[CSD]2013年12月8日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年12月8日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎JEAフォーラム:フクシマに聴き、応える——「宣教『と』支援」の神学を超え
★第1回Solaチャリティ陸上 東京・府中で開催——スポーツで生きる勇気励ます

 = 2 面 ニュース=
◎「治安維持法と同じ危険」——「特定秘密保護法案」強行採決にホーリネス弾圧を経験した2教団が初の共同声明
★KGK「希望を告白する夜(キボコク)2」——「特定秘密保護法案」に抗して開催
★クリスチャントゥデイ裁判:名誉棄損引き分け——東京地裁 謝罪請求は棄却
★クリスチャントゥデイ裁判:「来臨キリスト」疑惑 真実・相当性を認定——世界的組織の関連が解明
★<落ち穂>大分・湯布院に「大友宗麟館」

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[29]母たちからの声——最良の日が最悪の日に 記・中尾祐子
★WCC総会報告:核のない世界に向けて[2]——福島発で届いた「原子力NO!」 記・行本尚史
★北朝鮮:聖書所持などで公開処刑
★北朝鮮:スパイ容疑逮捕者はバプテスト宣教
★<オピニオン> 記・根田祥一
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 聖書・デボーション特集=
★BOOK:『地図と絵画で楽しむ 聖書大百科【普及版】』バロー・J・バイツェル原著監修(創元社、B5判、4,400円税込)
★BOOK:『マタイ福音書を読もう』松本俊之著(日本キリスト教団出版局、四六判、1,890円税込)
★BOOK:『ティンデル聖書注解シリーズ』(いのちのことば社、A5判、3,000~4,000円台)
★BOOK:『魂の養いと思索のために「キリスト教綱要」を読む』D・K・マッキム著(教文館、四六判、1,575円税込)
★BOOK:『大切なものはわずかです ローラ・インガルス29の知恵』ローラ・インガルス・ワイルダー著(フォレストブックス、B6版変形、1,155円税込)
★BOOK:『シンプルに生きるための1分間の祈り』ホープ・リダ著(いのちのことば社、B6版変形、1,260円税込)
★BOOK:『牧師の書斎のデボーション』溝口捷支著(ヨベル、四六判、1,470円税込)
★BOOK:『主に遣わされる毎日』ヘルムート・シュルツ著(日本ホーリネス教団、A5判、円税込)

 = 6 面 仕事と信仰=
★伊茂治裕哉さん([株]SSI代表取締役)[下]——ぺしゃんこになっても希望が
★<首都圏大震災に備える>実践編?——分かち合うことで防災の取り組も方が明瞭に

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★<見上げる空>[6]ず~っといるの?——福音と言うほどのこともない 記・米内宏明
★<迫られる宣教と教会の再構築>[8]これからの宣教——礼拝者の共同体は本質的に宣教的な存在 記・石田 学

 = 8 面 ヒト・証し =
◎TAKEOさん(ゴスペルシンガーソングライター)——人々に共感与え賛美で寄り添う

 = ?—? 面 別刷カラー 日本キングス・ガーデン連合特集=
★安全で安心できる介護をめざして 記・泉田 昭
★いのちを大切に——災害から守る施設づくり
★東京で2番目の拠点実現——東中野に地域密着型サービス施設
★筑波にケアハウスを新築——全国に広がる源流 福祉総合村めざす
★日本キングス・ガーデン連合 加盟・友好関係施設一覧


◎JEAフォーラム:フクシマに聴き、応える−−「宣教『と』支援」の神学を超え=1312080101

 地震、津波、東京電力福島第一原発の事故は福島県に甚大な被害と不安、分断をもたらした。福島第一原発から核燃料取り出しが始まった11月18日、福島の今の声を聴き、うめきを共有し考え、祈ることを趣旨に日本福音同盟(JEA)宣教フォーラム福島が、郡山市のビッグパレットふくしまで開かれた。福島県キリスト教連絡会=FCC(木田惠嗣委員長)、JEA宣教員会(末松隆太郎委員長)が共催し、19日まで開いた。

