[CSD]2013年6月30日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年6月30日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎放射能禍に神の平和を——日基教団東北教区宣教共働研究所が原発事故による影響調査を報告・提言
★通学路の除染 配慮はどこへ?——フクシマの現実

 = 2 面 ニュース=
★原発と私たちの責任——福音主義の立場から初の神学的論考[中]
★日基教団東北教区宣教共働研究所が原発事故による影響調査報告と提言(提言部分を抜粋)
◎原発・核燃サイクル即時停止を——日基教団奥羽教区総会が取り組み確認
★ベトナム:獄死の牧師は「自殺」と発表——公務員腐敗に立ち向かい虐待の疑い
★<逝去>カルビン・ハンソン氏(日本福音自由教会初代宣教師、5月10日、88歳)
★<落ち穂>たくましい現代の八重さん

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[7]母たちからの声?——これがフクシマの現実 記・中尾祐子
◎世代を超えたミッション——キッズ・フェスタ拡大委員会に参加を
★<オピニオン>橋下大阪市長への手紙 過ちを認め許しを請うて築かれる絆 小菅啓子
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 盲人伝道特集=
★助け手より友達 だから楽しい——盲目の大和田広美さんと仲間たち
★盲人も晴眼者も便りで一つに——点字原稿を墨字版に
★点字版『いのちより大切なもの』完成——描いた花の絵 解説で表現
★目の見えない子どもに絵本の楽しみ届けたい——東京・教文館で点字絵本フェア
★視覚障害信徒・求道者209教会に——盲伝が全国教会在籍視覚障害者調査

 = 6・7 面 シリーズ/対談 この人・この天職=
★永見憲吾さん(IGLグループ理事長)vs 中野雄一郎さん(伝道者)
夢こそが人を動かす力——不完全だからこそできた広島随一の福祉事業グループ

 = 8 面 神学・=
★「神の忍耐の時」の中で、苦難の救い主に仕える——リチャード・マウ氏講演抄録?
★書籍:『ウェスレーの組織神学(?)』韓 永泰著(東宣社発売、2,500円)

 = 9 面 伝道・牧会を考える=
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[55]単立・アドラムキリスト教会?——受刑者も教会の一員として共に礼拝
★<憲法が変わるってホント?>[12]「国民」を問う——外国人とされ法の外に置かれた在日 記・崔 善愛

 = 10・11 面 特集/エンパワード21 全日本大会=
★日本のエルサレム平安京から日本を変える
座談会出席者:水野明廣、村上好伸、高田義三、菅原 亘、大久保みどり、藤林イザヤ

 = 12 面 =
★Movoi:「爆心 長崎の空」——現在を視座に語り継ぐ長崎の祈り http://jpnews.org/pc/modules/smartsection/item.php?itemid=277
★CD「AUS Libe アウスリーベ~愛ゆえに~」吉村美穂(ライフ・クリエイション、全15曲、2,500円税込)
★CD「Silk Road」HEAVENESE/天国民(KICK BACK CAFE、全5曲、2,000円税込)
★Book:『信仰の良心のための闘い——日の丸・君が代の強制に抗して』君が代強制反対キリスト者の集い編(いのちのことば社、A5判、1,050円税込) 評・柴田智悦
★Book:『ドイツ教会闘争の史的背景』雨宮栄一著(日本キリスト教団出版局、四六判、2,940円税込) 評・袴田康裕
★Book:『マンガで読むキリスト教史 タイムっち——なぜ天皇が神サマになったのか』岡田 明作、みなみななみ画(キリスト新聞社、A5判、2,100円税込)
★Book:『宣教師と日本人 明治キリスト教史における受容と変容』キリスト教史学会編(教文館、四六判、2,625円税込)
★Book:『教会の調和~健全な姿をめざして』野田 秀著(いのちのことば社、B6判、945円税込)





