[CSD]2013年5月12日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年5月12日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎新連載<フクシマの声を聴く>[1]お母さんを悩ます不安、分断、麻痺 記・中尾祐子
★語り継ごう 震災体験を絵本で——「けせんぬま震災復興絵本プロジェクト」開始

 = 2 面 ニュース=
◎日本ホーリネス教団第50回総会 「教師倫理綱領」を可決——不祥事防止へ互いに支え、正す
★トイレで女性盗撮し逮捕去れた牧師を解任——JECA・高松聖書教会
★靖国神社春季例大祭に閣僚ら参拝——日本キリスト教会北海道中会ヤスクニ・社会問題委員会
★バチカン:アダルト動画の違法ダウンロードで一騒動
★<人事異動>ホーリネス教団新委員長に中西雅裕氏、東京聖書学院院長に錦織寛氏
★<落ち穂>死について無知な子どもたち

 = 3 面 =
◎被災印刷工場から全国発信「けせんぬま震災復興絵本プロジェクト」——記憶風化に危機感「若い世代に伝えたい」
★「主権回復」記念式典は沖縄・在日に屈辱——同盟基督「教会と国家」委員会が中止要請
★国際:バチカンとルーテル世界連盟が「宗教改革」に関する共同声明に調印へ★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか


 = 4・5 面 アーティスト・教会音楽特集=
★対談:アートで主に仕える——真の礼拝が伝道になる ササキ・ジョシュア氏 vs 姜春東氏
★CD:「Fragrance~香り~」小堀英郎(ライフ・クリエーション発売、全12曲、2,310円税込)
★CD:「君はそれで素晴らしい/AKA」ナイトdeライト(ジェネラス・ギバーズ、全3曲、」1,260円)
★CD:「生きる光として~CBC Woeship~」CBC with STUDIO MARK(STUDIO MARK、全4曲、1,50円)

 = 6 面 仕事と信仰=
★三谷 恭寛さん(中小企業診断士、ビジョン教会王子伝道所担当牧師)[上]——会社の生き残り選択の相談役
★『もしドラ』教会編[29] 教会のリーダーシップ(2)——教会は成長の過程で何を生み出したか?

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[48]EEAM・富士クリスチャンセンター鷹岡チャペル?——「聖書を読んでいるとなぜか涙が…」
★<憲法が変わるってホント?>[5]軽く扱われる国のかたち——時代の気分でルール変更の無責任 記・朝岡 勝

 = 8 面 インサイド・ニュース=
★ナパーム被弾の少女ファン・ティー・キム・フックさん41年後の証言——「赦しが苦しみから解放した」




◎新連載<フクシマの声を聴く>[1]お母さんを悩ます不安、分断、麻痺 記・中尾祐子=13051201

 4月27日、東京・お茶の水クリスチャン・センターで、東日本大震災証言集会「フクシマの声を聴く」が開かれた。いのちのことば社から先に出版された『フクシマのあの日・あの時を語る』の執筆者でもある3人の証言者・木田惠嗣氏(ミッション東北郡山キリスト福音教会牧師、福島県キリスト教連絡会代表)、後藤一子氏(日本同盟基督教団相馬キリスト福音教会前牧師、現巡回教師)、久場祥子氏(保守バプテスト同盟北信カルバリー教会牧師夫人)が立ち、福島の放射能汚染問題を中心に語った。

 はじめに木田氏が福島の現在を不安、分断、麻痺という3つの言葉を使って説明した。市内に設置されたモニタリングポストの多くは除染が済んだ公共施設に立てられることが多い。除染後のため、その数値は除染していない地域に比べて低くなる。この数値を見て意見が割れる。
 「家庭では、お母さんが子どものことを思ってとても心配します。でもお父さんや他の家族が、数値が低くなったからもう大丈夫だ、と結論を出してしまう。お母さんは何も言えなくなるんです」。友人間でも同じことが起きる。これが分断だ。また麻痺も引き起こす。 「初めはみんな子どもには長袖長ズボンマスク着用をさせていました。でも最近では見かけなくなってしまいました」。こうした状態が続くことによる一番の懸念は健康への影響である。
     ◇
 久場祥子氏は一人の母親としても証言した。「子どもの甲状腺の検査結果は、異常があるかないか判定が書かれた一枚の紙です。詳細は何も教えてもらえません」
 A2判定(5・0ミリ以下の結節や20・0ミリ以下の嚢胞を認めたもの)が出た場合でも経過観察とある。しかも次回の検査は平成26年度以降で未定。「嚢胞がどうなっていくか心配な人は、カルテを作ってくれる良心的なお医者さんを探し、エコーを撮ってもらうなどしています」
 育ち盛り、遊びたい盛りの子どもを持つ故の悩みもある。「これまでは自然の中でたくさん遊んでいました。田んぼのそばの小川でドジョウや虫を捕まえたり、草や花を触って泥遊びしたり。それらはすべて出来なくなりました。でも子どもたちは遊びたいんですね。うちの子もサッカーがしたい、といいます。少しでもと30分くらいやらせます。線量もまあまあ高く土煙が上がってとても心配です。危ないとわかってはいるけど、かといって絶対に遊ぶなとも言えないでいます」
 子どもたちの通学路で除染作業が行われている写真を見せながら、「工事現場には壁を作るのに、なぜ? と憤りを感じます」と訴えた。
     ◇
 後藤一子氏は主に相馬、南相馬の人の支援活動を続けている。津波で家を無くした人、放射能によって追われた人たちの話をこれまで聞いてきた。「たとえ家が与えられ時間が過ぎても受けた傷は変わらない。現状もなかなか前に進まないし解決が見えない。孤独死や自殺する人を増やさないため人々に寄り添い、その苦悩を少しでも一緒に背負うことの必要を感じます」と話した。
 同氏が「どうぞ現地に来て、そして見てください」と締めくくった言葉が印象的であった。知られざるフクシマの実情を共に背負うため、次号から「フクシマの声を聴く」として連載する。