 JEA宣教フォーラムは、09年に札幌で開催した第5回日本伝道会議(JCE5)から16年に神戸で開くJCE6に向け、各地で開かれてきた。東日本大震災後は、秋田(11年)、仙台(12年)と、東北での開催が続いた。
 今回はテーマ「フクシマと生きる宣教」に沿った講演とともに、牧師や信徒、放射能測定など各種支援プロジェクトの代表、地域支援ネットワークの代表など様々な立場からの報告、証し、祈りの時間が盛り込まれた。
 開会礼拝では、安藤能成氏(同盟基督・世田谷中央教会牧師、JEA理事長)が、「神に造られ、愛されている世界で」と題し、ローマ8・18024から地上でのキリスト者の責任を語った。原発事故は人間の貪欲と慢心の結果とし、内村鑑三の文章を紹介しつつ、神が創造した自然エネルギーを勧めた。国家について「個人の権利を抑えて、全体の利益を優先し、本来人格をもたないはずの国家が、偶像国家になってはならない」と警告。「造られた人間は本来神の栄光を現すため生きる。人間の罪によって毀損した秩序を取り戻す責任があります」と述べた。
 主題講演で木田惠嗣氏(ミッション東北・郡山キリスト福音教会)が、福島の歴史と現状、課題を伝えた。現在の福島のキーワードは、?不安、?分断、?麻痺と言う。「ある人は、大丈夫というが、ある人は危ないと言う。どちらを信じるかで分断する。同じ家族内でも分断があり、年代によっても断絶がある。保証金や支援の違いによって分断がある。またずっと暮らしていると、放射線量が高い危ないところに平気で入っていけるような麻痺がある。行政への不信感も募る。街角に設置された行政の線量計より、手持ちの線量計が高いことがあります」
 だが、教団教派を超えたネットワークができたことが希望になっている。「バラバラではなく一緒に声を上げることが大事。教会が入り込むことができなかった地域の内部に入ることができた。今後の福島の宣教をどうするかが大きなポイント。違いを尊重する成熟した友情とともに、持続的な宣教の工夫が必要だ。今は非常事態でがむしゃらに突っ走っているが、いつまで続くか。フォーラムで話しを進めていきたい」と呼びかけた。
 公開講演では、朝岡勝氏(同盟基督・震災復興支援本部事務局長、ふくしまHOPEプロジェクト事務局長、徳丸町キリスト教会牧師)が「ともに歩む教会となるために」と題して講演した。震災後、教会のテーマとなった「支援と宣教」について「『と』で、つなぎ合わされている限り、へだたりがある。『神の国』というトータルな視点から、宣教を再構築しなければならない」と問題提起。教会の在り方として、ニカイア・コンスタンティノポリス信条の「我らは唯一にして聖なる公同の使徒的教会」という告白を手がかりに、?唯一性?聖性?公同性?使徒性を確認した。苦闘する福島や東北の教会に向けて、「見えるところでは止まっていても、神の国の完成に向かっていることを信じる。よみがえられたキリストのからだに傷が残っていたように、傷ついた福島、東北もまた完成する神の国においては、義ときよめと贖いの大事な印となるはずだ」と励ました。最後にマルコ6・7を引用し、「イエスが二人ずつ宣教に遣わした。この地で果たす責任はとても一人では担いきれない。福島の教会とともに歩む教会となりたい」と語った。
 閉会礼拝では、末松隆太郎氏(JECA・栄聖書教会牧師)が「隣人とは誰か」と題してルカ10・29037からメッセージをした。サマリア人が瀕死の人を見て感じた「かわいそう」という言葉は「新約、旧約を通じて、神またはイエス自身が、本来つくられた神のかたちからほど遠い状態の人間を見るときに使用される」と指摘した。「まず自分自身がいやしを受けなくてはならない。それがすべての働きの始まり。宣教と支援。それは人間を何と見るかだ。イエス様は体と心と霊のように別々に見ない。私たちのために、とりなしている聖霊のうめきは、『かわいそう』という思いに通じます」と話した。
 主な集会の動画をJEAホームページから視聴できる。Shttp://www.jeanet.org/bind/index.html。1月26日号より本紙で報告を連載。

◎「治安維持法と同じ危険」−−「特定秘密保護法案」強行採決にホーリネス弾圧を経験した2教団が初の共同

 国民の知る権利が侵害されるなどと懸念が高まっていた「特定秘密保護法案」の修正案が11月26日、午前の衆院国家安全保障特別委員会で強行採決、同日中に衆院本会議で与党自民・公明とみんなの党の賛成多数により可決通過した。国会周辺は同法案に反対する市民らの怒号で騒然とした。審議を尽くさないまま強引に今国会での成立を目指す動きの中で、キリスト教諸教団から反対声明が相次いだ。