◎放射能禍に“神の平和”を−−日基教団東北教区宣教共働研究所が原発事故による影響調査を報告・提言=1

 東京電力福島第一原子力発電所事故による東北地方の諸教会とその付属施設、地域社会への影響を調査した報告と提言がこのほど、日本基督教団東北教区宣教共働研究所(片岡謁也委員長)から発表された。
 東北教区では教会員の従前からの高齢化に加え、原発事故によって生産年齢層、若年層が避難したこともあり、将来教勢の急激な減少が予想される。また放射能被災地の教会が福音宣教の使命を果たそうとする際、単に安全説・危険説を唱えることによっては克服できない葛藤を余儀なくされている。そうした中で、「シャローム」を知っているキリスト教は神の平和を告げることができるとし、「これは分断を乗り越えさせる祈りとなり、他者を受容させる力となる。放射能禍の中だからこそ、今、ここで教会が宣べ伝えなければならない言葉がある」などと提言している。
 2012年5月、第67回日本基督教団東北教区定期総会において、「放射能汚染地域における宣教課題及び教会形成の諸問題についての研究を開始し、教会伝道所の宣教の業に資する働きを探求する」建議案を採択。これを受け、宣教共働研究所は、放射能汚染の中で起因する魂の問題、生命・健康の危機、「差別」の発現、人口流出、産業の低迷の中でなお、聖書において証しされ、主イエス・キリストによって示された神の国の福音を語り続けることを目指し、その課題を担う教会がそれぞれの地域にあってどのように在り、何を担い、どこを目指すかを探って研究を開始した。
 放射能災害による地域社会への影響、人口流出の分析、同地域に住む人への魂のケア、教会付属幼稚園・保育園などの園児数や経済的影響、教会の教勢への影響などを、教区内の32教会伝道所(回答率87・5%)や、教会付属37施設を対象に調査。その結果、今もって放射性物質が漏れ続けている現状の中で「今後も若年層の流出は続くことになるだろうし、社会全体以上に教会の高齢化が急速に進むことが懸念される」と分析。「そのような状況で教会の宣教論的展望をどのように描いていくのかが問われている」とした。浪江伝道所や小高伝道所など居住制限区域においては、社会的インフラの整備が進まなければ教会の存立自体が成り立たない現状があり、当該伝道所の信徒に対するケアも必要となってくることを予想する。
 原発事故の影響により主任担任教師が辞任した教会もあり、放射線量が高い地域では、今後、若年層の教師、特に子どもを持つ教師を招聘することは困難だろうとも見ている。一方で若年層が減少していく現実の中で、高齢者と共に歩む教会の真価が問われるといった展望もあった。
 特に大きな課題として挙げられているのが、「放射線に対する理解に幅があり、受け止め方に温度差があるゆえに、個々の思いを語ることが止められていること」。この課題を共に考えていくために「言葉にできない不安・苦悩に耳を傾け合う姿勢が必要となっている」と指摘した。
 厚生労働省が出した『医療機関における死亡割合の年次推移』によれば、2038年には年間の死亡者がピーク(170万人)に達し、高齢化率(65歳以上の人口割合)は30%を超える。そのような20年後の日本を、原発放射能災害後、東北の教会は先取りして経験することになる「課題先進教区」と捉え、「人口急減地域の小教会だけにこの課題を負わせてはいけない。それがやがて日本の教会すべてが経験することであり、他人事ではない」とし、被災地の教会が抱える次のような葛藤の共有化を提言した。
 「教会は福音宣教という使命を与えられている。主から委託されているこの働きには躊躇があってはならない。一方、放射能被災地において若年層の人々を居住させることは将来の健康リスクが上昇していく。放射能で汚染された地域で伝道活動をするということは、放射能被災者をしてそこに留まる理由を増加させることに繋がる…」
 また、教会員が被災し経済的にも逼迫、地域社会も疲弊し人口が激減、将来性がない中で、「だから」という接続詞で結ぶ効率優先主義では被災教会の再建は「無駄なこと」となるだろうが、私たちの根本原理は「だから」ではなく「しかし」というキリスト教全体を流れている接続詞にあると強調。「人の眼からするならば、疲弊した地域に将来性はあまり見込めないかもしれない。『しかし』そこに伝道の拠点を再建する意味がある。教会を維持する教会員が高齢となり数も少ないかもしれない。『それでも』御言葉を共に分かち合う場所を無くしてはならない。私たちの目指すべき伝道は広さもさることながら、今そこにいる信徒の信仰が大切にされ、一人一人が御言葉により日々新たに改革されていく、伝道の深さが大切なのだ」として、「看取りの宣教」と「ポスト・フクシマの神学」を提言した。