◎日本ホーリネス教団第50回総会 「教師倫理綱領」を可決−−不祥事防止へ互いに支え、正す=13051

 日本ホーリネス教団(本部・東京都東村山市)は3月19、20日に開いた第50回教団総会で、教職者の在り方を共に考え、お互いの召しを確認し、支え、正すことを目的とする「教師倫理綱領」を賛成多数で可決採択した。
同教団では数年来、過去に起きた教団教職K元牧師による性加害事件への対応に関連して、事件がどうして起きたかの検証やセクシュアルハラスメント再発防止に取り組む中で、その啓発方法や実効性についての議論が、教団委員会や教団総会においてなされてきた。それと並行して同じ時期に性・金銭・法令違反をめぐり牧師の不祥事が起き、戒規が複数回執行された。このような現状を踏まえ、諸課題に対応し、こうした事柄を生じさせないための手だての必要性から、一昨年来検討を重ね倫理綱領をまとめた。
 「日本ホーリネス教団倫理綱領」は?神に対して、?教団に対して、?教会に対して、?社会に対して、の4分野にわたり、内容は基本的な教職者の在り方を大枠で提示するもの。献身の召しを自覚し、信仰と生活の規範である聖書に聴き従う、教団の信仰告白を共に告白し、教憲、教規に従う、法令遵守に努めることなど基本のほか、教会員の人権を尊重し、牧師の地位を利用した言動をとらない、教会の働きが人権の侵害とならないよう努めるなどの表明も盛り込まれている。採択された本文(左記)を、解説と共に各教会に配布するほか、教団全体として運用することにしている。
 このほか、2013年にOMSから日本ホーリネス教団に、東京聖書学院の土地建物及び事業が移譲されることに伴い、今後の用地・施設の在り方を検討してきた「ネヘミヤプロジェクト」で、寮・食堂・教師住宅・本部棟・教室・教会などの改築、建て替え、新築、リノベーションとその優先順位を定めたマスタープランを承認。財産移譲に伴う規則などを改正。協力牧師のガイドライン改正などが報告された。
 東日本大震災対策本部は本年3月31日をもって終了。次年度教団総会に最終報告を提出すると共に2年間の活動をまとめ、
次の災害に活かすことにしている。すでに支援活動費として支出した100万円余りがなくなるまでは活動は続ける。

◎被災印刷工場から全国発信「けせんぬま震災復興絵本プロジェクト」−−記憶風化に危機感「若い世代に伝え

 「3・11東日本大震災の記憶が風化しつつある。何らかのアクションを起こさなければと、被災者の生の体験を被災した印刷工場から発信する目的で、けせんぬま震災復興絵本プロジェクトを立ち上げました」
 4月21日、気仙沼ホープセンター(宮城県気仙沼市南郷)で開かれた「中田紀子・三浦淑坤絵本出版記念祝福の会」で、発起人代表の阿部克衛さん(保守バプ・気仙沼第一聖書バプテスト教会員)が挨拶した。
 阿部さんの経営する(有)愛隣オフセット印刷社は津波で1・6メートル浸水し、1億円相当の印刷設備などすべてを失った。だが、国内外の教会、クリスチャンなどからの支援を受け、仕事を再開できた。阿部さんは「印刷業で何か恩返しがしたい」と考えていた。
 昨年11月末、東京に出かけた時、街では震災のことが話題にも上らないのを感じた。危機感を覚えた阿部さんは、同じ教会の中田紀子さんや古くからの友人の熊本吉雄さん、画家の相澤一夫さんと相談。その話し合いの中で「絵本を通じて震災体験を語り継ぐ」というアイデアが生まれた。
 早速、『ララとポーの3・11』、『ほうほう山の会議』、『おじいさんとカナリア』(以上絵と文・中田紀子)、『風が吹く時』(絵・中田紀子、文・村上大)、『大水もその愛を消すことができない』(絵・相澤一夫、文・三浦淑坤)の5点を制作し、『大水もその愛を消すことができない』を500冊、その他を各100冊印刷した。
 中田さんの4作品は、震災の生々しい体験を童話風にアレンジして伝えたもので、『大水もその愛を消すことができない』は、結婚のため来日した中国人・三浦さんの震災体験、それをきっかけに信仰をもった証しを絵本にしたものだ。
 出版記念祝福の会で中田さんは、「震災の出来事を若い世代に伝えたいという思いで書いた。復興への道のりはまだ遠いが、この絵本が被災地の希望の証しとなることを祈ります」、三浦さんは「津波で家や車すべての家財を失ったが、イエス様を信じたことで今、失ったものに勝る喜びと平安がある。この絵本を通して、私と同じ被災体験をもっている人たちを励ましたい」と語った。
 絵本の問い合わせはTel:0226・22・0796、Emai: airin@k-macs.ne.jp 同プロジェクト事務局(愛隣オフセット印刷社内)まで。