが少ないように思います。合宿の中で自分の親や大人たちからそうした話を聞くことは、子どもたちにとっては新鮮に思えるようです」と松矢牧師。賛美リードをする中高生が信仰の証しをすることもあり、彼らの証しも子どもに身近な存在として関心を持って聞かれている。
 「光の子合宿は子どもたちが、自分たちが大きくなったら、いま教会にいる大人たちの役割を果たすのだという自覚を強めるのに大きな効果を発揮しています」と佐藤さん。合宿に出ていた子どもが小学校を卒業した後、教会の中高生バンドに加わって合宿で奉仕をしているケースもある。一人っ子で違う年齢の人と話すのが苦手だった子どもが、合宿を通して積極的に話せるようになったことも。
 クリスチャンホーム以外の子どもも合宿を通して信仰継承について考えるようになると共に、その保護者も、合宿で話し合ったり、食事作りを手伝いに来たりする中で、教会への理解を深めている。「家族がクリスチャンでない家庭の子どもの信仰を育てる責任は教会にあります。光の子合宿は子どもへの信仰継承と共に、ノンクリスチャンの家庭全体に働きかけるのにも効果があるようです」と佐藤さんは言う。
 普段教会学校と接点が少ない教会員も、合宿で証しなどさまざまな奉仕をすることで、教会学校や子どもたちへの理解や関心が高まってきた。「『教会は神の家族』という考えに立って、教会を家と思って、他の施設ではなく教会に泊まることを通しても、子どもたちの教会への親しみが強まっています。大人たちにとっても、教会学校やボーイスカウト、ガールスカウトなどの枠組みを超えて、教会全体で協力することで、一つの家族という意
識を持つのに良い効果をもたらしています」と松矢牧師は話している。
 【希望が丘教会】〒241—0825横浜市旭区中希望が丘七二ノ二、TEL045・391・6038。

キリストのシルエットを劇で−−J'S倶楽部が「とっておきのクリスマス」

「キリストのシルエットを表現したい」と演劇界の三人とピアニストが立ち上がった。「二〇〇〇年のクリスマスを証しの機会に」と朗読劇と音楽というスタイルで公演を行う。「伝道会」という名前では、参加できない人たちにも「福音」を知らせたいと、「質の良いエンターティメント」を目指す。
 『たいせつなきみ』(いのちのことば社)『海のクリスマス・ツリー』(創作童話・キリスト新聞社)『靴屋のマルチンの物語』(トルストイ作)という三冊の絵本を題材に朗読劇「とっておきのクリスマス」を準備をしているのは「J'S(JESUS)倶楽部」。
 舞台で活躍する女優、友野富美子さん(日本基督改革派・新座志木教会員)の呼びかけで同じく女優の日高恵さん(福音キリスト教会連合・立川駅前キリスト教会員)、ピアニストの竹内晃二さん(福音キリスト教会連合・上水めぐみキリスト教会員)、演出家の津々見俊丈さん(日基教団・目白教会員)の四人が集まった。
 「教会や、伝道会アレルギーの方にも親しんで頂けるように『朗読と音楽』という形にしました」「本当のクリスマスの意味や、創造主の存在を伝えたい」と友野さんはいう。またクリスチャンではない人が「おいてきぼり」にならないように「質の良い、話芸としての朗読劇」で、「エンターテイメントとして楽しめるものを」と考えている。
 竹内さんは、「クリスマスは聖書の中にある昔の物語ではなく、今生きている人にも『クリスマス』は必要。『昔のこと』で終わってほしくない」と話す。「同じ演劇をするのでも、キリストを伝えるためという目的を持ってすると、出来上がりが違うと思います」という日高さんは、悩みの中で演劇を一時離れた経験を持つ。「祈る中で主に仕える器として、削られてふさわしい形に整えられていくことを示されました」。演劇を通して神様を証しする女優を目指す。
 クリスマス前に公演をする理由を、「あえて、クリスチャンではない人が一番キリスト教を受け入れやすい時期を選んだ」と友野さんは語る。「ちまたのクリスマスの雰囲気を逆に利用することも大切だと思います」。そして、「クリスマスに教会に行くことを願」い公演パンフレットに会場近辺の教会案内を入れる。
 「J'S倶楽部」四人の願いは「まだクリスチャンでない方とも一緒に、キリストのご降誕をお祝いする」ということだ。
 十二月十九日午後七時から、二十日午後二時からと午後七時から、東京・新宿区のアイピット目白で。チケットは前売券二二〇〇円、当日券二五〇〇円、ペアチケット四〇〇〇円。Tel.03・5996・4588(ツツミ)。