◎原発・核燃サイクル即時停止を−−日基教団奥羽教区総会が取り組み確認=1306300203

 日本基督教団奥羽教区は5月21、22日の第68回定期総会で、「奥羽教区において原子力発電所、核燃料サイクル施設の即時廃止を求める取り組みを進める件」の議案を可決した。日本国内にある原子力発電所ならびに核燃料サイクル施設の即時廃止を求め、日本国政府、各電力会社および関係各機関に向けて働きかけることを継続して担う。
 同教区では第66回定期総会において、「原子力発電、核燃料サイクルの中止と自然エネルギーへの転換を求める決議」を可決し、その具体的な取り組みを進めてきた。
 東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所爆発事故の発生後、現在も事故の「収束」廃炉に向けた作業が進められているが、放射能汚染は止まることなく、福島県では通常の発生頻度を超えた割合で子どもの甲状腺がんが発見されている。
 このような現実とあわせて、各地の原発の直下を活断層が走っているとの見方が強まっている。それにも関わらず、安倍晋三首相は「安全が確認された原発は再稼働する」と2月28日の施政方針演説で明言した。東日本大震災以降全国各地で強い地震が発生し、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震発生の可能性が指摘される中で、「現在停止中の原発を再稼働させることは、過去の原子力政策に対する反省を欠いた、全く愚かな行為であると言わざるを得ません」と同教区常置委員会は提案理由で批判。
 2012年5月に国内すべての原発が停止した後、同年7月、関西電力大飯原発3、4号機が再稼働したことを止めることができなかったことを「神の御前に深く悔い改めの心を持ち、今こそ国内すべての原子力発電所、核燃料サイクル施設の廃止を求めて声を上げるべき」とし、「奥羽を愛するキリスト者として祈りを合わせて行動することが創造主なる神への応答である」と表明している。
 奥羽教区は青森、岩手、秋田。

◎世代を超えたミッション−−キッズ・フェスタ拡大委員会に参加を=1306300302

 キッズ&ファミリーサポートミッション(KFSM)は、10月26日に大阪府豊中市の服部緑地公園・野外音楽堂で開催する第4回キッズ・ファミリーフェスティバルのための拡大委員会を、7月17日(水)午後2時から、同公園・野外音楽堂会議室で開く。内容は、教会における子どもたちの現状報告、フェスティバルの趣旨及びプログラムの説明や出店に関する質疑応答など。KFSMの山下亘牧師は、CS伝道に重荷のある牧師や信徒はフェスに協力、またアイディアを提供してほしいと、拡大委員会への参加を呼びかけている。
 KFSM委員の村上愛信牧師(単立・カリスチャペル)から次のようなメッセージが届いた。
   ◇   ◇
 私は19歳の時に教会献身という形で主に仕えて24年になります。献身当時、教会は苦闘しつつ、みことばと聖霊に励まされて前進していましたが、当時の私は、教会の内情もあまり理解しておらず、戦い終えて事後報告的に聞いたことを、ただ感動を持って驚くだけの者でした。しかし訓練を受けながら共に仕えるようになり、喜びも悲しみも、また霊的な事柄においても共有し、信仰の一致をもつようになりました。3年前からは父から引き継いだ主任牧師としての働きを担っています。とはいえ、主の働きの最善に至るには時間がかかるように思います。
 主は次世代の働きを準備されているとともに、走りながら一つのバトンを次世代が一緒に握る時間を祝福して下さると信じます。出エジプト記6章3節には「わたしは、アブラハム、イサク、ヤコブに、全能の神として現れた…」とありますが、1世代目に全能の神としてご自身を現された神が、2世代目、3世代目にも現れて下さる。そして3世代が一つとなって主に仕えることの幸いをかみ締める時代なのです。
 身近な現状、遠くの世界を見渡しても、破壊的な分裂が絶えないことに心痛めます。教会も家庭も傷つき、大人の事情とばかりに子どもたちが傷ついています。そして「子どもたちのために何かをしなければならない…」と声をあげるものの、依然として自分たちのことは棚に上げた大人目線となってはいないか…。
 ただ私はこう考えます。今は、神様が最も祝福しようとしておられる時代だと。なぜなら、戦後の教会からみて人数的な拡大は乏しいが、神様は世代の広がりを与えて下さいました。3世代が心を合わせ、全能なる神を礼拝し、共に主に仕えるならば、偉大な神様が偉大な働きをこの時代に起こして下さると信じているからです。
 子どもたちと一緒に主に仕えることを期待しようではありませんか。今秋の第4回キッズ・ファミリーフェスティバルは、世代を超えた家族に、神様の素晴らしさ、一緒に仕えることの喜びが分かち合われる、そんなフェスティバルになることを期待しています。
 ▽問い合わせTel.072・720・7035 Email:kidsfamily2011@gmail.com http://kidsfamilyfest.holy.jp/