 日本ホーリネス教団教団委員会と基督兄弟団理事会は11月26日、「特定秘密保護法」制定を危惧する共同声明を安倍首相に出した。両教団は戦前、日本基督教団第6部・第9部に属し、1942年治安維持法違反に問われて牧師が一斉検挙され、宗教団体法により教会が解散させられるなど、日本プロテスタント史上最大の弾圧を受けた。その経験から、「本法案が戦前の治安維持法に劣らない危険性をはらんでいる」と重大な危惧を表明。戦前の治安維持法同様、?「国益に反する」と見なされた思想・信条が抑圧される危険、?言論・表現の自由が抑圧される情報統制の危険を指摘した。
 治安維持法は25年、共産主義革命運動等の取締りを目的に制定されたが、
41年の全部改正で「国体の否定」という内心の思想を取り締まるものに拡大。この流れの中で、キリストが再臨し王として治めると強調したホーリネス系が同法違反に問われた。特定秘密保護法案は、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止の4分野が対象とされるが、秘密の定義や範囲があいまいで政府が恣意的に「特定秘密」に指定でき、第三者が検証する仕組みが欠如している。「これでは、時の権力が『国益に反する』と判断すれば、思いのままに拡大解釈することが可能であり、憲法の思想・良心・信教の自由という基本的人権の根幹を脅かす」と危惧を示した。
 また、言論・表現の自由が国策に沿った範囲に押し込められていた戦前の体制では、治安維持法や不敬罪等が取材・報道・出版等の言論活動や国民生活を萎縮させていた。
その結果、国民は権力の暴走に歯止めをかけるすべを失い、無謀な戦争遂行へ駆り立てられていった。処罰の対象や範囲が公開されず重罰が科せられる特定秘密保護法案も、
言動を自粛させてしまう恐れが強いと予想。「言論・表現の自由を無力化・無意味化させるこのような法制は、この国をもう一度、息の詰まるような情報統制国家に逆戻りさせることになりかねません」として、戦時中のキリスト教会が自己規制し、
偶像礼拝である神社参拝や「平和の福音」を歪めて戦争遂行に加担した罪を悔い改めた立場から、二度と同じ罪を繰り返さない決意を表し、戦前の情報統制に類似する危険性を持つ特定秘密保護法案に断固反対し、廃案とするよう強く求めた。
 基督兄弟団と日本ホーリネス教団の前身は、1933年に分裂。戦後50年を機に両教団が戦争責任を表明したことをきっかけに、共同で歴史検証に取り組むなど和解の実を結んできたが、共同声明を出すのは初めて。
     ◇
 日本キリスト改革派教会は11月22日、大会 宣教社会問題に関する委員会(弓矢健児委員長)として安倍首相に同法案への反対声明を提出した。反対理由として、?恣意的な秘密指定は国民の知る権利を侵害し、情報管理社会に道を開く、?法案の罰則規定は報道の自由と基本的人権を侵害する、?法案は日本国憲法の平和主義の原則に反し、日本を戦争のできる国に変質させる、の3点を挙げた。過去の「治安維持法」が戦争とともに適用範囲が拡大、国民の自由や知る権利が抑圧され、思想・良心・信教の自由が奪われていったことを指摘。「『特定秘密保護法』もひとたび制度化されれば、政府の恣意的な秘密保護指定によって国民の自由と権利が広範囲に侵害されてしまいかねない極めて大きな危険を孕んでいます。過去の『治安維持法』がもたらした暗い歴史の教訓を、私たちは消して忘れることはできません」と強く反対の意を表した。
     ◇
 日本同盟基督教団は11月25日、山口陽一社会局長、柴田智悦「教会と国家」委員長の連名で、反対声明を安倍首相に出した。まず「民主主義社会においては情報公開こそが保障されるべき」であるのに、同法案は、政府が「特定秘密」を指定し、秘密を漏らした公務員のみならず、情報を知ろうとした市民まで罰則を適用し、永久に公表されない可能性があることを指摘。「主権者である国民の知る権利や取材・報道の自由を大幅に制限することになり、民主主義の精神に反し、憲法によって国家の権力を制限する立憲主義にも反しています」と批判した。
 さらに、本法案は、「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案」と一体であることに言及。「憲法九条の解釈改憲によって集団的自衛権の行使を認め戦争への道が開かれたならば、先の戦時下においてそうであったように、国民の思想及び良心の自由、信教の自由、表現の自由といった基本的人権を奪うものとなることは明らか」と述べ、同法は「世界の平和を願う者たちの声をも踏みにじることになる」として廃案にするよう強く求めた。

◎TAKEOさん(ゴスペルシンガーソングライター)−−人々に共感与え賛美で寄り添う=13120808

 「クリスチャンアーティストは、私の知らない別世界の人たちだと思っていましたが、その中の一人に加えさせていただきました。レコーディングは、まさに夢の中でした…」。そう語るのは、昨年からチャペルコンサートなどの活動を開始し、今年7月、クリスチャンレーベル「ALPHATRAX」からファーストアルバムCD「恵みの歌」をリリースしたTAKEO(本名・平山丈夫)だ。本業は教会付属の保育園・幼稚園の職員、教会スタッフ。だが、ゴスペルシンガーMigiwaのマネージャーである伊藤治哉さん(〔株〕アサフ代表)との出会いを通じ、CDを制作することになった。TAKEOは「自分には何もできないけれど、CDを通して少しでも福音が届いてくれれば」と願う。

病を宣告された人のために
生まれた歌「生きるwith Jesus」
 牧師家庭に生まれた。名前は「剛勇丈夫よ、エホバ汝とともに在す」(士師記6・12、文語訳)から「丈夫」と名付けられた。常に賛美のある環境で育ち、「物心つく頃から教会で歌っていました」。音楽を専門的に勉強したことはない。だが、歌うことは大好きで、学生時代はよくカラオケに行っては歌っていた。「当時はシンガーなんて夢物語。一つのちょっとした憧れでした。それがこんな身近なものになるとは思ってもみませんでした」
 大学生の時、祖父の死をきっかけに献身を決意した。「祖父はくも膜下出血で、突然亡くなった。『自分に与えられた命はいつまでか分からない。人生の最期に、イエス様の前で自分の人生を誇れるか?』と問われた。『キリストの日に誇ることができます』(ピリピ2・16)の御言葉に背中を押され、大学卒業後、東京・東村山市にある東京聖書学院に進み、3年間勉強しました」。在学中、「あなたのために」(宇山誉作詞・作曲)というゴスペルソングと出合う。イエス・キリストはあなたのために十字架にかかり死んでくださったことをストレートに歌う賛美で、その歌をよく口ずさんだ。このゴスペルソングとの出合いが、賛美を歌う一つの原点となった。
 現在、教会付属の保育園・幼稚園の職員として働く。そんな中、2012年2月にオリジナル曲「生きるwith Jesus」が生まれた。「私たち夫婦の近しい方が大きな病を宣告された。とてもショックで、主にすがって祈った。だが、その試練の中にあってもイエス様の愛は変わらず、天国につながる道を決して見放さず見捨てずに共にいてくださる。その希望が言葉になって『生きるwith Jesus』が生まれました」。「この頃から新しく歌う喜びが生まれた」というTAKEOは、これを機に動画サイトにオリジナル曲を含めた賛美歌、ゴスペルソングを自分で歌い、録音したものを投稿するようになった。また7曲を選曲してCD500枚を自主制作し、友人知人や出会った人たちに配ったりした。

「夢ではなく共感を与えること。
普通が大切」との言葉が励みに
 そんな頃、伊藤さんと知り合った。ある日、伊藤さんからソーシャルネットワーク「フェイスブック」を通じて、「いつかTAKEOさんをプロデュースしたい」と言われた。「それを真に受けた」とTAKEO。オリジナル曲も一曲一曲与えられていき、昨年12月、TAKEOの所属教会でMigiwaのコンサートが行われた時、伊藤さんとCD制作の思いが交わされ、今年3月にCD制作の話が具体的になっていった。
 だがその直後、右耳の突発性難聴にかかるなど、なかなかCD制作に踏み出せず、やっと制作を始めたのが6月頃。ゴスペルシンガーの佐々木潤、竹下静、ピアニストの知保子コストナーがTAKEOのオリジナル8曲、カバー2曲を編曲・伴奏し、ゴスペルシンガーのSamuelle、Migiwa、竹下静、女性フォークデュオOliveの小柳永子と東亜以子、兄弟ユニットCymBalの伊藤治哉と伊藤真嗣がコーラスをするなど、今、活躍中のクリスチャンアーティストの協力があって、ファーストアルバムCD「恵みの歌」が完成した。
 「どんなに苦しい、つらい、試練の時にも、イエス様はあなたのそばにいて、寄り添っておられる…」。TAKEOの作る賛美は、そんなイエス・キリストを歌う。その賛美は、CD「恵みの歌」を通じて、静かな反響を呼んでいる。クリスチャンでない、あるがん末期の方がTAKEOの曲を聴き、「ありがとう。何回も何回も聴いています。歌詞がどんどんどんどん心に響いています。近くの教会が気になっていたんです」と感謝のコメントを寄せた。この知らせを聞いた時、「涙が出るほど震えました」。
 「TAKEOさんのコンサートは夢ではなく共感を与えること。現実の中の共感です。だから普通が大切なのです」。あるクリスチャンの音楽プロデューサーのアドバイスだ。このアドバイスが励みなったという。そして、家族の存在が本当に大きな支えだと語る。今後も保育園・幼稚園での仕事をしながら、可能な限り、人々に共感を与えるコンサート活動をしていく。